2022年12月 ウバ クロネ さまFA①
前回からだいぶ日が開いてしまった。
作品冒頭に
「この連載小説は未完結のまま約1年以上の間、更新されていません。
今後、次話投稿されない可能性が高いです。予めご了承下さい。」
などと書かれてしまった。
いやないわ! 更新する気満々だわ!
だってねぇ、いろいろあったんよ、オトナの事情が。で、ようやく活動再開できたのは2022年の10月、しかも作品を書くわけじゃあなくって、活動報告で「作家特集」とでもいう企画を始めてしまった。
もともとはお気に入りさま同士、もうちょっと興味を持ってもらえるように、お気に入りさまの作品をイラスト付きで紹介して、あわよくば読んでもらおうという企画だったんだけど、紹介するんならやっぱ俺自身が全部読まなきゃ、って思っちゃったのが運の尽き、これが時間がかかるんだ。その第3弾にウバ クロネ(以降クロネ)さまの作品を取り上げようと、作品を読み始めたのが12月のことだった。
もともとクロネさまとは、その独特のイラストが好きで交流を始めたので、イラスト集しか読んでいなかったんだけど、その作品を読んでみるとこれがとてつもなく面白くっていっぺんに好きになってしまった。それがこの作品。
『天使と悪魔の日常譚』
ルシエル、ハーヴェンの肩に乗るの巻
これがねぇ~、よくできたファンタジーなんだ。
クロネさま自身がイラストを描くってのもあって、公式イラストが豊富で、ファンタジー知識に乏しい俺でもとてもイメージしやすく、読んでると無性にイラストが描きたくなってくる不思議な作品。
俺はね、少年漫画脳なのかな。描きたくなるのはアクションシーンであることが多いんだ。クロネさまの公式イラスト集を見て、登場キャラクターのイメージを掴みながら、イメージが浮かぶシーンをなんとなくスケッチする。
さっきのラフスケッチもそうだけど、他にもこんなのがある。
シンクロ率上々
ダイアントス襲来
こうしてなんとなくのイメージを描いていると、そのうちちゃんとしたイラストを描きたくなってくる。クロネさまに許可を貰って何を描こうか悩む。せっかくだからこの物語を象徴するシーンが描きたいな、それってドコなんだろう。
物語の始まり
この物語は、竜族の娘であるエルノアが道端(?)で倒れているところから始まる。いかにも物語の始まりに相応しいシーンで、イラストにするならやっぱココでしょう! でもね、イラストにするなら正面を描きたいじゃない。うつぶせじゃあ、ちょっとカッコ悪いよね。
ん? どうなんだ?
物語は始まらない
これじゃあ物語は始まらない。いや、コメディは始まるかも。やっぱさあ、正当なファンタジーなら、道端に倒れているのは可憐な美少女じゃないといけないよね。少なくとも顔は見せる必要がある。
物語が始まる
と、いうことで横向きにしてみた。ちなみに公式キャラクター集を見て、最初に描いたエルノアはこんな感じ。
エルノア
ふふふ、しましまにゃんこさまの回で「竜人」を描いたので、竜は既に経験済みなのだ。クロネさまの「竜族」は普段は人型で、耳が長く角としっぽが生えている。
で、その角としっぽがどうにも邪魔なので横向きにしてみたんだけど、絵的に言えばあおむけがいいんだよね。儚げで可憐な美少女、物語が始まる条件としてそこは譲れない。
物語の始まりに相応しい若い娘の倒れ方
うん、いいんじゃないの? ただ寝ているだけだと美しくないから左足だけ曲げてみたよ。
じゃあPCに取り込んで色を塗っていこう。ここからの彩色作業はいつもと同じなので詳しくは書かないよ。読んでもつまらないだろうしね。では線画から。
エルノア線画
次にベタ塗り。女の子だから服はピンク。偏見であろうがなんであろうが構わない。
エルノアベタ塗り
ここに別のレイヤーで陰影をつける。そうね、エルノアには可憐で儚げな美少女になってもらわなければいけないので、本来の性格は置いといて、そう見えるように淡い色をつけていくよ。
エルノア陰影
どう? この感じ。今回も陰影はR・G・Bの3系統で塗って重ねたよ。今回イメージに合わないからGとBはほとんど使っていないけど。これをベタ塗りに重ねて、色調整をすればエルノアは完成だ。
エルノア完成
あとは背景を描かなきゃいけないよね。このシーンは俺の中では町なかのイメージだったので地面は石畳にしてる。でもほんとは人気のない郊外だったのかも。
石畳線画
この石畳の線も、定規でピシッと引くのは個人的に好きじゃない。これは俺の趣味というか感覚なんだけど、きっちり揃っていない線の方が好きだから、大雑把なガイドラインを引いた後にちょっと崩すようにフリーハンドで線を描きなおしてる。
色を塗ったら、ムラになるように雲模様を重ねてみる。ひだまりのねこさまの回で使ったやつ。
石畳色付け
儚げ感を出すために、やっぱりここも淡い色彩にしたほうがいいかなあ。ついでに中心だけ残して消してしまおう。そのほうがより儚く見えるでしょ?
