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麻薬エルフ   作者: 銀玉仮面
メキシコ編
7/26

4-1『Cabeza de vaca』

評価や感想お待ちしてます!




「...っ、う...、ここは...。」


「目覚めたか。」


「ッ、誰!?ここは何処なの!?...あっ...ぐっ...。」


目が覚めると、少女は大きいベッドに寝かされていた。部屋はホテルのスイートルームと比べても遜色のない程豪華だった。


「暴れると痛むぞ。」


「貴方は誰...?アイツらの仲間...?」


「自己紹介がまだだったな。私はカラミティ・ゴールドウィン。この屋敷は私の拠点であり、我がゴールドウィングループの物だから奴らはそうそう入れん。一先ずは安心して欲しい。」


カラミティと名乗った男は身長は優に2メートルを超えており、頭のあるはずの場所には牛の頭蓋骨があり、その上から低めのシルクハットを被っていた。


「そう...。」


少女は少しばかり安心した様子で、一度起こした体を再びベッドに預ける。目の前の怪しい大男からは敵意を感じなかったというのもあるが、この体では碌に動けないと判断したからでもあった。


「君の名前は?」


「私の、名前...?なまえ、ナマエ...?...アッぐっ...!な、まえ...。」


自分の名前を思い出そうとしただけのはずが、凄まじい頭痛に襲われる。思い出すのを止めた途端、嘘のように頭痛は収まる。


脳が止めているのか、自分は存在しない記憶領域にアクセスしているのか。

そんな事を考えても仕方が無い、結局正直に答えるという結論に至る。


「...思い出せない。」


「そうか...。なら、私の養子にならないかな?」


「はぁ?何言ってるの?」


「なに、新しい身分と名前を与えようと言っている。端的に言うと、君の復讐のお手伝いをするという事だ。ゴールドウィンの名前があれば役に立つ場面もあるだろう。それに、私には金とコネがある。」


「...ッ、何故、それを。貴女は何処まで知っているの?」


「カルテルの連中の動向は常に監視している。君の情報も当然、私の元に入って来る。そこから予想をすれば...まあ大体分かる、という訳だな。」


カラミティは窓から景色を見下ろしたまま、淡々と話す。


「じゃあ...知ってて助けてくれなかったの!?どうしてッ!」


「あの悪魔共と敵対するにはメリットが無さすぎる。勢力が落ちているとは言え、下手に争いになれば社員やその家族に大勢の犠牲が出るだろう。そんな勝手な真似は出来ない。」


「見知らぬ命の為に血は流せない...か。」


「私も...助けてあげたかったよ。だが、臆病者にとって、今の均衡状態は何より大事なんだ...。」


牛の頭蓋骨の被り物のせいで表情は読めないが、カラミティの言葉からは静かな怒りが読み取れた。


「そして、私の子供達...と言っても、私に妻は居ない。全員養子だが、後継者候補で有力な者が、カルテルと手を組もうと考えている。グループの看板に泥を塗る様な行為は断じて許せない。そこで、君にはカルテルとそれに与する者達を粉砕して欲しい。」


「でも良いの?気に入らなかったら殺すけど。血は繋がって無くても自分の子供よ?」


「構わんさ。だが、殺すのは明確に敵意を示した者だけにしてくれ。...恥ずかしい話、私の教育ミスさ...。」


「良いのね...。でも何でそんなに急いでるの?」


カラミティは少し考えた後、少女の方向に向き直る。


「私はもうすぐ死ぬ...寿命でね。時間が無い。ここで切り札を押さえておきたいんだよ。」


「そうゆう事。死ぬまでに奴らに対する策と、正しく自分の遺志を継ぐ後継者が必要って訳ね。...私も家族の仇を討ちたいし...助けてくれた借りは、貴方が死ぬまでに返したい。良いわ、協力してあげます。ただ、後継者なんてのはゴメンよ。」


カラミティの漂わせる雰囲気が安堵に変わった。


「ありがとう、後継者はまた後で考える。...これで、一安心だ。...さて、養子になるにあたって、君の名前を何にしようか...。名付けなんてやった事が無い。親は居なくても名前はある子が多かったからね。」


