要塞ダンジョンリトライ
「ドロー」
手に、カードが生まれる。スペードの3。
「ソード・スリー」
周囲にマナで創られた剣が3本出現。目の前の機械兵に向けて飛ぶ。
チッチリッ
弾かれ、地面に落ちる。
ドローの際に消費した魔力量、数字により威力、数等が変わる。Aが一番強く、2が一番弱い。低い数字がほとんどで、絵札は滅多に出ない。まあ、使い辛いスキルだ。
一応、全く使い物にならない訳でもない。ビバークしてMPを回復させながら使えるので、目的のカードが出るまで粘る事が出来る。ストックは3枚。今は、PT用途を考えて、クラブのA、スペードのK、ダイヤのKにしている。KとAでは2倍の性能差が有るのだが、Aはとにかく出ない。
機械兵が向かってくる。
「ドロー、ブロック、フォー」
クラブの4、地面から出た4本の杭が、機械兵の進路を阻む。
「ドロー、トレジャー、スリー」
機械兵を光が包む。きっとレアが出る。
「ドロー、ソード、ジャック」
ギジジジッ
空間を震わせて11本の剣が出現、
ジャギジャギジャギ
次々に機械兵を貫く、沈黙する。ハート出るかと思ったけど、空気は読めなかったらしい。
レベルが上がれば、当たりの出現率やストック可能枚数も増えるのだが、何せ1レベル3ポイントだからなあ。3次職って凄くレベル上がりにくいし。昔は4次やってたんだけどね。
〔おはよ~ますたぁ〜〕
〔ああ、おはよう〕
エレノアがログインしたようだ。そろそろ朝か。
〔早いですね。昨日も寝る前、2時頃まで起きておられたような〕
〔うむ。必要な睡眠は確保した〕
寝なくていいって、実はチートスキルじゃないかって気づいた今日この頃。
適当に雑談しつつ、狩りを続ける。普通に殴った方が早いので、トリックスーツは使ってない。スキルポイントが欲しい・・・単独行動強化狙おうかなあ。
敵によって、種族経験値が多い敵、職業経験値が多い敵、等がいるが、敵の格を大きく超えた経験値、みたいなものはないので、特定の敵を狙えば職業上げやすい、とかはない。
種族レベルが上がると、基本ステータスが1ずつ加算されたのと同じ効果。適正レベルくらいの敵にトゥルークリティカルを与えると、通常攻撃でも結構与えるし、200程適正レベルが低い敵なら、ステータス差が200あるような物なので、素手で殴っただけでもかなり与えられる。
職業スキルは強力無比だが、一応、武器熟練度を上げれば武器スキルが手に入る。圧倒的強さはないものの、通常攻撃よりはマシだ。組み合わせて奥義にしておけばそれなりだし。
〔ますたぁぁぁ!どっかいこおおお!〕
レイだ。今日も元気。
〔今3人。もう少し待って、揃ったら聞いてみて、要塞ダンジョンチャレンジしてみる?〕
〔するー!〕
それまでにレベルを少しでも。
〔にゃー〕
〔おはよう御座います〕
〔おはよう!〕
トキ、ユウタ、サクラ。
〔メールしたよお!〕
そっかあ、メールしたかあ。メールならオフラインでも確認可能だ。通知を無効にしていなければ通知が来る。にしても反応早いなあ。
〔いやー、もう出発するって言うから慌ててログインしました〕
〔にゃあ〕
〔いや違うからな?ちゃんとちょっと待つって言ったからな?〕
レイめ。
〔揃ったね!〕
〔じゃあ、アジトのダンジョンゲート前に集合かな〕
戻るか。
ダンジョン前に集合、PTを組む。
シルビア ニンゲン 男 Lv.1369 トレジャーハンター Lv.53
レイ ワーキャット 女 Lv.1107 戦巫女 Lv.21 守巫女 Lv.19
ユウタ 男 ワードッグ Lv.794 ビショップ Lv.3 セージ Lv.83
