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これが僕の異世界転生⁈ 改訂中!  作者: ヒロちゃむ
僕の異世界奮闘 幼年期 準備期間です!
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シルフィの日常2★

 こうして屋敷内を遊び回っているシルフィではあるが、ただ遊んでいるわけではない。


 シルフィは最近入り浸っている場所があった。


 シルフィ(パパ)書斎だ。


 まるで図書館のような広さの部屋にかなりの数の本が収納されている。その数は百や二百なんて数ではないだろう。


 シルフィはここで借りて来た本をセシルに読んでもらいながら文字の読み書きを練習している。


 本の中には難しい内容の物だけではないためだ。


 元々はそこまで勉強熱心なわけではないが、読み書きができて損はない上、必ず必要に駆られるだろうからだ。


 とくに習い事などは始まっていないため、散歩(冒険)以外だと本を読むか寝るか魔法を練習するくらいしかない。


 イメージ的に貴族なら習い事などありそうだが流石にこの年齢ではさせないようだった。


 結局シルフィは自分で行動するしかない。


「今日はこれー!」


「かしこまりました。内容は『王国七本槍』…。よくある昔の英雄譚ですね」


 どこかで聞いたようなパチモン内容だった。内容は昔とある戦で活躍した7人の将の話だ。


 書斎には魔法に関する本もあれば歴史や地理、と言った真面目な物から先程の英雄譚や冒険譚のような内容もある。


 読者が嫌いではないシルフィには余程難解な内容でもない限りは楽しんで聴くことができた。


 セシルも特に嫌な顔もせず付き合ってくれているため、読み書きは順調に進んでいるため充実感もある。


 だが、その中でもシルフィが気にしている内容は娯楽物としての書籍ではなく魔導書と英雄譚だ。


 英雄譚に登場する人物の名前に『マコト・ユウキ』と呼ばれる人物がいるのだ。


 いくつかの書物に登場し、この王国を建国する礎を築いた人物であり黒髪黒目で顔の彫りの浅い人物だったと書かれている。


「むぅ、せしー、ユーキて誰?」


「シルフィ様、ユーキではなくユウキ、ですよ。私もイマイチどんな人物なのかわかりませんが、この辺りの人種ではなかったとよく言われていますね


 まぁ、男だった女だったと証言が変わるため、本当に居たのかすら疑問視されている英雄ですね」


 セシルからそう説明を受けるもののシルフィはマコトと呼ばれる人物は存在していたと考えていた。


 転生したシルフィとは違い、召喚されたか何かしらの超常的な力でこちらの世界に迷いこんだ日本人だろうと。


 前世とは明らかに違う異世界がある以上は同じ世界から来たのか前世の世界に似た他の世界から来たのかはわからないが、特徴的に日本人ぽいのだ。


 その上、西洋文化の濃いこの世界で味噌や醤油、米がある。


 これはきっと『マコト・ユウキ』影響なんだろう。


 これが何かしらチート的な能力があって日本文化をこの世界に持ち込んだのか、それとも知識チート持ちだったのかはわからない。  


 英雄譚には珍しく、特に何か得意だったことや能力についつ書かれていないのだ。


 それでも彼か彼女かの影響か、この世界は一部の暮らしについては前世と大差ないようは生活ができるようになっている。


 エアコンや扇風機のような設備や水洗トイレなどがあった。調理場には冷蔵庫擬も発見できた。


 水洗トイレについてはフォシュレットのような機能はついていないがデザインはよく似ている上、レバーを引けば水が流れる。


 シルフィははじめ、色んな意味で苦戦させられたものだった。


 シルフィ自身は専門知識はないが、トイレには下水道などの設備が必要なのはわかる。それがどれだけ難しいのかすらわからないものの専門的な物になるだろう。


 それもユウキなる人物がどうやって持ち込んだのかわからないが只者ではなかったんだろう。


 奇跡的に下水道工事の担当者や配管工だった可能性はあるが…。




 それからもシルフィは書斎にあるセシルが読める書物を読み漁り、文字の読み書きをほぼ完璧に覚える。


 この世界の文字と前世の文字では色々違っていたが言語そのものを覚えていたおかげか比較的簡単に覚えられていた。


 それでもセシルがいなければシルフィは本を取り出すことも簡単な本で勉強することもできずに古代遺跡の文字を分析する考古学者達の如く翻訳することに苦心するはめになっていたはずだ。


