座談
魔族達との戦いも終え、久々の静寂が訪れた。
この数日間で本当に色々あったけれど、結果としては全て丸く収まったようでとりあえずは一安心だった。
そして、一晩経ったところでアルス達は、大魔王であるサタンに魔王城へと招待されたため全員で向かう事となった。
普通に移動しては半日以上かかる距離にあるのだが、そこはアスタロトさんの魔術で移動する事で一瞬にして魔王城へとやってくる事が出来た。
ちなみに、全員での向かうのは流石に人数が多すぎるとの事で、アスタロト、アルス、スヴェン王子、マーレ―、そして同行を希望してきたサイレスを含めた5人で向かう事になった。
「よく来てくれた」
魔王城の前へ到着すると、大魔王であるサタン、そしてその背後には全ての魔王達が出揃ってアルス達を迎えてくれた。
その中には、アスタロトさんの使い魔であるフェンリルも一緒だった事で、これ以上向こうに敵意が無い事が伺えて安心した。
そうして立ち話も早々に、アルス達はそのまま応接間へと案内された。
応接間の中には、全員が座れる程の大きな円卓が用意されており、アルス達5人と大魔王であるサタン、そしてサリエラ、ベルゼブブが着席する。
他の魔王達は、サタンの後ろで立たされており、トラブルを起こした張本人でもある彼らは少し罰が悪そうな表情を浮かべると共に、再び目の前にしたアスタロトさんに怯えている様子だった。
ちなみにフェンリルは、アスタロトさんの後ろにしっかりと控えている。
「では、早速だがこれからについて話をさせて頂きたい」
サタンのその一言で、話し合いがスタートになった。
だが、ここで話される内容は至ってシンプルなものだった。
サタンとスヴェン王子が、今後の人間と魔族の融和を進める方向で話をつけ、そしてグルノーブルただ一人の生き残りであるマーレ―に対するサタン及び全魔王からの正式な謝罪であった。
本意ではなかったにしろ、結果としてグルノーブルは滅び、そしてそれが魔族によるものだったのであれば、やはり責任は魔族にあるという事だった。
そんなサタンからの謝罪を、マーレ―は黙って聞いていた。
もう何があっても、グルノーブルは、そしてお父さんとお母さんは帰ってこないのだ。
そして、その出来事自体が大魔王の主導ではなかったという事実に、マーレ―は感情の行き場を見失っている様子だった。
「その話だが、近いうちに首謀者が現れるはずだ」
マーレ―の様子に沈黙が生まれる中、アスタロトさんが口を開いた。
「そ、それは一体……」
アスタロトさんの言葉に驚くサタン。
それは、自らの部下を操られた憎しみと、そして今目の前にいるマーレ―に対する贖罪を果たせるという希望によるものだろう。
「――聖国エルガルド」
そして、アスタロトさんから語られた国の名にこの場の全員が反応を示す。
その中でも特に驚いていたのは、希望して一緒にここまでやってきたサイリスだった。
聖国エルガルド――。
そこは、アルブール王国から見て魔族の国ゴエティアに隣接する、もう一つの人間の住む大国である。
だがただ一つ、アルブールやディザスターとは大きく異なる点がある。
それは、エルガルドは神の下に存在する国とされており、そこに住まう人々は神々を強く信仰する宗教国なのだ。
――つまりは、神の使いである天使も同様ということだ
「あの国による首謀と見て、まず間違いないだろう。そして、既にあの国はあいつの手中に収まっていると見て間違いない。ついでに、そこの3人もあいつによる洗脳された結果だ」
淡々と説明するアスタロトさん。
アスタロトさんの言うあいつとは、大天使セレスの事で間違いないだろう。
そして、そこの3人というのはサタンの後ろで居心地悪そうに立っているセタス、ドラバルド、メルディの3人の魔王達を指していた。
突然目を向けられた事で、ビクッと身体を強張らせる3人の魔王というのは、傍から見たら異様な光景だった。
「奴らはすぐに動くはずだ。魔族、そしてアルブールに攻め入ってくるのも時間の問題と言えよう。だからこれより、奴らを迎え討つ準備をすべきだろう」
お前達もやられてばかりでは癪であろうと、アスタロトさんはその綺麗な赤い瞳を光らせながらニヤリと微笑んだ。
そのアスタロトさんの一言に、この場にいる全員が驚いたのは言うまでもない――。
そしてアスタロトさんの言葉通り、世界は更なる争いへと突入するのであった。
久々の更新になります。
これにて、魔族編終了になります。
次回から、聖国編に突入します!
※現在、「クラスのアイドル美少女が、とにかく挙動不審なんです」というラブコメ作品の執筆もしています。
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