サクラ 女 ドラゴ Lv.1009 ダイミョウ Lv.17 メカニック Lv.63
エレノア 男 エルフ Lv.947 エルダーアルケミスト Lv.9 エルダーウォーロック Lv.2
トキ 女 魔族 Lv.1541 ニンジャ Lv.51 マジックマスター Lv.31
みんな成長してるなあ。トキには抜かれてるし。
《要塞ダンジョンって難しいのですか?》
エレノアの問いに、
《広い上に敵が凄く強いよ!》
レイが答える。
《行った事ないから楽しみだな!》
《1階はこの前マッピングしたので、最短距離で2階に行こうと思う。それでも1時間程かかるかも》
《うわ。。そんなダンジョンクリア可能なのかな?》
サクラが呻く。
《このゲーム、ダンジョン内でログアウト可能なので、少しずつやればそのうち》
《なるほど。。。》
とりあえず、進もうか。
『グー』エモを出すと、みんな『グー』エモを返した。
要塞ダンジョン。マップが変わっていることはなかった。さくさく進む。レイと二人の時とは比べ物にならないペース。
俺は、後衛の護衛と、敵を引き寄せたり、前衛の所に誘導するのに専念。トキは前衛として敵を保持するか、中衛で大火力で敵殲滅するか、と行った役割になっている。
俺では、このクラスの敵になると刃がほぼ通らないのだけど、サクラは切断をやってのけている。強い。レイの攻撃も、貫通している。トキは貫通はしないものの、手数でカバーだ。
横湧きした機械兵を、夢海月で掴み、前衛陣に投げる。レイの蹴りが入り、壁に叩きつけられ、エレノアの魔法が焼き尽くす。
《ますたぁ、その武器どうなってるの?》
レイが興味津々と聞いてくる。
《不可視の鞭を魔力で作り出す武器だな。LRだけあって、一応使える》
《便利そうだね!》
《ますたぁの触手みたいだにゃあ》
そんなものはない。
《ますたぁ、触手を私に使うなら、人の見てない所でしてくれよ》
使わないし、触手じゃない。
30分程で、2階への階段に着いた。
《前回は2階入口で引き返した。適正レベルも一気に上がるようだ。気を引き締めて行こう》
『グー』エモがパラパラ上がる。
地下2階。蜘蛛っぽいのが3体、クラゲっぽいのが2体、独楽っぽいのが1体。早速。
サクラ、レイが斬り込む。どちらも、単体に専念ではなく、足止めがメイン。サクラは脚を切断。レイは脚を壊したり、蹴り上げて後ろに飛ばしたり。トキは、高威力攻撃で体力を削っている。ユウタは治療に専念。俺は、エレノアとユウタの側で、抜けて来ようとした奴を鞭で押し返したり、何か撃とうと口開けた奴に槍投擲したり。
湧いたのか、上にいたのか、蜘蛛が落ちてくる。鞭で絡めて、前衛の側に投げる。
エレノアの魔法や、前衛やトキの攻撃で、徐々に倒れるが、上から降ってきたり、奥から湧いて来たりして、なかなか途切れない。もっと殲滅速度上げないと進むの難しいかなあ?
階段を背にした陣形の為、後方からの攻撃はない。もっと進めば挟撃されるなあ。少しずつ慣れてきて、狩りは安定してきたものの、前に進めてはいない。と言うか、沸きが良すぎる。倒しながら普通に進めるくらいにならないときついので、諦めた方が良さそうだ。
《駄目だね。撤退しようか。もっとレベルが必要だね》
《ですねえ。硬いし、数が多いです》
《PTは通常12人で組む物だし、それが5つ集まったアライアンスも良くあるにゃあ》
《レベルを上げたいね。ここは古代ダンジョン、この大陸の最高難易度なのかな?もう少し難易度が低い奴もあるはず。後は大陸ダンジョンを制限1000とかにしてやるしかないかなあ》
撤退を決める。その日は、大陸ダンジョンの6階を制限ダンジョンにして、数時間狩りを行い、解散した。