 それに子供で魔法を使うとどんな風に思われるかんからないためコソコソ行動するはめにもなっただろう。


「せしー、ありがとう!」


「いえいえ、どういたしまして。こちらこそ、あまりお力になれず…」


「んーん!」


 結局、いくつかセシルも書物を探してもらったものの、ユウキ・マコトなる人物についてよくわからなかった。


 シルフィ本人も興味本位で調べてもらっているためそこまで気にしていなかった。


 それに、セシルが居なかった場合その発見もそれについて調べることすら遅れていただろう。


 感謝こそすれ失望することはなかった。





 そのままお昼近くまでは書斎で過ごした後は魔法の特訓に移行する。


 書斎には魔法に関する本はあるが、読んだだけで扱えるようになる代物ではないため、練習は必要だった。


「さてシルフィ様、今回も教えるのは身体強化魔法です。前回は少々暴走しましたが、今回は気をつけてやっていきましょう」


 教官のようにシルフィの前に立ったセシルは目の前を行ったり来たりしながら魔法について説明していく。


「あい!」


「これは基本的な魔法ですが、基本であり、応用にも使えます。一流の魔導師は魔法戦以外に身体強化による接近戦すらこなしてみせます」


 セシルは魔法の説明しながら魔法の詠唱を開始する。




 だが、それを聴いているシルフィは徐々に顔色を変えいった。


 その内心はこうだ。


『これ、厨二病臭い⁈』と。


 臭い、そう、物理的にではなく精神的に臭いのだ。


 前にも聴いていたため、内容はなんとなく覚えていたが、改めて目の前で聴かさせると黒歴史に悶えそうな内容の詠唱だった。


 唖然とするシルフィにも気付かずセシルは身体強化を発動させる。


 詠唱時間は僅か5秒にも満たない時間だが、それだけでもシルフィには精神的に大きなダメージを与えていた。


 一瞬、セシルの身体を淡い青色の光が包み、そして消える。


「シルフィ様、これが身体強化となります。魔力の消費量に比例して本人の身体能力を上昇させるので本人の能力が高い程効力は高まります。1部の者はこれを無意識下で使いますけどね。さて、ではやってみましょうか」


 ちなみに説明を受けている間もシルフィは呆然としっぱなしだった。


「あぃ。うーん」


 そのためシルフィは詠唱無しでどうにかしようと魔力を動かし出す。勿論詠唱無しでも魔法は使えるが、それは玄人向けだった。


 こちらの世界では大丈夫でもシルフィにとっては恥ずかしい単語の羅列でしかなかったため、仕方なくはあるが…。 


「シルフィ様?」


 魔法の詠唱を始めずに唸り始めたシルフィに怪訝な顔を向けるセシルだが、シルフィ的にはこれは死活問題になる。


 もし、戦闘に巻き込まれれば自分の詠唱に身悶えしながら戦う必要がでてくる。


 シルフィには耐えられなかった。


 何となく自分の内側にあるパトスを感じようとするとパトスではないにしても身体の内側のナニカは感じとることはできた。


 何となくそれを身体に纏わせるように動かすと身体中を淡い光が包み始める。まだセシルが見せた物より薄いが確かに強化の光だった。


 シルフィは感覚派だった。


「ふおぉぉぉ!……ん?」


 1発で成功させてテンションの上がるシルフィだがすぐに誰かに抱えられる。


「シルフィ様、今度は走り出さないで下さいね?」


 セシルだった。前回と同じ轍は踏まないように注意していたようだ。


「それに、無詠唱で魔法を使いましたね?」

 