「ねぇ、この流れてる曲は何?」


部屋に置かれた壁掛けのテレビでは、半世紀以上前の名曲特集と題した音楽番組を放送していた。


「うん?これか...?『Killer Queen』だな。名曲だ。これがどうした?」


「『Queen』って名前は?」


「二つ名や名乗りとしては良いと思うが...名前には適さないだろう。」


「じゃあ、この曲は?」


「これは...おおっ、フランク・シナトラの『Fly Me to the Moon』だな。もうじきリリースから100年経つが、名曲だぞ。」


「...シナトラ。それで良い。」


「ふむ...シナトラ・ゴールドウィン。悪くない。決定だな。ではその名前で登録する。出身はスラム街で拾われた為不明という事にしておく。」


左腕は義手なのだろうか、カラミティは腕から空中に出力された画面を見ながら、慣れた手付きでそれを操作する。


「...答えられなければ良いんだが、質問をいいかな?」


「...何。」


「君の回復力は正直言って信じ難い物だ。何をされた?」


「マンドラゴラとシヴル草の根、それと...多分覚醒剤とか色々入ったのを使われたの...。頭がバチバチして、色んな物が見えて、色んな事が理解出来るようになったの。」


カラミティは興味深そうに少女を見詰め、牛の頭蓋骨の顎部分を指でさする。


「ふむ...希釈はされていたんだろうか...だがそれだとあの傷で生きていた理由が...うぅむ...分からない。」


「希釈?してないって言ってたわ。打たれた後だったけどね。死んでもおかしくなかったらしいけど、生き残っちゃった。」


「なんだと!?あんな物を間違いとは言え、原液で打つなど正気では無いな!アレは一歩間違えれば廃人どころではない、最悪、文字通り脳が溶けるよう代物だ!希釈すれば一時的な脳の機能拡張による快楽と、それの増幅やらはあるだろうが...子供の遊びにしても度が過ぎる...。」


「お陰様で体は丈夫になっちゃったけどね...ねえ、私もう眠いわ。他の話は明日聞くから、部屋から出てくれない?」


「ここは私の部屋なんだが...まあいい。おやすみシナトラ。明日は君の武器を見繕うとしよう。」


「それなら、服とドレスも欲しいわ。」


「洋服は分かるが、ドレス?何故だ?」


「バトルドレスってのは可愛く無いの。女の子は何時でもセクシーキュートで可愛くないと。...ま、何時死ぬか分かんないし、着れる時に着ておきたいってだけ。」


「...分かったよ。今日はもう休むといい。」


そう言ってカラミティは部屋から退出する。しばらく待った後、少女は恐る恐るドアに近付き内側から鍵を掛ける。


(当然鍵はあるでしょうけど、閉じ込められるのと内側から鍵を掛けるのとじゃ、全然違うな...。)


