大陸ダンジョン2
フライフィッシュ、海サソリ、三葉虫、サハギン・・・深海、といった印象の敵が出てくる階層だ。特に面白い階でもないので、時短で正解ルートを進もう。
《俺が先頭に行こう。ついてきてくれ》
特に罠等はない。敵も、先行する俺の矢、トキ、ユウタ、エレノアの魔法で、接敵前に倒されている。ユウタがバフを切らさないよう、ちょくちょくSPMP回復速度アップの魔法をかける。
5階に降りる。
《ここは、小部屋、ボス、奥の部屋、の構成が幾つもある。レアが入っている宝箱がある部屋もあれば、階段を守っている部屋もある。気をつけないといけないのは、宝箱がミミックな事もある。ミミックは即死魔法を使う可能性があるので、気をつけて》
《即死魔法?そんな物が存在するんですね》
トキがびっくりして言う。
《うむ・・・トラップ系でしか設定はされてなかったが、デスゲームに即死魔法は、本当に極悪だった。一応精神力上げたらかなり抵抗は出来るんだけどね》
あれで知り合いが死んだ時は泣いたなあ。
奥の部屋に何があるかが大体関知できるので、部屋を選び、階段に続く部屋に着く。
待っていたのは・・・リッチー!
コォォォォ
先制攻撃で魔法を無数に飛ばしてくるが、エレノアとユウタのイレーズの魔法に消去される。その隙にサクラとレイが近寄り、ぼこる。あいつ接近されてからの物理攻撃に本当に弱いよなー。
<ボスアビスガーディアンが討伐されました。MVPはサクラです>
《何かあっけなかったですね?》
エレノアがきょとんとして言う。
《魔法攻撃の耐性は凄いんだけどなあ。近づいて物理で連撃かけるとああなる》
そして地下6階。
《・・・何ここ?!》
レイが驚きの声を上げる。ダンジョン背景、出現する敵、これまでとは違う・・・異質。
《奈落、アビス、次元の裂け目、次元の狭間・・・そういう設定なのかな。一応壁はあるから、道を踏み外すと奈落の底、という事にはならない。敵も、今のみんなの強さなら、油断さえしなければ大丈夫だと思う》
《こんな所があるのにゃあ・・・知らなかったにゃあ・・・》
《これは興味深いですね。先程までのダンジョンは、元の世界を素材に作られていましたが、このフロアだけは異質です。敵も見た事ない敵が多いです》
《敵は凄くリンク性能が高いから気をつけてくれ。1体来ると大軍が来る可能性がある》
《集めて一気に叩くかあ?》
《待てサクラ、油断しなければ行けるのは、あくまで小数だ。お互いサポートもするから、たくさんと一度に戦うのは避けた方がいい》
《僕は回復に専念しますね》
《その方がいいかもな。レイも、いざという時は回復に回れるように心づもりを》
《はい!》
俺は・・・久々に武器を使い分けながら戦う必要がありそうだ。
《よし・・・行こう!》
みんな『グー』エモを出す。
《こっち、3体連れて行く》
《7体来たよおおおお!》
《4体だにゃああ》
《少しずつ、集めるな、ボスに急ぐぞおおお》
《回復のサークルに乗って戦って下さい。補助行きますね》
《射貫け、星の輝きよ》
阿鼻叫喚。
《ストップ、ストップ。とりあえずボス行こう》
《違うんだよ・・・!敵が・・・いたんだよ!》
そりゃいるよ。
《散らかるの禁止。固まって進むぞ》
前衛の先行を禁止し、隊列を守って進む。順調に進み、ボス部屋に辿り着く。
《ボスは多分戦わなくても通してくれると思う。戦ったことないんだよな。リヴァイアサンを複数召喚したりする、凶悪な強さみたい》
《あの写真に乗ってた人だね!》
《戦いたかったぜ》
サクラが残念そうに言う。だって強そうだしなあ、あいつ。
部屋に入ると、ボスがゆっくり立ち上がる。
「よくここまで来たな、冒険者ども。ここが貴様等の墓場としてやろう」
ええー。
「あれ・・・通してくれるんじゃ無いのか?」
「あれはソロ特典のような物だな。流石に大人数PTを通してやるほど気前は良くない」
