クラス対抗戦③
「さぁみんな、気を引き締めて行こう!」
「「おー!」」
開始の合図に合わせて、スヴェン王子が皆を鼓舞した。
いよいよ、クラス対抗戦が始まったのだ。
開始早々、アルス達のクラスの先鋒隊が相手の自陣に向けて突撃を開始する。
これは今回の作戦の1つで、グレーターグリフォンの召喚に成功した成績上位者2名を先頭に、その他グリフォンを召喚した3人を合わせた計5人で先手必勝を狙い突撃する奇策に出たのだ。
いつもは守備重視のクラスだったけれど、今回はこちらから仕掛けるという相手の裏をつく作戦だ。
案の定、相手のクラスは開始早々突撃を仕掛けてきた事に混乱をしていた。
相手のクラスの実力者達は、既に例年通りアルス達のクラスに突撃を開始していたため、相手の守りは明らかに手薄になっていた。
しかし、そこは相手も予想しなかったわけではないのだろう。
突撃するグリフォン部隊の足を、突如発生した激しい風圧が止めたのだった。
風圧の発生元の方を見ると、そこには巨大なゴーレムがいた。
ゴーレムと言えば、スヴェン王子のレッドドラゴンに匹敵する超上位魔物の1つだ。
大きな岩を積み上げた、文字通り動く岩山である。
その高さは10メートル以上はあり、そこにいるだけでかなりの威圧感を与えてくる強力なモンスターだ。
「そう簡単にはやらせないわよ。こっちだってちゃんと対策はしてるんだから。」
そう言ったのは、このゴーレムを使い魔に従えているマリアナであった。
マリアナは、学年でもトップ5を常にキープしている優秀者であり、特に錬成魔術では学年で右に出る者はいないとまで言われている実力者だ。
そんなマリアナが、今年は突撃隊ではなく守備に回っていたのだった。
なるほど、相手もちゃんと作戦を立てているようだ。
マリアナならば、ゴーレムを召喚できたのも納得だ。
「第4位階魔術 土の壁!」
そうこうしていると、マリアナはすぐさま魔術で自陣を土の壁で覆った。
相手の陣地の前に、高さ20メートルはあるであろう巨大な土の壁が現れたのだ。
これでは、グリフォン部隊も容易には突入できなくなってしまった。
「クソッ!まずはゴーレムの処理からだ!いくぞ!第3位階魔術 風の刃!」
そう声をあげたのは、グリフォン部隊のリーダーを務めるカールくんだ。
カールくんも成績優秀者で、風魔術を得意としている。
ゴーレムに向けて放たれた鋭い風の刃により、ゴーレムの岩が大きく削り取られた。
使い魔は確かに強力だが、魔術もまた強力なのだ。
しかし、それでも巨大なゴーレムは動きを止める事なくグリフォン部隊に襲いかかった。
ゴーレムは右手を振り上げ、そのまま巨大な右手をグリフォン部隊目掛けて大きく振り下ろす。
それは、まさに上空から巨大な岩が降ってきてるのと同じであり、辺り一帯に激しい衝撃を巻き起こした。
「おいおい!?あんなの食らったら普通に死ぬぞ!?」
「あら?あとで治癒魔術で優しくたっぷり癒してあげるから安心して食らって頂戴な。」
素早いグリフォンに跨がっているため全員攻撃はかわせたが、あれが直撃していたらたしかに無事では済まないだろう。
驚くカールくん達に、マリアナは余裕の態度で答える。
こうして、先手必勝作戦はマリアナにより阻止されてしまった。
でも、それはこちらも想定はしていた事だ。
まずは相手に奇襲をかける事に成功しただけでも、まだまだこちらも作戦の範疇なのだ。
「あっちばっか見てると怪我するぜ!」
その声に振り向くと、アルス達のクラスの陣地に向けて火の球が放たれた。
それも、1つでは無く同時に5つだ。
マークの特攻隊が、丘の上から魔術を放ったのだった。
「任せて。」
こちらを目掛けて放たれたファイヤーボールに対して、マーレーが氷の壁で応戦した。
先程のマリアナの使ったサンドウォールの氷バージョンだ。
巨大な氷塊は5つあったファイヤーボールを全て受け止め相殺し、そして弾け散っていった。
流石はマーレーだ。
あの魔術を全て1人で受け止めて見せたのだった。
こうして、お互い一歩も引かない攻防が始まった。