僅かな安心感を手に、少女はもぞもぞとベッドに戻って行き、そのまま気絶する様に眠りに落ちた。



翌朝、ドアがノックされる音で目が覚める。時刻は


「まだ10時じゃないの...何ー!?」


ドアの向こうからカラミティの声が聞こえて来る。


『服と武器を見繕うと言っただろ?意外にお寝坊さんなのかな?』


うるさい牛頭だ、と少女は心の中で呟いた。厳密には、カラミティは牛の頭蓋骨を被っているだけで、牛頭という訳では無いのだが。


「今着る服が無いんだけど。」


『そうだったな...メイドに持って行かせる。女性なら部屋に入れても構わんだろう?』


「ええ。...そう、あったらでいいんだけど...服は長袖が良いわ。あとロングスカートに、ニーハイソックス。長手袋も頂戴。首元と顔以外隠したいから。」


『注文が多い娘だ...持ってこさせよう。それまでにシャワーにでも入っていろ。その間に部屋に置かせる。』


「はーい。」


部屋の奥にあったシャワールームに入ると、脱衣所だけでも結構な広さがあった。着ていた服...と言っても、薄い手術着の様な物を脱ぐ。


温かいシャワーを浴びると、眠気は気持ち良く消えて行く。鏡に映る自分の体には夥しい数の傷。いつの間にか撃たれた箇所の傷も治っているが、しっかり跡は残っていた。


この傷を隠す為にと、カラミティにわがままを言っておいた。


「ふー...あら?」


「あ、失礼致しました。旦那様の指示でお召し物をお届けに参りました。マハラと申します。」


「ありがと。それじゃ、出て行ってくれない?」


服をベッドに置いたマハラは小さく驚いた後、困った様な表情になる。


「しかし、旦那様からはお着替えも手伝うようにと仰せつかっております。」


「...あまり、誰かに体を見られたくないだけ。特に裸は。」


「...分かりました。準備が出来ましたら部屋の外で待機しておりますので、お声掛け下さい。それでは、失礼します。」


マハラは少女の体を見てある程度事情がある事を察し、素直に部屋を出て行く。


「うっ...慣れてるハズだったけどフリフリのお洋服...そっか、私はシナトラ・ゴールドウィン。大金持ちの養子なのよね...めんどくさ〜い!」


愚痴を零しつつ、用意された服に着替えて行く。ベージュの長袖のブラウスに黒いロングスカート、黒のソックス、肘近くまで覆える白い手袋。

オーダー通りだが、よく揃えたなと思った。


部屋から出ると、マハラがドアの近くに控えていた。


「お待たせ。準備完了よ。」


「ではこちらへ。」


マハラの後を着いて行き、エレベーターで地下の駐車場まで向かう。

降りてすぐの所に車が停っており、運転手が後部座席の前で待機していた。


ロールスロイス ファントム・ライト。言わずと知れた超高級車の最新型、最高クラス。そこに様々なカスタムや防弾装甲等のオプションを付けている為、総額100万ドルは優に超えている。


観音開きのドアから入ると、後部座席には既にカラミティがワイングラス片手に寛いでいた。後部座席は広く、ディスプレイや冷蔵庫等も備えていた。


「待っていたよ。...似合っている。元が優れているからかな。」


「こんないかにも"お嬢様"って服、気に入らないわ。それに、欲を言うならコートが欲しかった。」


「急なオーダーだったからな。我慢してくれ。先ずは...武器のテイスティングだ。...出してくれ。『シルバーサーティーン』だ。」


車はカラミティの指示された場所へ向けて発進する。



15分程走った後、車は1つのレストランの前で停まる。そこはメキシコシティ随一のイベント会場でもある、アレナ・メヒコの近くに構える繁盛店だった。


何故レストラン?朝御飯は確かに食べてないが、と考えていた時、運転手によってドアが開かれる。


「ここだ...着いて来なさい。」


「こんな所に本当に武器があるの?」


「来れば分かる。シナトラ、我々の入口はこっちだ。」


カラミティに案内され、店の反対側の従業員専用の入口に向かう。インターホンのカメラに向け、カラミティがポケットから取り出した金貨を見せると、扉が開き中から出て来たスーツの男に招き入れられる。


「久しぶりだな、ルゴ。」


「こちらこそ。お久しぶりです、ゴールドウィン様。お嬢様もこちらへ。」


ダミーであろう事務室の様な場所を抜けて案内されたのは、レストランの厨房では無く、落ち着いた雰囲気の応接間だった。どうやら厨房に繋がる裏口はまた別の場所にあるらしい。


「テイスティングをご希望との事ですが...使われるのは...」


「この娘だ。新しく入った養子で、名はシナトラ。」


「...成程。用途をお聞きしても?」


「人殺す為に決まってるでしょ。ハァ...カラミティ、私は銃を用意すると聞いて来た。心理カウンセラーなんて呼んでない。」


シナトラは我慢出来ず、机にハイヒールを乗せ不満を態度で表す。ルゴは驚きの表情を隠せていないが、カラミティは...相変わらずの牛の頭蓋骨のせいで表情もへったくれも無い。