ち。
「じゃあ・・・行くぞ!」
みんなが『グー』エモを出す。
先行はボス・・・リヴァイアサンを6体召還する。
エレノアが大魔法の詠唱に入る。レイが結界魔法を敷く。サクラとレイとトキが散開し、リヴァイアサンに向かう。
俺も参加しよう。リヴァイアサンが2体固まってる箇所に向けて放つ。
《ミョルニール!!!》
ゴウウウウウウウウッギジジ
空気がうなりを上げ、光の柱がリヴァイアサンに突き進み、当たると同時に雷の竜巻が荒れ狂う。抵抗しようと首をもたげるリヴァイアサンの背後に回り、強い魔力を注いで雷を纏わせた疑似雷槌で強く打つ。
向こうでは居合いでサクラがリヴァイアサンを深く斬り裂き、別の場所ではレイが2体をあしらいつつ引き付けている。
ボスが魔法詠唱を完成させる。闇の渦が発生し、魔力弾が降り注ぐ。レイはリヴァイアサンを盾にして防ぎ、サクラは避けたり、刀で切り裂く。エレノアはユウタの結界で守られる。こっちは避けるだけだ。
リヴァイアサンの1体がユウタの方に向かうが、トキが無数の斬撃を繰り出し、足止めする。
こちらの攻撃で1体目のリヴァイアサンが沈み、サクラが1体倒し、俺が2体目を倒す。トキが3体目を倒し、ウォーターブレスを吐こうとしてた1体を、俺のミョルニールが直撃する。
ボスが次の魔法を完成させ、放つ。闇の剣が無数に出現し、不規則な軌道でみんなに迫る。誘導弾か!
《ムーンライトレイン!!》
疑似月弓から無数の矢を飛ばし、剣を打ち落とす。サクラが切り落とし、レイはリヴァイアサンで防ぎ、エレノア達に向かう分はトキがたたき落とす。
《ルーンスレイヤー!!》
エレノアの魔法が完成。7色の光が、それぞれ複数の軌道でボスに向かい、収束する。炸裂、無数の爆発を起こし続ける。避ける事もできず、やがて結界を貫いて本体に届き、爆発し続ける。倒すか魔力が尽きるまで続く種類の魔法らしい。あ、ユウタが魔力回復飲ませてる。
「ぐおおおお」
光の進路上にリヴァイアサンを召還するが、リヴァイアサンを貫いてそのままボスへと届く。詠唱長いなーと思ってたけど、これ詠唱完成させちゃいけない奴だ。もうリヴァイアサンは片づいていて、レイとサクラは遠距離攻撃でちまちまボスの体力を削っている。俺はムーンライトレインを放つ程度。
「おのれええええ」
ボスが炎の塊を複数召還、エレノアに向かって投げつける、が、ユウタとトキの放ったイレーズがかき消す。
「ぐおおおおおおおお」
断末魔の叫びを残し、ボスが倒れる。
《ワールドガーディアン・アルファが討伐されました。MVPはエレノアです》
入手したPTドロップは、水龍鞭[UR]。なかなかいい。
《やりました!!》
《倒せた・・・にゃあ・・・》
《強かったね!!》
《何とかなった、か》
《強かったですね。でもいいアイテムも貰えたし、戦ってよかった気がします》
《さて、ダンジョンをクリアしよう。奥の扉の宝箱を開け、脱出口から出たらクリアだ》
奥の部屋に入る。宝箱を開け、それぞれアイテムを入手。以前ここでGR出たんだっけな。今回はせいぜいUR止まりだったようだ。
ダンジョンから出て、みんなで円形に座ってねぎらい合う。
《お疲れ様ー》
《楽しかった!これでフラグも建ったし、このダンジョンの6階で制限ダンジョンとか出来るね!》
《エレノアの魔法凄かったなあ》
《詠唱時間がネックですけどね・・・あれでもかなりイメージ化や短縮詠唱しているのですが・・・後、こまめに魔力回復貰わないと、すぐ尽きちゃいます。魔力の質を拡大に回すと、大爆発も起こせますよ》
《3階じゃなかったとは・・・でも楽しかったのにゃ!》
《俺もボスと戦ったのは初めての経験だ。みんな本当に強くなったと思う》
《マスターも改めて強いと思ったよ!》
《レベル差があるからなあ。あと装備》
《では・・・お疲れ様!》
挨拶し、解散とする。




