2021年12月 たらこくちびる毛 さまFA①
年末年始が悪いんだ。
12月に節句さんへ贈るFJの方向性が決まったのに、師走の忙しさと正月休みですっかり作業がストップしてしまっていた。おかしいな、これはアレだ、締め切りがまだ2か月も先だからだ。そうだ締め切りが長いのが悪いんだ。
ということでふらふらといつものように隙間時間で落描きをしていたら、思わずイイ感じに描けちゃったものがあった。それがこれ。
魔王レオンハルト
たらこくちびる毛(以降たらこ)さまの作品「社畜は二度死ぬ! ~最弱アンデッドと化した俺は獣人魔王に仕える参謀として、脳筋底辺国家を最強覇権国家へと導く!~」に登場する獣人の国の魔王さまだ。
このレオンハルトが非常に良いキャラで、以前から落描きはしていた。
落描きレオンハルト
レオンハルトはライオンの獣人で、アホに見えるがバカッ強く時には王者の貫禄も見せつける、まるで「うつけものを演じているどこかの第六天魔王」ようなキャラクター。
いつもならもっとキャラクター造形を考えてから描くんだけど、なんも考えずに描いたこのレオンハルトの迫力をそのまま形にしたい、と思ってしまったので色を塗ってみることにした。何も考えてないから不自然な点も多いし、もう一度描いたら全然違う姿になるだろう。だけどね、勢いって大切だと思うんだ。
今回は「迫力を失わせない」のが目標だから「キレイな線」を描かないようにする。むしろこの鉛筆画にざっくり色を乗せるくらいでいいかも。スキャナーでPCに取り込んでなんとなく色を塗ってみる。
色塗り(仮)
か…かっこ悪い。もっと筆跡が残るように色付けするべきだったか。こういう失敗はしょっちゅうある。こうやって塗るならもうちょっと線をまとめた方がいいんだろうな、というわけで線画を描くことにしたんだけど、もともといい加減に描いた線なのでちゃんとしようとすると修正しなけりゃいけなくなってくる。例えばライオンの鼻はこんな形じゃあないし、頭飾りだってなんとなくしか描いていない。そういう細部を決めながら描く。
レオンハルト線画
どう? 迫力がなくなっていなければいいけれど。でもこっちの方がしっかり色が塗れそう。じゃあ今度はガッチリ塗ってみようか。
レオンハルトベタ塗り
ちなみにこのベタ塗り時点でレイヤーは「下描き」プラス「下地色」「マント色」「顔色」「たてがみ色」プラスそれぞれの線画。と、レイヤーが9つ重なってる。
ここから色を重ねて重厚感を出していくよ。今回は結構バラバラの色で陰影をつけている。何色で影をつけるかっていうのは感覚だからいい加減なもんよ。決まりなんてない。
レオンハルト陰影レイヤー9枚合成
マントの赤色がたてがみまで浸食しちゃってるけど気にすることはない。以前書いたことだけど、レイヤーを重ねる時はいろんな重ね方ができる。透明水彩と不透明水彩の話ね。だから下から
「マント ベタ塗り(透けない)」
「マント 陰影(透ける)」
「たてがみ ベタ塗り(透けない)」
「たてがみ 陰影(透ける)」
と重ねれば、マント陰影のはみ出し部分は、たてがみベタ塗りに覆われて見えなくなっちゃうの。
じゃあ、全部重ねてみようか。ちなみにホワイトも重ねてる。たてがみのツヤとか目の周り、鼻面なんかにもホワイトを入れている。
レオンハルト陰影統合
どお? まあ、なんだ、顔に対して体が「人過ぎる」ようには見える。獣人ってのはもっとモサモサであるべきなんじゃないかな。ということで毛を描き加えてみようか。首と胴体の付け根が不自然なのも気になるし、ついでに瞳もちょっと変えてみよう。
毛 増量
ここまで描いてなんだけど、これって「ライオン」に見える? いや、熊に見えたり虎に見えたりするのは俺だけなのかな。なんかライオン感が足りないんだよね、丸い鼻が熊を、鼻のシワが虎を思わせるんだ。瞳を丸くしてみたのもライオンっぽくなるかなと思ってのことなんだけど、もっと根本的に目も顔も細くしなくちゃダメっぽい。とはいえ今更すぎるしなあ、このままいけるところまでいってみよう。
レオンハルト完成
迫力を出すために描き込みを足して色調補正した。イラストとしてはこれで完成なんだけど、やっぱり気になるライオン感不足。ううむ、どうするべきかなコレ。ライオンの獣人なのにライオンに見えないって致命的じゃない?
