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ヨルムンガンド

 ヨルムンガンドへと姿を変えたガルド。


 フェンリルとヨルムンガンドという、伝説級の化け物同士が互いに睨み合うまさに神話のような光景が現実としてここでは起きていた。


「グォオオオオオ!」


 ヨルムンガンドが雄叫びを上げると共に、フェンリルへ向かって喰らいかかる。

 それはもう、先程までのガルドではなく、ただ目の前の敵を喰らうだけのモンスターと化していた。


 迫りくるヨルムンガンドの攻撃を、フェンリルは容易くかわしてみせた。


 フェンリルは大きく横へ飛び退くと、咆哮と共に漆黒の気弾をヨルムンガンド目掛けてぶつけたが、ヨルムンガンドはびくともしてない様子でフェンリルを睨み下ろしていた。


 遠距離攻撃は通用しない事を悟ったフェンリルは、光速のごとく素早さでヨルムンガンドの元へと接近する。


 その速度を前に、体の大きいヨルムンガンドは反応が遅れ出遅れてしまう。

 そして、その隙を逃さないフェンリルは、両腕の鋭い爪でヨルムンガンドの体を大きくひっかいた。


 フェンリルの一撃により、堅い鱗に守られたヨルムンガンドの体に三本の切り傷が残っていた。


 それを見て、攻撃が届いている事を実感したフェンリルは、連続でヨルムンガンドの体目掛けて休み無くひっかき続けた。


 その攻撃には、流石のヨルムンガンドも堪らなかったようで、苦しそうに大きな咆哮を上げた。



 だが、ヨルムンガンドが咆哮をあげた次の瞬間、ヨルムンガンドの全身が光出した。


 その異様な様子にフェンリルは警戒し、一度距離を取り様子を見守る。

 すると、先程の攻撃で全身傷だらけだったヨルムンガンドの体だが、元通り無傷の体へと戻っていた。


 ヨルムンガンドは、自在に脱皮を繰り返す事で全ての物理ダメージをゼロにするという自己再生のユニークスキルを有しているのであった。


「グオオオオ!!」


 ヨルムンガンドは再び大きく咆哮をあげると、今度はその大きな口から漆黒の波動をフェンリル目掛けて放った。


 それは、以前カーバンクルがアスタロト目掛けて放ったそれには劣るが、それでも激しい一撃であった。


 フェンリルは迷わず光速でそれをかわしてみせる。

 だが、ヨルムンガンドはかわした先のフェンリル目掛けて、何度も漆黒の波動を放ち続けた。


 そうして、今度は逆に攻めるヨルムンガンドとかわすフェンリルという構図がしばらく続いたが、どれだけ攻撃しても全く当たらない事にしびれを切らしたヨルムンガンドは、その大きな牙で喰いかからんとばかりにフェンリル目掛けて一気に飛び出した。


 それは、最初の攻撃よりも数段速い一撃で、波動攻撃を回避していたフェンリルの意表をつく形となり、フェンリルの反応がほんの少し遅れてしまった。


 だが、このレベルの戦いになると、そんなほんの少しの隙でも命取りとなる。


 回避に遅れたフェンリルの胴体に喰らいつく事に成功したヨルムンガンドは、雄叫びをあげると共にフェンリルをそのまま喰いちぎろうと喰らいついて離さない。


 そして飛びかかった勢いそのまま、フェンリルごと地面を抉りながら止まることのないヨルムンガンドの攻撃は、相手が人間ならば例えどれだけ重厚な鎧を着ていようと確実に即死しているであろう凄まじい一撃であった。


「やるな……!!」


 だが、そんな攻撃を受けたフェンリルだったが、ヨルムンガンドの勢いが落ちてきたところで牙から逃れると、その場から大きく飛び退いて攻撃を回避したのであった。


 しかし、流石のフェンリルも、体には牙のめり込んだ痕と引きずられたダメージによる出血が酷い状態だった。

 フェンリルの体毛は、その一本一本が鋼のように重厚に守られているのだが、それでもこれだけのダメージを負ってしまっていた。


「これ以上は流石に不味いな。ここで決着をつけさせてもらおう。」


 まさに満身創痍であるフェンリルは、そう言うとヨルムンガンドを真っ直ぐ睨み付けながら戦闘の体勢をとった。

 体はボロボロだが、フェンリルの放つ殺気は恐ろしく、周りで見ていたサリエラですらもブルリと身震いする程のオーラを放っていた。


 ヨルムンガンドも、フェンリルが次の交戦で決着をつけるつもりであることを察し、咆哮をあげると共にフェンリルを上から鋭く見下ろした。


「いくぞ!」


 先に動き出したのはフェンリルだった。

 光速のごとくスピードで一気にヨルムンガンドの元へと近づくフェンリル。


 それには、先程と同じく反応が遅れてしまったヨルムンガンドであったが、フェンリルの方が速度では上手な事を学んでいるヨルムンガンドは先に体をよじらせると、フェンリルが来るタイミングに合わせて尻尾を大きく振った。


 だが、その攻撃を上に跳躍しスレスレでかわしたフェンリルは、そのまま空中で魔術を唱えた。


「第12位階魔術 森羅万象!!」


 フェンリルの放った森羅万象により、突如ヨルムンガンドの足元から無数の蔦が生え、そのままヨルムンガンドの全身に絡み付き身動きを封じた。


 フェンリルの真の強さとは、魔物としてのその圧倒的な身体能力だけでも恐ろしいのだが、更には高位の魔術も扱う事ができる点にあるのだ。


 ヨルムンガンドは、その強大な力で無理矢理蔦を引き千切るが、それよりも速く次から次へと生えてくる蔦に全身の自由を奪われる。


 そして、ヨルムンガンドが蔦の相手に手こずっているところへ、上空から超速度で落下するフェンリル。

 フェンリルは自身に身体強化魔術を付与する事で、更にその身体能力をワンレベル上のものへと変えていた。


 それに気が付いたヨルムンガンドは、慌ててフェンリル目掛けて漆黒の波動を口から放った。


 だが、その波動すらも切り裂きながらフェンリルは、ヨルムンガンドの顔面目掛けて飛びかかると、そのまま超速度でヨルムンガンドの体を右腕で一閃した。


 フェンリルが地面に着地し静止したところで、遅れてヨルムンガンドの体からは血が一斉に吹き出した。


 その攻撃には、先程の自己再生をする余裕も無かったヨルムンガンドは、白目をむきながらそのままその場へと倒れた。


 こうして、伝説級の化け物同士の戦いは、フェンリルの勝利で幕を閉じたのであった。

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