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二人目の権限者

「これから、我の言う通りに行動せよ。」


 あれからダイルは、大悪魔に言われるがままもう一人の権限者の元を訪れ、そして案の定もう一人の権限者もこの大悪魔により蹂躙された。

 それも、自分の時と同じく簡単にだ。

 こうして、自分を含め2名の権限者を従えた大悪魔がそう告げる。


「くそぅ、なんだってんだこいつは……。」


 隣でひれ伏しながらもそう悔しそうに小声で呟いたのは、同じ権限者であるガリュウだ。


 権限者と言っても、ガリュウは権限者の中で唯一魔族では無い。

 蛇の尻尾を持ち、翼の生えた巨大なライオンのような生物。

 その名は、伝説級の凶悪な魔物キマイラ。

 それがガリュウの正体である。


 ここ奈落エフに存在する魔物の頂点、それがガリュウなのである。


 だが、そんなガリュウでもこの大悪魔の前では赤子も同然であった。


 ダイルであれば、ガリュウの攻撃を一度でもまともに受けては、恐らく再起不能レベルのダメージを負うであろう一撃。

 更にガリュウは、その圧倒的な身体能力により魔族でも出せないような速度での連撃を繰り出した。

 一撃でもまともに受ければ一瞬で骨が砕け散るような攻撃を、超速度で大悪魔に浴びせ続けたのである。


 しかし、その全てを大悪魔は片手で全て払い除けてしまったのだ。


 己の攻撃が1つも当たらない事に驚き、訳がわからず一度距離を取ったガリュウは、今度はこれならどうだとその大きな口から波動砲を大悪魔目掛けて放った。

 近接攻撃が文字通り化物レベルであるガリュウだが、距離を取って戦おうにもこうして長距離攻撃まで可能なのである。


 ガリュウの吐いた波動砲は、大地を抉りながら一瞬で大悪魔を包み込み確実に命中した。


 だが正直、今の攻撃であればダイルならかわすことができた。

 まさかあの大悪魔がかわせなかったなんて事あるのか?と思いながらも、波動砲が去った後を見る。


 するとそこには、全身無傷なままの大悪魔が攻撃を受ける前と何も変わらずそこに立っていた。


 これには、ガリュウだけでなくダイルも驚きを隠せなかった。


 先程のガリュウの攻撃は確実に命中したはずだ。

 大地は抉れ、波動砲の進路にあった全ての物は跡形も無く消え去っている。


 ―――目の前の大悪魔を除いては。


 これには、流石のガリュウも変な呻き声を上げた。


 そして、ここでようやくガリュウも理解した。

 今自分が相手にしているのは、決して対立してはならない次元の違う存在なのだと。





 ガリュウは、常に現魔王であるガルドの首を狙っていた。

 かつての争いで、惜しくもガルドに敗北したガリュウは、打倒ガルドのため現在己の派閥を拡大させているのだ。


 それまでのガリュウは、ここ奈落に敵などいなかったため己の力を過信していた。

 自分に敵う敵などいるわけがないと。


 そのため、ガリュウは常に一人で行動し、それまでずっと魔物の頂点としてここ奈落に君臨していた。


 だが、そんな無敵であるはずのガリュウだったが、ガルドとその配下になったソドムやマリーにより初めての敗北を味わったのである。


 ガルドと一対一であれば、きっと勝てたはずだったのだ。

 だが、相手は一人ではなかった。

 それも、ガルドに匹敵するような強者達だ。

 であれば、ガルド以外の存在の介入を阻止する仲間が必要だと思い知ったガリュウは、敗北により初めて仲間を求めたのである。


 そうして、ガリュウには劣るものの同じくガルドに破れた魔族や魔物達が徐々に集まり、今では魔王一派に匹敵する程の組織になりつつあった。


 だが、そんな長年の月日を要して、ようやく打倒ガルドの準備が整いつつある今、不幸にも大悪魔が現れたのである。


 それまで、どうせガリュウが勝つだろうと周囲で成り行きを見守っていた数々の実力者達であったが、まさかのガリュウが劣勢に追い込まれてしまった事を受け、援護のため大悪魔目掛けて一斉に攻撃を仕掛けた。


 だが、浴びせた数々の物理攻撃も魔術も全て、大悪魔は無効化してしまったのである。


 変わらず無傷で立つ大悪魔を前に、静寂と絶望が広がった。


 獣人も、エルダーリッチも、リザードマンも、ここ奈落に存在する数々の化物クラスの存在が束になっても、目の前の悪魔には全く通用しなかったのである。


 そんな有り得ない事が、現実として目の前で起きてしまっている事に、全員理解が追い付かなかった。


「なんだ?もう終わりか?」


 呆れたようにそう呟いた大悪魔。

 すると次の瞬間、大悪魔は一瞬にしてその場から消え去ってしまった。


 その場にいた全員が、突然消えた大悪魔に驚いた。

 ただし、ガリュウだけを除いて。


 何故なら、ガリュウの目の前に大悪魔が現れたからである。


「なっ……!!」


 驚きの声を上げようにも、もはや声に成らないガリュウ。


「まぁよい、お前も合格だ。」


 そんな事を言いながら、大悪魔はガリュウの額をデコピンした。

 デコピンを受けたガリュウの巨体は、その激しい衝撃により10m以上一瞬で弾き飛ばされ、そのまま後ろの大木に激突した。


 そしてその一撃で、再起不能になってしまったガリュウ。

 こうして、ダイル同様にガリュウもまた、大悪魔相手に敗北を喫したのであった。

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