石畳完成
ん? 今見たら枠が消し切れていないけど、まあ、今更だよね。ここにエルノアを載せて、ついでに影を付けたら完成だ。
エルノア完成
うん、儚い美少女感が出てるんじゃあないかな? だけどさあ、やっぱりスカートの長さが気にならない? いやもっと短くしたいとかそんなんじゃあなくて。パンツを見せたいとかそんなんでもなくて。
スカートの中で足を曲げると裾が足首まで来るのかなって思ったんだけど、こうして見るとなんか不自然に長いんだよね。だから左足にかかるスカートをもう少し短くすることにしたんだけど、修正をしている内にどうしても気になることが出てきてしまった。
角と尻尾。
いやさあ、最初っから気にはなっていたんだよ。クロネさまの竜族って確か「後頭部からの角」と「極太の尻尾」が生えているわけよ。じゃあさ、それらが生えている状態でどうやってあおむけに寝るのかな……ってさ。
いやいるよ? 後頭部からデカい角の生えている生物ってさ。たとえば鹿とか。でも彼らはあおむけになったりしないじゃない。それに尻尾。尻尾ってさあ、背骨からつながってるじゃない。哺乳動物みたいに細くて柔らかい尻尾ならともかく、ワニみたいな尻尾がついていたらまあ、あおむけは無理じゃないかな。イラストだから誤魔化すこともできるんだけどどうしよう。でも、そんなことを考えると彼ら竜族の生態がいろいろと見えてきて面白い。
まずは角について考えてみよう。
人に角が生えて邪魔になることってなんだろう。まず帽子はかぶれないよね。いや、角が短い生物なら問題ないし、横から出ている角なら問題ない。問われるのは頭上からの長い角だ。きっとオーダーメイドの帽子が必要になるだろう。
竜族専用帽子
さらに深刻なのが寝るときだ。
竜族は眠れない
うん、無理だな。きっと専用の枕があるんだろう。もしくはベッドに角ポケットを空けるか。いやいや、横になって寝る習慣があるかさえ怪しいが、あるとしたらこんなかな。
竜族専用ベッド
実際、長い角がある生活ってどんななんだろうな。目測を誤って天井に角をぶつけてしまう「うっかりさん」も多いことだろう。自分の家の天井は、おそらく竜型でも動けるくらいの高さは確保してあるだろうが、万が一人間の家にお邪魔すると大変なことになる。
うっかり竜さん
うむ。これだけでも竜族が人間の家で生活する大変さがよく分かるが、いやまて。彼らには尻尾もあるじゃあないか。
太い尻尾がある生活、あれ? あんまり大変そうじゃあないけど。だいたい人の体に太い尻尾が生える時、どこからどういう風に生えるのだろう。
竜の尻尾
さすがにお尻の穴を塞いで生やすわけにはいかないから……、ん? 尻尾にお尻の穴があればそれでもいいのだろうか? しかしそうなったら乙女のお尻の穴はいつも外部にさらされていることになるが、竜族の公序良俗はどうなっているのだろう。
そもそもこれだけの質量のしっぽが体の後ろ側につけば、重心が後ろに傾くんじゃないだろうか? 角もあることだし。そのバランスをとるためには竜族は常に前傾姿勢でいなければならないはずだ。しかもしっぽが邪魔で椅子には座れないよね。
前のめりで生きる竜族と竜族専用のイス
というか、せっかくこんなに太いしっぽがあるんだもの、もはやこれは「足」なのではなかろうか。つまり竜族は「3本足の生物」と考えればすっきりする。
ん? じゃあ竜族にイスっているのかな?
マイチェアーとしっぽブーツ
なるほど! カタツムリが家を持ち歩くように、竜族は椅子を持ち歩く。そして地面を引きずって汚れるのはイヤなので、竜族の間で「しっぽブーツ」が大流行、と。あれ? これでお尻の穴問題も解決じゃね?
どうしよう、謎に包まれた竜族の生活を、また一つ解明してしまった。
こういう「生活習慣の異なる」生物と一緒に暮らすのは大変だよなあ。主人公であるルシエル、いや、その旦那であるハーヴェンの苦労がよく分かる。この物語、苦労してるのは旦那だからね。なんだかとてもとても親近感がわいてしまう。
いやでもね、種族が違うんだもの、そもそもあおむけに寝る文化がないかもしれないじゃない。さすがに立ったまま寝ることはなくっても、いつもうつ伏せかもしれないじゃない。
あれ?
うつぶせエルノア
この姿は竜族の真実を表していたのかもしれない。
はい、見てないよ、俺、何にも見てないからね! このイラストは中止! うら若き娘のこんな姿は見てないよ!?
こうしてイラスト制作は暗礁に乗り上げ、なかった事になるかと思われた。




