ロード戦 決戦2
ユニークPV数が5000超えました!ありがとうございます!
長めの書きました!そういうのを筆が乗るとか言うんですかね?
「ファイアーランス。」
「うおぉ!」
リザードマンは僕の魔法を大袈裟に回避する。インフェルノを防ぐのに力を使ってしまったんだろう。今はもう熱に弱いのかもしれない。蜥蜴だし普通に熱に弱そうだ。
僕は今の所優勢に戦闘を進められている。とは言っても格が低かろうとジェネラル以上の体力とVITを持っているためそれ程ダメージを与えられていない。
勘が働くのかどうしても痛打となる攻撃は回避されるかダメージを減らすため防御されてしまい決定打を打てないでいる。
「ちいっ!なかなかやるねぇ!」
リザードマンはまだ余裕を見せて軽い態度を崩さないでいる。相手に痛打は与えられていないが僕自身、ダメージらしいダメージは受けていない。動きが単調なため回避し易いのだ。
リザードマンの振り払いを槍で流してやり過ごし懐に入り込んで魔法銃を撃ち込む。これなら回避できないだろう。
「う、おぉぉぉ!」
だがリザードマンは身体の周りから大量の水を放出させ僕を吹き飛ばす、水魔法を使ったんだろう。勢いはあれど殺傷能力は無かったため受け身をとってすぐ起き上がる。
「はぁ、おチビさんとは本当にやり辛いねぇ。それになんか模擬戦のときみたいに上手くいかないや、どうなってんのかな?」
彼らはどういう理由かは知らないが格が高くない。それに倣うかのようにスキルも初心者冒険者に毛の生えた程度。だが、異様な勘の鋭さはあり最低限の回避能力はある。
しかし、さっきから模擬戦、模擬戦と言っているがもしかしてそれらしい命の取り合いをしたことがないんだろうか?やはり妙だ。
「はぁ、正直しんどいしあんまり使いたくないんだけどなぁ。このまま負けるのも嫌だし奥の手使わせてもらうよ?」
リザードマンはそう言うと動きをとめてしまう。少し様子を窺う。すると。
「う、うおぉぉぉォォォォォォ!」
リザードマンの身体が変化し始める。着ていた鎧がそれに合わせるように変形し盛り上がっていく。鎧から出ている部分は変化が見易い。細い手足が太くなり身体を覆う鱗がより硬く鋭そうになっていく。
それを見た僕は即座に魔法銃を使う。この変化中は隙だらけのようだ。
「ぎゃっ!ご!ちょ、ちょっとマテ!イマ、変形していル最中だろうガ!ナニをして!ゴギャッ!」
「いや、そんな如何にも何かしてます、みたいな状態を放置するわけないじゃん。」
僕はリザードマンが変化し切る前に少しでも体力を削ろうと魔法銃を連射する。10消費する出力を更に上げて威力を向上させているがゴツくなっているため通りが悪い。
それよりもリザードマンは何故僕がその変形するのを何もせず見届けると思ったんだろうか。確かにロード達は僕らが作戦会議している間待ってくれていた。だが僕らがそれに倣う理由はない。これは命のやり取りでありこうしている間にもユミルや団長さん達が危険な相手と戦っているのだ。
とくにコボルトを相手にしている騎士達は被害が酷いことになっている。実力者だけでゴブリンを相手にしているのだ、そのためコボルトには多少強いとは言っても普通の騎士達だけで足止めしている状態になっている。
このままでは折角助けた騎士団が今度こそ壊滅しかねない。彼らがやられればコボルトはきっと近い位置に居るユミル達のところへと向かってしまう。そうなる前になんとかしないといけないんだからわざわざ待ってやる義理はない。
だが流石にダメージが入り辛い、一番威力があるのはやはり僕の投擲のようだ。まだリザードマンは完全に変形しきっていない。その間に投擲準備をする。金色の光を纏い槍が震えだす。
リザードマンはそれを見て引き攣ったような顔で見ている。まぁ、リザードマンの表情の変化なんて大してわからないためおそらくではある、もしかしたら不敵な笑みを浮かべているのかもしれない。どちらでもいいが。
「やぁ!」
リザードマンへと力の乗り切った槍を投げつける。槍はリザードマンへと直撃し辺りに爆音を響かせる。イマイチ土煙で見て辛い。