「ん?ダメ?」


「いえ、それは構いませんが……最初は詠唱をした方が楽かと思いますよ?」


 セシルからすれば突然無詠唱で魔法を使おうとしたシルフィに驚かされるが、別に無茶な方法ではない。セシルも行えることだった。


 シルフィは1度は詠唱で身体強化を発動させたため、今回も詠唱で覚えさせようと思っていたセシルからすればかなり意外ではあったが…。


「それにしても無詠唱で発動させるとは……やはり特別なんでしょうか?」


 小声で呟くセシルだが抱き抱えられている上、身体強化されているシルフィにははっきりと聞こえた。


「ん?」


「いえ、何でもありません。さて、歩いてみましょうか」


 そのまま1度シルフィを降すと今度は手を繋ぎながら歩く練習をする。


 まるで歩き始めた子供への対応だが、今のシルフィは魔法を発動させ続けるのに意識が向いているため何をしだすかわからなかった。


「いっち、にー、さん、しー!」


 この身体、動くぞ!とどこかのネタを口走りそうになるのを堪えながら、軽くなった身体でシルフィは歩く。


「ん〜?」


 だが、しばらく歩いていると徐々に自分の中から何かが失われていくのをシルフィ感じ取る。


 おそらくそれが魔力なのだが…。


「せしー、どうやって終わるの?」


 シルフィは無詠唱で始めたため、意識的に切らない限り効果が終わらない。だが、纏わせるように動かした魔力をどうすればまた戻せるのかイマイチわからなかった。


 体内に戻そうとしてもただ内側、筋肉に強化の比率を上げることにしかならなかった。


 そして、そこからが問題になる。


 前回と違い、走ったりしていないため消費される魔力量は少ないがこのままにしておけばまた気絶コースになる。


 そのためセシルに説明を求めたのだが…。


「えっと…こう、魔力をググッと動かしてこう、スンッて周りのを消すようにするとフワッと纏っている魔力が消えると思うんですが…」


 身振り手振りで表現しようとするセシルだが、残念ながら無詠唱を教える才能はなかった。


 セシルも無詠唱は感覚派だった。


 5分後。


「シルフィ様!こうです!こう!魔力の流れを断つんです!」


「どうやって⁈」


 セシルは珍妙な動きで魔力を止めようと試みたがシルフィには理解できず。


 10分後。


「えっと…えっーと…そうです!流れてるところに岩を置くイメージです!川の流れを止める!的な!」


「ふぇ⁈えーと…」


 結局止められず。


 20分後。


「一体何事です⁈」


 流石に騒ぎすぎて他の者達も異常を感じて集まり、みんなしてシルフィの身体強化を切ろうと試みる。


「いっそ『抗魔術』で止めますか⁈」

「いや!そんなことしたら身体強化に回した魔力全部霧散して気絶してしまうぞ!」

「ならどうしろと⁈」

「それを今考えてるんだろうが⁈」


 てんやわんやの大騒ぎになった。


 30分後。


「はぁ、はぁ、はぁ」


「なんとか切れましたね」


「はーい、みんなお疲れさん!解散だ、解散!持ち場に戻れー!」

「はー、一仕事したねぇ」


 なんとか身体強化を切ることに成功したものの魔力の大半を失ってしまったシルフィ。


 魔力は一度動かされると、それを続けようとする性質がある。


 そのため、無詠唱を使って魔力を操作するとそれをちゃんと止められないとひたすら魔力は消費されてしまうのだ。


 詠唱がある場合、それによってある程度の消費量や出力を調節されるため、初めてはそれから始めなければ今のような事故がよく起こる。


「とりあえず今日はここまでにしてまた明日にしてしまいましょう。それに、これなら他の者にも協力してもらって適正属性の物は覚えてしまいましょうか」


 セシルは身体強化しか使えない。


 身体強化以外は他の者に頼むしかないのだ。使えないものは教えられないのだから仕方ない。


 魔法は全部で7属性。


 火力特化の火属性。


 万能(器用貧乏)の水属性。


 範囲と手数の風属性。


 物理と質量の土属性。


 回復と支援の光属性。


 デバフと暗いこと全般の闇属性。


 それ以外の無属性。


 魔力があっても、属性適正がなければ無属性以外は使えないのだ。


 もちろん、これっぽっちも、まんじりとも使えないわけではないが、本当に小さな火種を出すとか、ちょろっと水を出す程度しか使えず効率も悪い。


「私以外にも魔法を使える者はそれなりに居ますからどの属性にも対応できます。楽しみですね」


 セシルはそう言って微笑む。


「あい!」


 シルフィも魔法を教えてもらえるのは願ってもないことのため元気に返事を返した。




 その後、前回に引き続きトラブルを起こしかけたセシルは上司方に絞られそうになる。


 勿論、そこにシルフィが突入して結果的に有耶無耶になってしまうが、セシルはよりシルフィの元から離れる時間が少なくなってしまうのだった。







きっと面白くなるから…今はちびっ子シルフィを見守ってあげて下さい。_(:3 」∠)_


あ、ブクマが少し増えてる!ありがとうございます\( 'ω')/

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