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ヤブンの思い

 悪魔と協力する事を選択したヤブンは、何故か今魔法学校の校門の前にいる。


 何故、今自分はこんな所にいるのだろうか。


 この間退学となった学校に対して、ヤブンは悪魔側の一人として何故か今侵略に加担をしているのだ。


 こんな話しは聞いていない。


 アルスに対しての復讐が出来ると言われたから話しに乗ったが、こんな大っぴらに学校へ攻め入るなんて話しは聞いていないし、こんな事をしては今後の人生取り返しがつかなくなるに決まっている。


 だが、それでもヤブンからすると、周りにいるのは全て自分より強者の悪魔達だ。

 下手に逆らったりしたら、悪魔達にすぐに殺されてしまう事など明白であるため、ヤブンはこうして戸惑いながらも悪魔達の行動に従うしか選択肢がなかった。


 そうこうしていると、ヤブンの思いなど関係のない悪魔達は、ついに校舎へ向けて攻撃を開始してしまった。

 そうなると、当然すぐに先生達が騒ぎに駆けつけてきて、そのまま悪魔達との戦いが始まってしまった。

 そして更に最悪な事に、隣のクラスだったマークやその仲間達という戦闘に特化した実力者までこの場にやってきてしまったのだ。


 これで、ヤブンの人生は完全に終わった事を悟った。

 そして正直これでは、いくら周りの悪魔達が凶悪であろうと、太刀打ち出来ない程の戦力差となってしまった事は明白であった。


 学校に通っていたからこそ、逸早くこの戦力差に気付く事が出来たヤブンは、この隙にこの場から逃げてしまう事しか、自分の生き残る道は残されてはいなかった。

 そう判断したヤブンは、こっそりと移動を開始したのだが、すぐに後ろから冷たい声がかかった。


「どこへ行くのです?貴方は貴方の役割を全うして頂かないと困りますよ。」


 逃げ出そうとしたところを、一緒に連れ立った悪魔達より高位の悪魔の1人に見付かってしまったのだ。


「さぁ、ここの者達は私が蹴散らしますので、貴方は早く校舎裏の方へと向かって下さい。」


 逃げることなど許さないと、悪魔に言われるままヤブンは校舎裏へと向かう事しか出来なかった。



 校舎裏へ向かうと、そこにはイワン、シュナイダー、そして白い女の三人がいた。

 そして、その足元には二人の女性が倒れている。


 よく見るとその二人は、クラスメイトだったミーナとレイラだった。


 なんでこんな事に!?

 って問い詰めようと思ったが、先程の上位悪魔より更に高位であるイワンを前にして、ヤブンはそんな事言う勇気がなかった。

 イワンから力を与えられ、力を手に入れたからこそ実感として分かったのだ。

 自分では、イワンの足元にも及ばないという事に。


 悪魔達はどれも凶悪であるが、中でもあのイワンという悪魔にだけは絶対に逆らってはいけないのだ。


 ……本当、阿保だよな。

 あの時、アスタロト相手に喧嘩を売るという暴挙に出た自分に、今の感覚があったのならば今頃はまだこの学校に通うことが出来たのだろう。


 散々後悔を繰り返してきたが、それでも改めてこの地に来ると、本当に自分がちっぽけで、愚かで、どうしようもない存在だという事を痛感した。


 だからこそ、せめてもの罪滅ぼしとして今目の前に倒れている二人の事ぐらいは助けてやりたい。


 そんな事を考えながら、相手の隙を伺いつつヤブンは三人の元へと合流した。



「来ましたね。では、ここで待つとしましょうか。奴等は必ずここへ来るでしょうから。しかし、先にアークデーモンを向かわせてますから、既に始末してしまっているやもしれないですがね。」


 そんな事を言いながら、イワンは馬鹿にするように笑った。

 イワンは、アストロトなどアークデーモンでも十分に倒せる程度の存在だと思っている。


 だが、実際それは不可能な事をヤブンは知っている。

 確かに先程校門前に現れた悪魔も凶悪であったが、あのアスタロトという悪魔はそういう次元ではないのだ。


 イワンは、自分を最上位悪魔だと言っている。

 それはヤブンからしても分かる事だ。

 今目の前にいるこの悪魔の持つ力は、本当に強大だと。

 あのアスタロトを相手にしても、全然引けを取っていないどころか、寧ろ感じられるプレッシャーは勝る程に。


 しかし、いざこの場に来てみると、本当にそうだろうかという不安がヤブンの中でどんどん大きくなっていく。


 この地を一度滅ぼし尽くしたとされる大悪魔より、本当に目の前の悪魔の方が強いのだろうか?

 そして、目の前の悪魔1人で、魔族含めこの地を滅ぼし尽くす事が出来るのだろうか?


 もしかしたら、今自分達はとんでもない思い違いをしているのかもしれない。

 一度、ありえない思い違いをして大悪魔相手に喧嘩を売り、結果この学校を退学となっているヤブンにとって、またしてもあの大悪魔相手にとんでもない思い違いをしてしまっている気がしてならないのだ。


 だからヤブンは、これからの行動にはより一層注意を深める事を心に誓い、ここに必ず来るとされている大悪魔アスタロトと、そしてアルスが来るのを待った。



「来てやったぞ。そこの女を返して貰おうか。」


 そして、イワンの言うとおり大悪魔アスタロトがついに校舎裏へと現れた。

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