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プロローグ

近くの川に釣りに行くのは私の気晴らしの一つだ。鯉やヘラブナ、特に気合の入れた趣味でもないけれど、あれこれ考えながら魚の釣れるのを待つのは気が晴れる。

 その日は気分の晴れとは裏腹に天気は午後から崩れてきた。霧のような小雨の降ってきたしばらく後に、天気は荒れて大粒の雨となった。私は橋の欄干の下で雨宿りをしながら、帰り支度を済まる。リラックスを兼ねて手足を伸ばしストレッジをして、止みそうもない雨の中を小走りに帰る準備を始めた。アキレス腱を伸ばしている時に、少し離れた川の中州に目が止まる。目に入ったのは女の子。川の島のような中州で泣いている。虫取り網を持っているので、虫を探して浅瀬を渡り迷い込んだうちに増水したのだろう。もう少し上流に中州までの半分くらいを飛んで渡れる浮いたような岩はあったはず。少し薄暗い雨のなかということもあり周りに女の子の他に人は見えない。

「まだ大丈夫だろう」心の中で自分を説得し、女の子の救出に向かう。

大雨で増水した川の中州に取り残された子供を助けようと、川に入ったが流されて溺れた。ゴロゴロと川底を転がり流れ落ちていく途中で苦しくなり咽に川の水を吸い込んでしまい水泡の中で意識は遠のいていった。


暖かい気分になり目を覚ますと辺り一面は白の世界。しかしふわふわした綿あめのよう。白い雲の上に寝ていた。顔をゆっくりあげて周りを見回すと光り輝く輪っかが目に留まった。天使のような羽を生やし頭の上で黄金色に光る天使の輪っかを乗せた後光をさした白いローブのおじいさんがいる。爺さんだけど天使かなと思った。

おじいさんはこちらを見て微笑む。私はゆっくり立ち上がり近づいて声をかけてみた。

「こんにちは」

少し話をしてみた。しかし、おじいさんは

「天使ではなく、神」様

だと謂う。

私は子供を助けようとして川でおぼれて死んだらしい。そして前世でそれなりに善行を積んだので異世界でも人間に生まれ変われると言われた。今度は異世界でおぼれた子供に前世の記憶を持ったまま転移するそうだ。

神様はニコニコしながら、曰く、

「文明のあまり発達してない、魔物のいる異世界は危険である。一方で様々なスキルの存在もある。剣や魔法、生産スキル。スキルは持ってなくても多年の努力で身に着けられる。しかし生まれながらにスキルを授かる人間も10人に一人いる。おぬしは前世の行いは良かったのでスキル持ちの子供に転生させるぞい。」

私はほっとした。<次の世界でも10人に一人の才能を持って生きていける>。まあ10人に一人のスキル位だとそうでもないけど、今の記憶も持っていけるとなると美味しいなと。異世界は文明は中世程度で剣と魔法の世界でもあるそうだ。

「どんなスキル持ちになるのでしょう?」

と私は神様に尋ねた。神様は曰く、

「解体スキル持ちじゃ。次に生まれ変わるのは小料理屋の子供で生まれながらに持っておったスキルじゃ。料理店だけではなく魔物は多いし冒険者パーティーでも解体スキルは重宝されるぞ。」

私は驚き、疑問に思ったことを構わず尋ね返す。

「剣か魔法のスキルじゃないんですか?」

神様は、曰く、

「有無。異世界のパワーバランスを崩すと他の神に怒られるでな。暗黙の禁止というか、目立つような強い能力は授けられない。しかしわしの頼みを聞いてくれたら、魔法のスキルは追加しよう。複数のスキル持ちは100人に一人くらいじゃぞ」

追加してほしい。知らない世界で魔物までいる。戦闘スキルはあるにこしたことない。そして憧れの魔法スキルを使って楽勝な人生を送れる。ワンダー人生を楽しみたい。

しかし難易度と釣り合わないと困るので、神様の頼みとはどのようなものかと尋ねる。

「龍神に会いたい、話があるのじゃ。異世界には神は降りられないのでな。おぬしに龍神を復活させて欲しい。頼みを聞いてくれるなら魔法スキルをやろう。」

神様は続けて曰く、

「龍神は異世界に散らばる7つの龍球をあつめると復活する。つまりおぬしのやることは龍球を集めることじゃ。」

7つの球を集める!まるで昔のアニメみたいだ。

「でもどうやって見つけるのだろう。」

私は思ったことを口にする。

神様は、曰く、

「異世界の惑星はおぬしのいた地球みたいに広い。さっきもいったように極端に強い能力は授けられない暗黙の了解はある。しかし見つけるのに必要な能力、龍球の100キロ以内に入ったら場所を把握できる龍球察知能力を授けよう。」

神様は満足げにみえる。

しかし私は動揺した。

「えっ、魔法スキルってそれだけ!?」

神様は曰く

「いや、魔法スキルはマジックハンドを授けよう。」

マジックハンド?聞いたことないスキルだな。魔法の手?

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