「...お酒は無いの?」


「机に足を乗っけない。...ルゴ、ウィスキーを二人分、下に持って来てくれ。先に向かうが、ソムリエに連絡は行っているな?」


「問題御座いません。...お嬢様、御無礼をお許し下さい。」


「貴方も大変そうね。金持ちってのは変態か面倒な奴しか居ないもの。その相手なんて嫌になるわね。」


「パパ傷ついたぞ。」


「黙れ。私のお父様は1人よ。まったく...早く行きなさいって。」


カラミティは渋々応接間の奥にある部屋から、さらに地下に行く為の扉を開ける。地下へと続く階段を降りていくと、また扉があった。

それも開けると、バーのような部屋に出た。カウンターには白いワイシャツと黒のベストを着こなした、バーテンダー風の男が立っている。

本来酒が置かれているはずの後ろの棚には様々な銃が立てられており、一部の銃は全体が見やすいよう横向けで飾られていた。


「お久しぶりですゴールドウィン様。」


「久しぶりだなユダ。会いたかった。この娘の使う銃のテイスティングをお願いしたい。」


「畏まりました。お嬢様のお名前を伺っても?」


ユダと呼ばれた男は、先の男とは違いしっかりと少女にも敬意を払っているのが感じられた。


「シナトラだ。シナトラ、ユダはメキシコ最高の武器商人だ。ピクニックの準備には持ってこいだ。」


「ありがとうございます。シナトラお嬢様、本日は宜しくお願い致します。」


「貴方は驚かないのね。こんな小娘が銃をご所望と聞いて、動じてない。」


「ゴールドウィン様のご紹介というのもありますが、なによりお嬢様の目は修羅場を潜り抜けた戦士の目をしています。やろうと思えば、ここで私を殺せるでしょう。」


「やろうと思えば、余裕ね。でも折角の人脈を壊すつもりは無いわ。」


「ありがとうございます。早速始めて行きましょう。」


ユダは棚から一丁の拳銃を取り出す。


「先ずはこちらを。ご存知かもしれませんが、M1911A1。ジョン・ブローニングが開発した傑作です。最新型の.45強化ACP弾によるストッピングパワーは今でも通用しますし、動作の安全性は折り紙付きです。」


「もはや骨董品ね。何で置いてあるの?」


「最新式を嫌がる方はやはり一定数居るものでして。性能も申し分の無いコルト社製を好まれる方はかなりいらっしゃいます。弾丸も改良されてますし、オプションも豊富ですから。」


「そうゆう事ね...。」


何時の時代や世界にも新しい物より、使い慣れていて実績のある物にこだわる人間は居るものだとしみじみ思う。


「でもこれは止めとくわ。...回転式拳銃はある?整備がある程度簡単で...急所に当てれば魔物も人も一撃のヤツ。」


「畏まりました。」


ユダは棚から回転式拳銃を一丁取り出す。先程出した物と比べてもかなり大きい。


S&Wスミスアンドウェッソン m500。対魔物用に改良された.50口径のマグナム弾の威力は抜群です。ゴブリンは勿論、オークも一撃で沈められます。半端な攻撃魔法を使うならこちらを。扱い方は...説明の必要は無さそうですね。」


少女は回転式拳銃を手に取り、構えたり弾倉を見たりと、動作確認をする。一度スカートとブラウスの間に銃を挿し、素早く抜いて構える。

それを確認する様に何度かした後、静かに銃をカウンターに戻す。


「気に入ったわ。」


「紹介しておいて大変失礼なのですが...何か銃を扱う経験が...?」


ユダは久しく体感していなかった驚きを感じていた。目の前のエルフの少女は見目麗しく可憐で、銃が欲しいと言っても護身用の物だと思っていた。


だが、目の前のこの少女は流れるように動作確認をし、抜き撃ちの動作もしていた。それもかなり速い。0.13、14秒位か、プロの殺し屋でもこんな速さは出せない。


「あー...ネットで調べたの。私、物覚えは良いから。」


嘘は言っていない。少女は心の中で呟く。

行きの車にあったタブレットで勝手に動画を見て、様々な銃の仕組みや使い方、種類等を見て記憶していた。

後はデータ通りに体にトレースして動くだけ。


「次は...自動拳銃(オートマチック)でオススメはある?強くて...撃てば最低半殺しに出来るヤツ。」


「でしたら...こちらですね。IMI、デザートイーグル。.50口径の強化マグナム弾を使用、自動拳銃では最高峰の威力があります。m500より威力は若干劣りますが、装弾数で勝っています。最新鋭のボディーアーマーや、流行りの魔防障壁にも対抗出来る逸品です。」


