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食堂

 食堂へ入ると、登校前の丁度良い時間帯という事もあって、沢山の生徒が賑やかに食事を済ませていた。


 当然これは毎朝の事なので、アスタロトは気にする事もなくいつも通り朝食バイキングの列に並んだ。


 しかし、いつもは騒がしい食堂なのだが、今日は何故かこちらをコソコソと伺う生徒が多数いる事に気が付いた。

 一瞬何事かと思ったアルスであったが、すぐに原因に気付いた。

 そう、当然ながら後ろに一緒に並ぶアスタロトさんの存在である。


「……アルスよ。なんだかこちらを見る視線がやたら多い気がするのだが。。やはり我の格好が可笑しいのだろうか。。」

「いえ、そういう事じゃないと思いますので、大丈夫ですよ。」

「なら良いのだが。。」


 そりゃそうだ、角を隠したところでアスタロトさんはアスタロトさんだったのだ。

 今まで学校で見たことも無いレベルの美少女が、急に制服を着て目の前に現れたのだ。

 皆が驚くのも無理はない。

 アルスだってまだ慣れていないのだから。。


 それにしても、さっきからやたら自分の制服姿に自信の無いアスタロトさんであるが、アルスからするとそんな所も可愛いかった。

 普段着なれない洋服を着ているから不安なのだろうけど、変どころかむしろ完璧過ぎる着こなしなのだ。


 なんとなくもう1度周りを見渡すと、アスタロトさんの美しさに釘付けになる男子生徒は勿論なのだが、女子生徒も顔を赤らめてアスタロトさんを見つめているのが数人どころか結構な数いるのに驚いた。

 そうか、女子から見てもアスタロトさんの美貌を前には羨望の眼差しを向けるんだな……と1人感心していると、朝食の列がアルスたちの番になったのでトレイに朝食を乗せると、そのまま二人で空いてる席へと向かった。


 アルスの横には、当然ながらアスタロトさんが座り一緒に朝食を済ます事となった。

 その結果、周りの視線がようやくアスタロトさんからアルスの方へと向いてきた。

 ただし向けられる視線は、先ほどの羨望の眼差しではなく「なんでお前が!?」という驚愕と怒りの混ざったような視線がビシビシと向けられてくるのであった。

 所謂、これは嫉妬の眼差しというやつだ。


「……なんだ?我の事であれば流したが、アルスに対して不快な視線が向けられておるな。」

「いえ、気にしてないので大丈夫ですよ!それより早く朝食を頂きましょう!」

「……そうか、アルスが言うのなら今は従うとしよう。」


 そう言って、不満そうにするアスタロトさんだったが一緒に朝食を取る事となった。

 ここでアスタロトさんが不快に思って何か行動されると、何が起こるかアルスにも分からないので全力で止めておいた。


 正直、アルスだってこんなアスタロトさんと行動を共にするなんて畏れ多いレベルなのだから、そういった視線に晒されるのは仕方の無い事だなとは思う。。


「おや?そこにいるのはアルスくんにアスタロトさんじゃないか。おはよう!」


 そう声をかけられ振り向くと、スヴェン王子が朝食を持ってにこやかにこちらへ向かってきた。

 何故ここに王子がと思う人もいるだろうが、スヴェン王子は例え自分が王子であっても、ここクリストフ魔法学校で学ぶのであれば同じ生徒の1人だとして、自らの希望で一緒に寮生活をしているのだ。

 そういう所も、スヴェン王子が幅広い支持を受けてる理由の1つだと思う。

 これだけ身近で気さくに接してくれる王子様に、惹かれない人は少ないから。

 それに、圧倒的イケメンである。

 今日もさわやかな笑顔が眩しいです。


「あ、スヴェン……くん!おはようございます。そうだ!アスタロトさんの制服ありがとうございました!」

「うん、サイズも問題無いようで良かったよ。それにちゃんと君呼び出来て宜しい。前いいかな?」


 そう言うと、スヴェン王子はアルスたちの前の席へとそのまま腰かけた。

 すると、スヴェン王子が現れた事でさっきまでこみらに向いていた視線が嘘のようにパタリと無くなった。

 ……そうか、さっきから好奇の目に晒されていたアルス達を庇う目的もあって、スヴェン王子はこうして接してくれているんだという事に、そこでようやくアルスは気が付いた。

 本当に何から何まで、スヴェン王子にはお世話に成りっぱなしだなと改めて申し訳ない気持ちになった。


「なに、こんなことだろうとは思っていたのでね。僕も王子という立場上、似たような経験が多いから分かってしまうのだよ。まぁそれだけ、アスタロトさんは全校生徒にとって少々刺激的って事だけどね。」

「なんだ?我は普通にしているだけなのだがな。」

「それだけ貴女が美しいという事ですよ。」

「ふん、下らん。」


 褒められたアスタロトさんだったが、本当に興味が無さそうに答えるだけだった。

 あれ?家では褒められるとすぐ照れたりするのに、ここではアスタロトさん凄くクールだ。

 意外とアスタロトさんも人見知りとかするのかななんて、少し失礼な事を思ってしまったアルスであった。


 こうして、スヴェン王子も交えて無事朝食を済ませたアルス達は、いよいよ魔法学校へ登校する事となった。

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