「少しは効いたかな?」
「イヤ、タイシテキイテナイ。」
煙の先から声が聞こえる。リザードマンの声だが前と違い随分と片言になっている。煙が晴れるとそこには先程よりも随分ゴツくなったリザードマンが立っている。そして僕の投げた槍は両手で受け止められていた。
「ヘンシンチュウ、ズイブント、スキカッテヤッテクレタナ?コンドハコチラノ、バンダ。」
そう言うや否やリザードマンはこちらへと接近してくる、先程よりも速くなっている。スキルの中で怪しいのは竜の怒りだろうか。
リザードマン僕の槍は地面へと突き刺してしまう。それで使えなくしたつもりなんだろう。だがそれ位では空間短槍は止められない。僕の任意のタイミングで槍を手元へと戻す。
リザードマンは目を見開いて驚いたようなリアクションをするが構わず突っ込んで来る。槍を突き出して迎撃するがリザードマンも同じく槍を出してくる。
今度押し負けたのは僕だった。
「ぐぅっ⁈」
「ハハ、ドウシタ⁈ソノテイドカ⁈」
衝撃で何歩か後退させられる、リザードマンはそれを見て更に追撃してくる。槍のリーチ差を活かしてひたすら五月雨付き。
こんな時剣があれば叩き落とし易いが生憎と今は持っていない。咄嗟に振りやすいよう槍を短くもって払い落とすがやはり力が増しているようで妙に手が痺れる。
「サッキマデノイセイハドウシタ⁈オマエハソノテイドナノカ⁈」
「変身してから調子に乗って!」
思いっきり槍を叩き落とし再び懐へと潜り込もうとする。図体が更にデカくなったためさぞやり辛いだろう。
だがそれに反応したリザードマンは器用に尻尾を使って振り払ってくる。前のビショップと違い武装は付いていないがかなり太くこちらの方が脅威に見える。
「ちぃ!」
一度懐に入るのを断念するがリザードマンは接近した僕に掴みかかってくる。咄嗟に体勢を低くしてやり過ごそうとするが。
「コンナナガイモノ、ツカンデクダサイ、トイワンバカリジャナイカ!」
いつの間にかフードがずれていたようでリザードマンは僕の髪を掴む。
「ぐぅっ!」
「ハハ!チョコマカトウットオシイガツカマエタゾ!」
リザードマンは嬉しそうに僕をぶら下げている。
「女の髪に気安く触れるんじゃねぇ!」
近くに来た顔を蹴り飛ばすがリザードマンはあえて避けなかったようだ。直撃するがどこにも踏ん張れていない状態では威力が少なく効いた様子は見られない。
「ハハ!キカンナ!サテ、ドウヤッテイタブロウカ?」
何故髪を掴んだ位で鬼の首取ったようにしてるんだろうか。確かにこの髪はユミル達が切るのは勿体ないと泣き付かれたため伸ばし続けていただけだ、正直思い入れは少ない。邪魔なら切ってしまえばいい。
槍は使えないため魔法銃で吊るされた手に近い位置に魔法銃で撃ちこむ。
「ウオ!オマエショウキカ⁈」
髪に打ち込み切り離したことで自由落下を開始する。何かリザードマンは驚いていたようだが知ったこっちゃない。リザードマンは僕が離脱しようとすると咄嗟に蹴り飛ばしてくる。
「ぐっ!」
腕を使って防御するが強化されている蹴りは僕をジェネラルに殴られたとき以上の距離へと飛ばす。リザードマンは僕の髪を放り捨てると衝撃で立ち直りきれない僕をもう一度、今度は完全に胴体を掴んでくる。
「コンドコソツカマエタゾ!コレナラニゲラレマイ!」
「くそっ!」
抜け出そうともがくがガッチリ掴まれているため抜け出せない。
「オトナシクシテロ!」
リザードマンはもがく僕へと頭突きをかます。僕は咄嗟に首と頭に魔力を回して強化を施す、だがここで少し予想外…いや、忘れていたことがあった。
「バキャ!」
何かが割れる音と一緒に頭突きしあう形となったがリザードマンが怯んだのだ。それに僕のダメージが思ったよりも少ない。
「グ!ナンダ!ヘルムデモカブッテルノカ⁈」
僕の認識阻害の仮面に頭突きしたリザードマンは思ったよりも硬かったことに驚いている。頭へと魔力を回した際に仮面へも魔力が流れ、仮面の耐久力を上げたようだった。それでも割れてしまう。
(割と気に入ってたのに…。)
