クラス対抗戦⑦
「マーク、今年こそは我々が勝たせて貰う。」
「王子が俺の相手ですか、だが今回も我々が勝たせて頂こう。」
「毎年君達の突撃を防ぐ事ができなかったが、今年は使い魔もいる。そして何より、あの出鱈目な強さを誇るあの大悪魔の主が私の後ろに控えてるのでな。正直負ける気がしない。」
「確かにあの悪魔が出鱈目なのは認めるが、後ろのあいつが俺や王子に勝るとは思えないな!さっさとあいつを倒して、ミスズの仇は取らせて貰おう!」
「だったら、まずは私を倒してみたまえ!」
こうして、スヴェン王子とマークは互いに木刀を構えた。
お互いの使い魔は既に戦線離脱しているため、一対一の真剣勝負だ。
まずはマークが仕掛けた。
地面を強く蹴りあげると、そのまま猛スピードでスヴェン王子目掛けて斬りかかった。
木刀には、得意の炎属性の魔術を付与している。
ただし、そのスピードも魔術の威力も他の特攻隊のものより一段階はレベルが高い。
その凄まじいスピードと共に、激しい炎の剣が弧を描きながらスヴェン王子目掛けて一気に叩きつけられた。
しかし、そこは学年首席のスヴェン王子だ。
凄まじい剣撃であったが、スヴェン王子は自分の木刀にシールド魔術を付与してそれを受け止めた。
「これを止めるか!」
「私だって君の対策ぐらいしているさ!」
こうして攻撃を防がれたマークは、再びスヴェン王子と距離を取って剣を構え直した。
「流石だな、こちらも本気を出さねばならんか。」
「遠慮は不要だ、全力で来るといい。」
「いいだろう、悪いがこれで終わりだ!第5位階魔術 炎の聖霊」
そう言うと、マークは自身に魔術を施した。
すると、木刀だけでなくマークの全身から激しい炎が勢いよく溢れ出した。
第5位階魔術 炎の聖霊。
それが、たった今マークくんの使った魔術である。
炎の聖霊を付与された対象は、その全身に炎属性を纏う事ができる。
これにより、無詠唱で炎属性の攻撃が可能となる他、物理攻撃と魔術に対しての耐性が大幅に上昇するという上位の身体強化魔術だ。
通常の魔術師は、前線に立つわけではないためこの魔術は他者に向けて扱うのが普通なのだが、マークはなんとその魔術を自身に向けて唱えたのだ。
「行くぞ!」
そう言うとマークは、左手で地面を触れた。
すると、触れた所から地面が溶解され、そのまま炎を吹上げながらスヴェン王子目掛け巨大な炎の刃が襲いかかった。
だがスヴェン王子は、迫りくる炎に対して冷静に氷の壁をもって相殺した。
そして今度はお返しとばかりに、すぐさま電撃をマークくん目掛け放った。
しかし、電光石火の電撃がマークに直撃したと思った次の瞬間、電撃はマークにダメージを負わす事なくそのまま飛散してしまったのであった。
「炎の聖霊状態の俺には、そんな魔術など通用しないぞ!」
「これは驚いたな。」
スヴェン王子の電撃を無効化したマークは、相手を追い詰めるべく再びスヴェン王子に向かって斬りかかる。
先程の速度と威力も凄まじかったのだが、今度のは更に一段階以上レベルが上がっている。
これは、炎の聖霊の効果により身体能力が大幅に上昇しているためであった。
こうして繰り出された、最早人の限界を越えた超速の連撃に、流石のスヴェン王子も捌ききる事が出来ず、その身に炎の剣撃を受けてしまうと、そのまま激しい勢いで後ろへ弾き飛ばされてしまった。
「くっ……!!やるなっ!!」
「ほぅ、まだ立てますか。」
「生憎、こちらも負ける訳にはいかないのでね……!」
そう言うと、スヴェン王子は木刀で身体を支えながらなんとか立ち上がった。
目に見えてかなりのダメージを負っていたが、直ぐ様自身に治癒魔術を施す事で回復した。
戦闘において圧倒的な実力を誇るマークであるが、オールマイティに魔術を扱う事が出来るスヴェン王子も一歩も引かない、まさに学年トップ同士の凄まじい戦いである。
……だが、それでもスヴェン王子が押され始めているのは間違いなかった。
「マーク!これはクラス対抗戦だよ!アタイも助太刀するよ!第4位階魔術 土の壁!」
突如声がしたかと思うと、突然スヴェン王子の足場が上空へ向けて一気に盛り上がり、大きな壁を生み出した衝撃によりスヴェン王子はそのまま上空へと大きく弾き飛ばされてしまった。
「くそっ!ここでマリアナか!!」
「いきなりの奇襲には驚いたけど、そっちの特攻してきた奴らは片付けてこっちに助太刀に来たってわけさ!しかしなんだ?いきなり私の土の壁がぶっ壊されたんだけど、あれは一体なんだったってのさ!?」
どうやらカール達は、マリアナとゴーレム相手にやられてしまったようだ。
マリアナだけならまだしも、あの巨大なゴーレムまでいるとなると、確かにグリフォン部隊だけでは歩が悪かったのだろう。
……土の壁の件は、まさかアスタロトさんのデコピン1つで破壊されてしまったなんて、マリアナは思いもしないだろう。
「マーク!ここは私に任せてアンタはさっさと旗をやんな!」
「いいだろう、ここはお前に任せるとしよう!」
こうして、スヴェン王子はマークからマリアナと使い魔のゴーレムの相手を強いられ、フリーとなったマークはそのまま炎の聖霊の効果で物凄いスピードで旗目掛けて迫ってきたのであった。
だが、そうはさせない。
マークと旗の間には、アルスが立ちはだかる。
それに気付いたマークは、一定の距離を保ったところで立ち止まった。
「ようやくだな。覚悟は出来てるか?」
「はい、ここから先へは絶対に通しませんよ。」
こうして、ついにアルスとマークが対峙する事となった。




