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ひたすら進めるより、たまにはのほほんとした回も必要かと思って!
これは僕がお出かけに出かけられるようになってしばらく経ってからのことだった。
「孤児院に行こう!」
僕は孤児院に行く決意を固めていた。
「孤児院ですか?なんでまた…いえ、別に問題はないんです。旦那様からのご許可は?」
ユミルはお茶を入れながら疑問を挟んでくる。
「いや、まだ許可はとってないよ?もぎ取ってくる!」
思い立ったが吉日とも言うし即断即決。父さまに直談判だとお話に行ったが酷くアッサリOKがでた。
それでも連絡やら何やらで数日待つ羽目にはなったけど明らかに何か仕込みをしているようだった。僕、ただ孤児院に遊びに行きたいって言っただけなんだけど?
数日後
「本日はお世話になります」
そう言って僕は不本意ながらお嬢様が使うようなカテーシーに似た挨拶を行う。
ここは僕の住んでいる都市の比較的隅にある、教会が寄付を行っているわけでもなく、父さまが政策で多少の補助をしているものの個人により運営されている所謂民間孤児院だ。
「こ、こちらこそ、ようこそおいで下さいました!」
緊張を隠そうとともしない女性が直立不動で挨拶してくる。この孤児院の経営を行なっているシスターさんだ。幸薄そうな苦労していそうな印象の美人さんだ。
「それではこちらへどうぞ!お連れの方々も!あまりおもてなしも出来ませんが…」
シスターさんはそう言うと僕らを孤児院の中へと招き入れる。外観もそうだがそれ程老朽化は目立たず、中も壁が崩れて隙間風が…なんて状態ではなかった。
少なくともノッカーを手に取ったら剥がれる、なんて事故は起きそうもない。
中を通り抜けるとそのまま中庭へと到着する。そこには下は2〜3歳、上は12〜3歳程の少女達が集まっていた。この孤児院の子供達だ。
そう、ここに集まっているのは少女だけだ。僕の護衛として付いてきた騎士さん達も外で待機していてここには女性しか居ない状況になっていた。
僕がやったんじゃない。これは父さまの仕業だった。
貴族の子女と言うのは貞操観念を強く教育される。それこそ、親兄弟以外で男に身体を触れされることすら忌避しかねない程にだ。勿論僕もそんな教育を受けさせられてる。
貴族の女性にとって処女性とはそれだけ大事な物になり、賊などに身体を汚されそうになれば潔く自害する程だ。挨拶で手にキスをさせることがあるが、女性側は手を許すと許可しない限り、手を取ることだけでも失礼な行為にあたる。
だからこそ、父さまは孤児院から男の子を遠ざけた。この孤児院にだって男の子は存在しているのだ。だからこそ数日も時間を必要とした、らしい。
個人的はそんな触れられた位で忌避感なんて持たないが既に遠ざけられた以上は仕方ない。
目の前には様々な種族の少女達。ほとんどの子は僕に興味津々と言った様子でソワソワしているが年長さんらしい子達に手を握られて飛び出さないようにされている。