そんなことを考えながらリザードマンが怯んた隙に魔法を発動させる。
「マルチプル、ファイアージャベリン!」
「グオォォォ!」
五本の炎の槍が至近距離でリザードマンに炸裂する。僕も余波を少し浴びるが魔法防御は僕の方が高い上少し飛んだ火に当たる位で大したダメージはない。まともにくらったリザードマンは力を緩めたため腕から逃げ出す。
「クソ!ミョウナモノヲシコンデ!」
少し焦げたリザードマンが悪態を吐く。正直僕も忘れていた。僕の足元には二つに割れた仮面が落ちている。それとおでこを切ったのか少し血も流れている。
「血を流したのは久しぶりだなぁ。」
「ハッ!ソレハザマァナイナ!」
リザードマンは多少身体から煙上げながらも再び接近してくる。もう一度掴まれると今度は危ないかもしれない。
あまり出し惜しみもしている場合ではないようだ。だがこれを使うと僕自身どうなるのかイマイチわからない。
「これを任意で発動させるのは初めてだから…どうなるかわからかいよ?狂化。」
突如僕の雰囲気が変わったのに気付いたリザードマンは突進するのを中止し僕の様子を見るようだ。残念。
狂化のスキルの能力は身体強化魔法や付与術とは別ベクトルで身体を強化するスキルだ。ただしその時の感情に理性や知性が引っ張られ、半暴走状態となる。効果時間はそう長いものではないが一度発動させると効果終了までは如何なる魔法による解除も受け付けない。
血でも入ったのか視界が赤く染まっていく。今の感情に身体が理性といったものが引っ張られていくのがわかる。
笑うところではないのに口角が上がっていくのが止められない。別に僕はバトルジャンキーじゃない、命の取り合いなんて本当はしたくない。するしかないからしているだけだ。
なら何が僕の口角を上げさせるのか?怒り?違う。憎しみ?それも違う。まずそんな感情では口角なんて上がらない。
街で娼婦達が襲われた際、僕が泣き叫びながら暴れ回ったのは、少女を殺されかけた怒りと人が死ぬことへの恐れとそれを成す魔獣達への恐怖だった。暴れ回ったのは魔獣を脅威に感じて排除しようとした結果だった。
ならこの感情は?その答えは嬉しさだった。こいつらを排除すればこの戦いが終わる。やっと休める。元の生活に戻れる。そんな期待が僕の口角を上げさせている。
だがその感情は魔獣を殺すことへの喜びに変わりつつある。こいつらを殺せばそれだけ平和に繋がる。倒せば倒すだけ人のためになる。こんなに嬉しいことはない。手を汚すだけ人の助けになるのならいくらだってやってやれる。それでユミルが褒めてくれるなら頑張れる。胸を張っていられる。だから笑う。
リザードマンは僕の顔を見て後退りする。
「おいおい?人の顔見て怯えるとか失礼じゃないか?これでも僕は美少女なんだぜ?」
リザードマンは自分が後退ったことに気付いていなかった。指摘されて初めて自分のしていることを認識した。
「ナ、ナンナンダオマエハ!」
リザードマンのセリフにキョトンとしてしまう。
「シルフィだよ?さっきから君にボコられてた小さな少女さ。甚だ遺憾ではあるけどね。さて、再開しようか。突撃。」
「ウオォォォ!」
リザードマンは辛うじて僕の動きに反応した。低姿勢で突っ込んでくる僕に槍を降り下ろそうとする。だがそう何回も同じことをされれば対応策は浮かぶ。
「グッ⁈」
魔法銃で槍と持っている手に何発か撃ち込む。それだけで勢いは落ち狙いも外れる。僕の横に落ちた槍が地面を抉るが当たってないなら気にしない。
そのまま通り過ぎてざまに横っ腹に一撃加えて通り過ぎる。
狙いはリザードマンではなかった。狂化で理性が効き辛くなっているため我慢していたことを我慢しなくなっていた。僕の目線の先にはユミル達と戦うゴブリンが居た。
ユミルは隊長格3人と共にゴブリンを相手に奮戦していたが流石に防戦一方になりつつあった。魔導師隊を率いていた人物がゴブリンに一矢報いて死亡していたのだ。ゴブリンの足には負傷しており、片手も怪我をしているのか少し鈍い。
「ゴブリン!ウシロダ!」
