オークジェネラル2
「はぁっ!」
槍をジェネラルに投擲する。ジェネラルはそれに気付くとどこかで拾ったのか盾で防ごうとするがその程度では僕の槍を止められない。
「ガアァァァァァァ!」
槍は盾を貫通してジェネラルの腕を半ばまで削り取り後方へと飛んでいった。勿論すぐ僕の手元まで戻って来る。
ジェネラルは爆ぜた腕を押さえて絶叫するが再生の力かその腕はすぐ元通りに治ってしまった。だが鑑定してみると先程よりHPが削れMPも少なくなっている。どうやら再生を使っても完全にダメージを無くせるわけではないようだ。
オークジェネラルは他のオークより一際身体が大きい。通常のオークは2m前後の背丈だがジェネラルは3m近くありそうだ。身体も脂肪分多めのオーク達と違い引き締まった身体をしている。手には冒険者から奪ったのか鉄製の棍棒を握っているがサイズが合っていなさそうだ。小枝を持ってるように見える。
ジェネラルは今の一撃で僕を敵認定したようだ。ナイトを僕との間に移動させながらこちらへと突っ込んで来る。
「じゃぁ、さっき行った通りに頼むよ?」
「はっ!お任せ下さい!」
ユミルは援護に徹して隊長さんと他数人がナイトをジェネラルから遠ざけるように動いた。ナイトはジェネラルを守ろうとするがやはり知能の低い魔物。誘導されてジェネラルから離れていってしまう。
ジェネラルはそれでもお構い無しに突っ込んで来る。投擲するには距離が近くなっているしもう無いと思っているんだろう。だが投擲しなくても近い技ならまだある。
「突撃」
槍を突き出しながら突進する基本技だ。体重が重く脚力が高い程威力の上がる技だが僕は無理矢理格で上がった筋力で威力を上げる。
ジェネラルは面食らったような顔しながら棍棒で迎え撃つ。動きが鈍重なためか回避する気はないらしい。棍棒が槍に迫る、当たれば普通の槍なら折れてしまうであろう勢いで棍棒が振り下ろされる。だが当たらなければどうということはない。
目も良くなったため棍棒の軌道が見える。突撃した状態で方向を変えるのは無理でも多少槍先をずらすこと位なら簡単に出来る。
ジェネラルの棍棒は僕の槍を叩くことなく横を素通りし地面を強か打ち付ける。そのまま僕は体制の低くなったジェネラルの頭に槍を突き付けるが相手も咄嗟に頭の位置をずらした。
結果的に僕の槍はジェネラルの肩を破壊して止まる。ジェネラルの身体はやはり硬い、肩を吹き飛ばす気でいたのに深く刺さるだけで止まってしまった。
ジェネラルは怒りの声を上げながら残った腕で殴りつけて来る。突撃の反動から回復しきっていなかった僕は咄嗟に地面から足を離しながら防御姿勢をとった。
ジェネラルの膂力で殴られた僕はそのまま後方へと数mも吹き飛ばされる。威力はほとんど流れたはずなのに殴られた腕はジンジン痛む。本気で受けようとすれば骨にひびが入ったかもしれない。
「痛っー。」
殴られた腕をぶらぶらさせながらジェネラルの様子を窺う。既に肩の再生が始まっており今から攻撃しても回復しきってしまうだろう。僕も腕に回復魔法をかけながら次を考える。
ジェネラルになってステータスこそかなり上がっているが知能は普通のオークと大差ない。力任せの単調な攻撃ばかりだがその力が問題だ。一撃一撃の速度は大したことはなく回避に専念していれば当たることはほぼないだろう。
だが攻撃に転じて回避が疎かになった場合、その一撃だけでかなりのダメージを受けることになる。紙一重で回避するような胆力も判断力も無い僕では攻撃されれば大きく飛び退くようなことしか出来ない。
このままジェネラルと一騎打ち出来るならそのうちジェネラルの動きに慣れて来るだろうし長期戦するなら僕の方が有利かもしれないが周りの取り巻き達が参戦すると僕が不利になる。
連携らしい連携などして来ないが絶えずいたるところから攻撃されれば僕だって回避しきれない。ジェネラルに比べれば大したことなくても数が重なれば響いてくるだろう。
ユミル達が奮戦してナイト達を寄せ付けないようにしているが向こうもギリギリの様子だ。正直援軍は期待出来ないかもしれない。
「僕だけでどうにかしないといけないかな。仕方ないなぁ。エンチャントSTR、エンチャントAGI、身体強化、プロテクションシール、エアロブースト、アーマープロテクション。」
防御系魔法と付加、強化を重ね掛けする。魔力はまだ残っているためそこまで気にしなくてもいいが残量が半分切らないように温存しておきたい現状では味方にまで掛けて回る余裕は無い。ここでどうにか決めないといけない。
僕はもう一度ジェネラルに突っ込む。どちらにしろ近づくか魔法で削るしかないがまだ魔法は温存しておきたい、そのため接近戦での殴り合いになる。勿論僕はほとんどの攻撃を回避しているが。
ジェネラルはその体力と防御力に物言わせて回避無視でガンガン棍棒を振り回してくる。僕は回避しながら出来るとき出来るときで淡々と攻撃を当てていく。
特に何か掛け声を上げるだとか叫ぶだとかは無い。互いに淡々と攻防を続けた。アニメなんかであればバトルジャンキー同士が笑い合ったり何か声をかけてあうんだろうが僕らは別にそんなことはしない。
特に決め手も無いまま回避と攻撃、攻撃と回復を続ける。ジェネラルの魔力はそろそろ空になりそうだ。だがジェネラルはオーク達を呼び寄せることもなく僕との戦闘に専念している。
途中からジェネラルの動きに慣れてきた僕は正面以外からの攻撃もし始める。棍棒の攻撃も見た目程威力が無いのか槍で受け止められることがわかってきたためより前に出られるようになった。
金属同士の打ち合う音が響くが剣同士のキンッ!という音と違い僕らのは鉄塊同士がぶつかり合うようなゴパンッ!と音が鳴る。
靴の力も使ってより立体的な攻撃も開始する。空中で何度も方向転換し背後や逆に正面、左右縦横無尽に跳ね回って槍で突き、剣で斬り裂き魔法で焼いた。長期戦過ぎると僕の集中が切れそうなため仕方なく魔法も解禁する。
ジェネラルも負けじと棍棒以外に空いている手や足も使って僕の動きを封じようともがく。その攻撃も普通の騎士がくらえば鎧をひしゃげさせ肉を潰すだけの威力があるが当たらなければやはりどうということはない。
僕らの周りには誰もより付かなくなり将二人の一騎打ちのようになっている。少し離れた場所で騎士とオーク達が戦いを続けており、アニメでありそうな光景だが現実でもこうなるとは意外だった。
鑑定で残りの体力を気にしながら戦い続けジェネラルの魔力が尽き体力が半分を切った時ジェネラルが動いた。
「ガアァァァァァァ‼︎」
ジェネラルの叫び声と共に周りのオークの動きが変わった。
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