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今日の魔術特訓

 学校から帰宅し、アスタロトさんと夕食を済ませた後は、今日も二人での魔術特訓を開始する。


「そうだな、今日は我に1度でも触れる事が出来れば、アルスの勝ちだ。もし触れる事が出来ぬのであれば、我の勝ち。いいか?」

「分かりました。」


 早速、アルスは全身の魔術を研ぎ澄ませる。

 マークとの戦いで使った全てを悟る目(パーフェクトアイ)

 それに、あの時より更に練度を上げたであろう身体強化魔術を同時に自分に施す。


 これにより、アルスの全身は通常の何倍もの動体視力と身体能力に向上している。

 今のアルスの目には、アスタロトさんの呼吸1つ1つすらゆっくりと見える程、全身の感覚が研ぎ澄まされている。


 よし、これならばいくらアスタロトさん相手でも、1度ぐらいは触れる事が出来る気がする。


「準備できました。」

「あぁ、いつでもこい。」


 その返事を聞き、アルスは直ぐ様アスタロトさんに超速度で近づく。

 今のアルスのスピードは、全力のマークよりも更に速いだろう。


 そしてその勢いのまま、アルスは右手でアスタロトさんの左腕を掴んだ。

 ……はずだった。


「どうした、アルスよ。こっちだ。」


 しかし、いつの間にかアルスの真横に移動していたアスタロトさんは、アルスの左の耳元でそっとそう囁いてきた。


 アルスは突然の耳元での囁きに、思わず全身をブルリと震わせてしまった。


「い、いきなり耳元に吐息を吹き掛けないで下さいよっ!」

「やめて欲しくば、我に触れる事だ。」


 そう言いながら、アルスは声のする左側を振り向きつつ、また勢いよく手を伸ばした。

 だが、そこにはまたしても既にアスタロトさんはおらず、今度は背中の方から返答が帰って来た。


 ちょっとまって、いくらなんでも出鱈目すぎやしませんか?


 正直、今のアルスは人間の限界なんてとっくに越えているはずなのに。

 それこそ、人類最速レベルで動いていたはずだ。


 それなのにこうも簡単に、しかもアルスをおちょくりながらかわされてしまうなんて、そんなもの最早どうしようもなかった。



 でも、そこで諦めたらそこで試合終了だ。

 アルスはもう1度、アスタロトさんと改めて向き合い直した。

 そして、再度集中し全てを悟る目(パーフェクトアイ)でアスタロトさんの動きを凝視する。


 今度こそアスタロトさんを捉えたいという感情が、アルスの全てを悟る目(パーフェクトアイ)を更にワンランク上の精度に押し上げてくれているのが体感で分かった。


 これも、魔術をイメージで扱う事の利点だと思う。

 もっとこうしたい、ここがダメだったという思いや経験が、魔術の不備を洗い出し、そしてそれを改善する事により魔術錬度の向上に繋がっているのだ。


「ふむ、では今度は我から動こうか。」


 そういうと、アスタロトさんは行動に移った。

 全身の比重を右側に寄せたのがギリギリ見て取れたため、右への移動を予測し、それに合わせてアルスも右へと動き出す。


 よし、ビンゴだ!


 まさに神速という言葉がしっくりくるようなスピードで移動する目前のアスタロトさんをギリギリで捉えたアルスは、全力でアスタロトさんへ向けて腕を伸ばした。


 よし!

 このタイミングなら、今度は確実にアスタロトさんの動きを捉えたはずだ!

 これなら確実に触れられる!

 そう思ったのだが……。


「残念、こっちだ。」


 しかし、すぐ目の前にいたはずのアスタロトさんは気が付くともう既にそこにはおらず、またしてもアスタロトの右手は空を切ってしまった。

 そしてそのまま大きくバランスを崩してしまったアルスを、後ろからアスタロトさんが優しく抱き抱えてくれた。


「あれ、え!?今確かに!」

「アルスが追っていたのは、我の幻覚だ。目に見えているものだけが全てだと思わぬ事だな。」

「そ、そんなぁ。。」

「己の目に頼るだけでは足りぬ。我のように幻覚や分身を扱う者と対峙した場合、まずは相手の魔力を感じとる事だ。幻覚とは所詮ただの偽物、今のアルスならば、この世界の者の扱う幻覚など容易く見切る事が出来るだろう。我の生み出す幻覚相手では不可能だろうがな。」

「じゃあやっぱり無理じゃないですかぁ。。」

「そういじけるな、それでもあの速度について来れたのだ。この短期間でそこまで成長したのは、本当に大したものだぞ。」


 そう言うと、アスタロトさんはそっとアルスの頭の上に手を置き、そしてまた優しく撫でてくれた。


「ア、アスタロトさん!?も、もう大丈夫です!ありがとうございますっ!!」

「ふふ、我が勝ったのだ。もう少しアルスを楽しませよ。」


 アスタロトさんに後ろから抱かれ、そのまま頭を優しく撫でられるアルス。

 今、とんでもなく恥ずかしい状況だという事に気が付いたアルスは、恥ずかしくなり直ぐ様離れようとしたけれど、アスタロトさんはアルスを抱いたまま離してはくれなかった。


 ……でも正直、アスタロトさんの柔らかい肌と、甘く良い香りに包まれるというのはとても幸せな事だった。


 今日ぐらい、そんな自分に素直に従う事にしようかな。



 こうして、今日も色んな意味でアスタロトさんに敗北したアルスは、諦めてそのまましばらく撫でられ続ける事にしたのであった。

少し日が空いてしまい申し訳ございません。

出来れば毎日更新したいのですが、仕事等で中々書けない日もございますので、気長に楽しんで頂ければ幸いです。


こういうの読みたいなっていう思いのみでとりあえず始めてみたこの執筆活動ですが、皆さんにブックマーク等頂けるというのは大変励みになります。


遅れましたが、改めましていつも読んで頂きありがとうございます。

拙い文章だと自分でも思いますが、誤字報告下さる方もいつもありがとうございます。


今回も日常回ですが、これからワクワクできるような展開にしたいと考えておりますので、少しでも気に入って頂けたのであればブックマークや評価などして頂けると幸いです。

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