「二丁欲しいわ。」


二丁拳銃(ツイン)スタイルですか?お言葉ですがその、この拳銃の反動はとても強い。お嬢様の体格では、肩が外れてしまいます。」


「心配は要らないわ。これ位なら扱える。マガジンは9発装填出来るのが良いな。それと、色は黒の物を用意出来る?」


「ええ、今すぐにでも。お届け先は?」


ユダは少し面食らった様な表情をした後、直ぐにプロの顔に戻る。

届け先についてはカラミティが答える。


「私のホテルだ。」


「畏まりました。ではその様に。」


「それと、リボルバーも貰っておくわね。護身用の銃が欲しかったし。弾も下さいな?」


ユダは一度カラミティに視線を投げ、カラミティが頷いたのを確認してから弾の入った箱と銃を手渡す。


「間に合わせですが、こちらに入れておけば怪しくはないでしょう。」


少女は弾を弾倉に装填した後、渡された肩掛けの鞄に銃と箱を積める。


「取引成立ですね。...こちらも。」


ユダはカウンターの下からウィスキーの瓶と2つのグラスを取り出し、それぞれ注いで行く。


「頂こう。」


差し出された2人はほぼ一緒のタイミングでウィスキーを口に含む。


「マッカラン?」


「...驚きました。ええ、30年物です。」


「調べた通りだったから分かっただけ。案外美味しかったわ。ありがと。...先に上、戻っとくわ。」


少女は残りを口に流し込み、グラスをカウンターに置くと、先に上へ戻って行った。

1階への扉が閉まった音をきいてから、ユダはゆっくりと口を開く。


「ゴールドウィン様、彼女は一体?」


「...一体、とは?可愛い娘だよ。」


「まさか?...彼女が後継者だと?確かに並外れた技術と感覚を持っているんでしょうが...。」


「あの子をそんな物で縛ろうとは思わん。あの子の心には憎しみと復讐心しか無い。生き方を、道を示してあげるのが、老人にしてやれる事だ。」


「ですが...裏の人間が教えられるのは、裏の生き方だけです...。」


「そうだとしても、あの子のこれから背負うであろう業を、少しでも肩代わりしてやれるのは我々だけだ。」


カラミティはグラスのウィスキーと氷を軽く混ぜ、一気に飲み干した。



カラミティが応接間に戻ると、少女はアイスコーヒーを飲みながらソファーで寛いでいた。


「...言っておきますけど、私の業は私の物。貴方がたに理解されたいとも思わないし、して欲しくもありません。」


「...それでは何時か破滅する。」


「それはそれで結構。今は利害が一致しているから協力してる。それ以上でも、それ以下でも無い。それに...レディーへの過干渉はダメよ?」


「...分かった。口出しは極力しないさ。それよりも、何故話してた内容が分かった?魔法か?」


扉と床には防音加工が施されており、銃声ならともかく、地下で話す人の声が聞こえるはずが無かった。


「あの薬のせいで感覚が鋭くなっててね。振動を解析して増幅、骨伝導で大体の内容を聞いたの。」


「...もう君が何をしようと驚かんな。」


「次は服ね。早く行きましょ。」


少女は心做しか、新しい服が選べるのを楽しみにしている様に見えた。


「そうだな。」


その様子を見て、カラミティは安堵した様な返事をする。


(業、か。そんな物知らないけど、今の私じゃ奴等を全員殺せるか分からない。牛頭の人脈があれば、準備をして、カルテルを完璧に叩き潰せるはず。...時間はまだある。)


少女の心の内は、また少し違っていたが。

『アサルトライフル』と言えばやはりM4A1でしょうか、AK47でしょうか。僕はM16が好きですね。

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