脇腹を凹まされて体勢の崩れているリザードマンがゴブリンに注意を呼びかけた。ゴブリンは無理矢理斬り合っていた団長さんを吹き飛ばすと振り向きざまにシミターを一閃する。
「フッ!」
「ウラァ!」
「シルフィ様⁈」
ユミルが悲鳴を上げる。だが僕には当たらなかった。シミターが当たるギリギリを計算して止まっていたのだ。ゴブリンは当たらなかったことに驚いた様子だがその一閃の勢いをそのままにターンして更に追撃しようとする。
だが戦闘中に背中を向けていいのは格下かせめて同格までだろう。自分よりも強い相手に背中を見せ一時的にも目を離すのは下策だ。
背中がガラ空きになった瞬間を見逃さず槍で一突きする。やはり魔装なのか妙に鎧が硬いがそれでもその鎧を破壊して背中へと攻撃が届く。
「アガァ!」
背中の一部を破壊されて重症近い傷を負ったゴブリンが悲鳴を上げる。更にもう一撃まだ健在な方の肩を破壊する、鎧がないので簡単に貫けた。胸部付近は割と装甲が厚そうなので攻撃は見送った。
だがそうしている間にもリザードマンはこちらに接近して来ていた。
「オマエノアイテハオレダロウガ!」
近づいて来ているのはわかっていたため振り向かずに魔法銃を連射しておく。当たらなくても牽制にはある。その間にゴブリンは体勢を整えようと僕から距離をとろうとする。
「くそが!」
「ゴブリンを逃すな!野郎は重症だ!畳み掛けろ!」
団長さんの言葉でユミル達がゴブリンに殺到する。あれなら僕が手を出さなくても大丈夫そうだ。リザードマンの相手に戻る。ユミルは僕の顔を見て泣きそうな顔をしていた。やはり口角が上がっているのが怖いんだろうか?
「クッ!ヤッテクレタナコムスメ!」
リザードマンが飛びかかってくるが地面から足を離せば回避が難しくなるだろうに。槍でなぎ払う。リザードマンも槍を合わせてくるが強化された僕の膂力が上回っているようだ、押し返されれる。
「クソ!ナンダソノチカラハ!オレノリュウノイカリヲウワマワルナド!」
正直長文だととても聞こえ辛い。速く終わらせよう。至近距離で槍を投げる。魔力は大して纏っていない。リザードマンはそれを叩き落とそうとするが手元にすぐ戻す。
空ぶったリザードマンは面食らった様子だがこいつはついさっき僕が槍を戻したことを忘れたんだろうか?
今度は尻尾に警戒しながら懐へと飛び込み体重と勢を込めた突撃を行う。今度はちゃんと命中してリザードマンの身体がくの字に曲がる。
「グヴォ!」
体勢が下がり頭が落ちて来たところで槍で突き上げる。今度は身体が伸び上がり胴がガラ空きになる。そのまま五月雨突きの要領でラッシュ。鎧は確かに頑丈だが何度も攻撃すればやがて壊れる。リザードマンの素肌らしい鱗が見えて来る。
「イツマデモ、ヤリタイホウダイ、ヤルンジャ、ネエ!」
リザードマンの中の魔力が集中していくのを感じ顔を上げるとリザードマンは喉の辺りを光らせている。まさかドラゴンが使うようなブレスでも吐くつもりだろうか?竜の怒りとか持ってる位だし。
だが後方ではユミル達がゴブリンを追い詰めている。回避すればそちらに害が及ぶかもしれない…だがこいつはやはり馬鹿なんじゃないだろうか…。
リザードマンが何かを発射する瞬間喉奥に向けて魔法銃で込められるだけの魔力を込めて発射する。そして炸裂。
吹き飛ばされるがほとんどの衝撃はリザードマンの中だ。動きを止めているリザードマンを見てみると口から煙を出して白目剥いている。そりゃあ発射されるのわかってるなら邪魔位するだろう。至近距離でしかも回避出来なさそうな状況ではあったが浅知恵過ぎる。
アニメやドラマなら発射される瞬間まで見届けるような物も多いが現実でそんなことしていれば命がいくつあっても足りたい。
動きを止めたリザードマンに槍を投擲すると回避も防御もすることなく直撃。胴体を通り過ぎ背中を貫通し風穴を開けた。鑑定結果は。
名称:リザードマンロードの死体
結果を見届けてユミル達を振り返るとちょうどユミルへとゴブリンがシミターを振り上げている瞬間だった。
誤字報告、感想お待ちしてます!