ここでレオンハルトを立派なライオンにするためにやるべきことは3つある。
①たてがみをもっと短めのモサモサにする(今のたてがみは人っぽい)
②顔の周りをもう一回りたてがみで覆う(今は短すぎてヒゲっぽい)
③顔と目は細長く鼻も形を変える(ライオンの特徴を入れ込んでいく)
なんだ全部描き直しじゃないか。でもその前に改めてライオンってどんなだっけ? というところからリスタート。くそう、勢いだけでは乗り切れなかったようだ、残念。
ライオンスケッチ
とりあえずライオンをスケッチしてそれを基にキャラクター化してみる。大雑把に言えばたてがみさえあればライオンに見えなくもない。でもライオンらしさを構成する要素ってのがいくつかあって、それは外したくない。間違っても熊ライオンとか虎ライオンにしてはいけないのだ、2度目の失敗は許されない。そうしてできたキャラクターがこれだ。
猿ライオン
どうしてこうなった。
猿じゃダメだって言ってるのに
なんかの呪いかな。何を描いても猿になる呪い。ここは基本に立ち返ってみようか。ライオンらしさ優先で描いてみようじゃないか。
ライオンキャラ
うん、間違いなくカッコイイ。そして間違いなくライオンだ。でも頭がよさそうに見えるのはよろしくない。
キャラ造形試行錯誤中
レオンハルトが難しいのは「バカなんだけど恐ろしい」という二つの顔を持たせなきゃあいけないことかな。ちょっと表情をつけてみようか。
レオンハルト顔変化
たてがみの編み込みはアリだな、イングランドの王様っぽい。この顔なら恐ろしくもバカっぽくもできそう。これに体をくっつければレオンハルトになるだろうか。
レオンハルトになっているか?
最初に失敗したイラストのように動きをつけてみようか。
再度のイラスト挑戦
なんかさあ、ちょっと違うよなあ、もうちょっとやわらかくできないかなあ。体つきがいけないのかなあ。
アニメ系ライオン
なんかアニメに出てきそうな感じになっちゃった。これはこれでアリかな。ちょっととぼけてて、コミカルさもある。でもこの体も人に近いよね、人の体に獣の頭が乗っているだけ。いや、生物ってそんな簡単なものじゃあないだろう。もっと獣っぽい体躯、手足が大きく筋肉質の逆三角形で前傾姿勢、というか猫背で描いてみよう。というか問題は手足なんだよな、人にするか獣にするか、結構迷う。
猫背ライオン
うん、この方が感覚としては獣人っぽいかも。でも体つきのバランスはとても悪い。しかもせっかくネコみたいな手足なのに服なんか着ちゃったら隠れちゃう。レオンハルトは「獣人にしては珍しく服を着ている」という設定なんだけど「恐ろしい筋肉の塊のような獣人」を表現するため、そんな設定は無視して裸マントで描いているが、さてどうしようか。
試しに人っぽいバランスで服を着せてみる。
王様ライオン
体のバランスは人に近いほうがカッコイイ。このイラストは王者の貫禄もライオン感もある。だけどさあ、これって「ライオンの王」ではあっても「レオンハルト」ではない。ライオンの頭が乗っているだけじゃあだめなんだ、キャラクターにはちゃんとした個性をあたえてやらないといけない。どうもいけないな、レオンハルトがこんなにも難しいとは。どうやら迷宮に迷い込んでしまったようだ。
ここでいったんイラスト制作は休止、というか停止。そしてこのままなかったことになると思っていた。




