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筆者にそういう趣味はありません。信じて...(叶わぬ願い)
その日から何度もアレハンドロは✕✕✕を犯した。食事中でもお構い無しに襲い、着用していたネクタイで行為中に少女の首を絞めた。彼はそのやり方がいたく気に入っていたらしい。
少女はひたすら耐えた。日に多くても部屋に来て彼女を襲うのは4回ほどだったし、食事は1日3回。普通以上の物、肉も魚も出た。
ある程度のリクエストや飲み物の要望等は通った。
だが、やはり耐え難い日常という事には違いなく、何時か父がここから出してくれると信じ、少女はひたすらに耐えていた。
それでも、終わる度にひっそりと泣いていたが。
拉致されてから数週間後のある日。アレハンドロは慣れた様子で部屋に入に、ベッドの縁に腰掛けるワンピース姿の少女に舌なめずりをする。
「今日も来てやったぜ...本当に超そそる身体してるよ、お前。たまらねえ...。」
「...さっさと終わらせて。貴方の相手、疲れるの。」
「ちょっと前まで可愛く泣き喚いてたじゃねえか。お母様〜ってよぉ。アレ、もう一回やってみてくれよ。」
「...ッ!もういい加減にしてッ!...あっ。」
✕✕✕は感極まってアレハンドロに平手打ちをしてしまう。我に帰った時には既に遅く、アレハンドロの目は怒りに満ちていた。
「...気が変わった。今日は徹底的に分からせてやる事にした...。お前が誰のものか、体に刻んでやるよ。」
「...え?え!?や、やめ...やめて...!」
取り出されたフォールディングナイフを視認した瞬間、少女の表情が恐怖で染まっていく。
それを見たアレハンドロは新しいおもちゃを与えられた子供のような笑顔になる。
「その顔だよ!!それが見たかった...ッ!ああ、安心しろ。殺しはしねえが...ちょーっと、痛い目は見てもらうからな?...へへっ...やっっっぱり、お前の肌...最高だよぉ。この肌を傷物に出来るってだけでイッちまいそうだ!!ハッハァ!」
「ひぃっ!...お、お願い!ま、ま、待って!」
「待たねえよ!」
「嫌っ、ああっ!」
アレハンドロは彼女の着ていたワンピースを強引に胸元から引き裂き、一糸纏わぬ少女の肢体にしゃぶりつく。
「あぁ...良い、良いね...。それじゃ、メインディッシュを頂こうかね。おほほ〜!」
「あッ...!痛い...やめてよぉ...!こんな、あぐっ!ひどいよぉ...あうぅ...。いっ...!あッ!」
行為中にアレハンドロはナイフで✕✕✕の肌を浅くない傷を付けていく。
「良い鳴き声だぁ...やれば出来るじゃねえの?オラッ!もっと鳴けッ!」
「やめてッ、やめてよぉ!痛ッ!?...なんで私なのぉ...もう嫌...。」
「おっと...結構やっちまったが...ま、いいだろ。ったく、血でベトベトだ...。いやぁ...最高だったぞ。」
終わる頃には✕✕✕の体はナイフで付けられた傷と血で酷い有様だった。
アレハンドロが部屋から出た後、いつの間にか電源が入っていたテレビからニュースの音声が聞こえた。
しかし、その内容は今の少女に最も聞かせてはならない物だった。
『今朝未明、メキシコシティの歩道橋にて男性の遺体が発見されました。遺体には「アルマダに逆らうとこうなる」と書かれた紙が貼り付けられており、損壊も激しい事から、警察当局はカルテル絡みの殺人として捜査を開始しています。』
そのニュースが何故か気になった✕✕✕は、息も絶え絶えに画面を見て音声を聞くのに集中する。
『殺害されたのはメキシコシティ在住の種族はハイエルフ、ブリンズ・トリナ・ライフォルドさんと見られています。妻のマイラさん、長男のユービク君、長女の✕✕✕ちゃんも行方が分かっておらず、最大勢力の麻薬カルテル「アルマダ」に誘拐されたと考えられており、捜索が開始されています。既に顔写真も公開されており、情報をお持ちの方はーーー』
「え...?」
ニュースが伝えたのは父のブリンズの死だった。その情報を直ぐには受け止めきれず、脳がオーバーヒートする様な感覚に陥る。
「あッ...そ、んな...。じゃあ、お仕事で悪い事をしたっていうのは...?」
父の殺された理由が分からず困惑している時、最初に自分を襲った時のアレハンドロの言葉が脳裏をよぎる。
『俺が気持ち良いからやるんだよ...それ以上の理由は無え。』
「理由なんて...無い...。...ぅっ!?」
頭が焼き切れた様に固まっていると、ふと身体に纒わり付く血の匂いに激しい吐き気を覚え、慌ててトイレに駆け込む。
「ハァ、ハァ......。」
胃の内容物を吐き出し、肩で息をしながら立ち上がる。洗面器の上の鏡に映った自分の姿が目に入る。
「こんなの...こんなの...もう嫌ぁ...。誰か助けて!神様は!?イエス様は何処なの!?こんなの無いよ!悪魔でもだれでも良いから誰か...誰か助けてよぉ!!」
泣き叫び、現実を否定する様に両手を鏡に叩き付ける。薄い鏡は割れ、手には血が滲む。
「...絶対に許さない...!私が...この手で...!...うぅ、うあ...お父様ぁ...お父様ぁ...。」
少女はその場でうずくまり、疲れ果て涙が出なくなるまで泣き続けた。