大陸ダンジョン1
〔マスター、大陸ダンジョン行きたい〕
ログインするなり、サクラが言ってきた。確かにみんな成長したし、そろそろ良いかも知れないけど。
制限ダンジョン化して利用する際の条件として、全員が一度は普通にクリアしている事、と言うのがある。出来れば一度で全員フラグを建てておきたい。
〔今から大陸ダンジョン行くなら参加できる人〜?〕
〔ノ〕
〔ノ〕
〔ノ〕
〔ノ〕
〔ノ〕
ノ←手を上げている、の意味。全員行けるようだ。
〔リベンジ、だな〕
サクラ。
〔あれからみんなレベル上がったし、きっと行ける!!〕
レイ。
〔回復と補助頑張りますね〕
ユウタ。
〔頑張ります!〕
エレノア。
〔不安だけど頑張るにゃ!〕
〔多分、トキはソロでクリア済みだろ?〕
〔それはそれ、こういうのはみんなで行くから楽しいのにゃああ!〕
〔よし、行こう〕
大陸ダンジョンもアジトから直接行ける。まあ、気楽に行っても大丈夫だと思う。普通に入ると難易度上がるので、デフォルトレベルを選択。
みんな『グー』エモを出すと、ダンジョンに入った。
1階はスケルトンやマジックゴーレム。敵じゃない。倒したり放置したりしながら進む。最初は湧きが良い上に弱いから稼ぎ良かったんだよなあ。
2階。雑魚は余裕。ボスも余裕で倒せる。あの苦労したクマも、範囲魔法からの集中攻撃であっさり落ちた。
特に苦労せず、3階に着く。
《余裕あるね!》
そりゃなあ。
トキがみんなをくるっと見ると、パンっと手を叩いて言う。
《さあみんな、ここが大陸ダンジョン最下層、攻略者は一握りしかいないのにゃあ!待ち受ける無数の罠、強力な敵、そして待ち受けるリヴァイアサン。力を合わせれば、栄光は必ず我らが手に。行くにゃああああ!》
トキが『グー』エモを出す。
《お、トキがいい感じで勢いに乗ってるな。これは何かツッコミ受けてフリーズするパターンだ》
《さあマスター、グサッと言って下さい》
え、可哀想じゃね?
《違うにゃあああああ。私はこのダンジョン実はソロクリアしてるにゃあああああ。今回は大丈夫にゃああああああああああああああ》
《あ、これは何かありますね》
レイ。
《マスター、なるべく刺激少ない感じで》
ユウタ。
《絶対大丈夫にゃああああああああああああああ。行くにゃああああああああああああああ!!!》
《トキ・・・》
トキの肩にぽん、と手を置く。
《・・・・にゃ?》
判決を待つ死刑囚の様な顔で反応するトキ。
《そっちはダミーのゴールで、本当の道は湖の中にある。ここの最下層は3階じゃなく、6階なんだ。と言うか、写真館に普通にここのボス置いておいたろ?ポーズとってた奴》
《にゃあああああああああああああああああああああああああ》
《マスタマスター、湖ってあれ??》
レイがたーっと湖に向けて走って行く。
ざばあ
クラゲのボスが浮き上がる。美少女と触手。普通に気孔波や後ろからのエレノア、ユウタの援護の雷魔法でひるみ、サクラとレイが連撃、エレノアとユウタの第二波で沈む。強くなったなあ。
<ボスナイトメアジェリーが討伐されました。MVPはエレノアです>
水結晶をPTドロップとして入手する。レア度が低くても、PTドロップなら直接手に入る。
《ほらトキ、行くぞ?》
《違うのにゃあ・・・私はクリアしたのにゃあ・・・ぶつぶつ》
うーむ、復活に時間かかりそうだ。引きずる必要はなく、自分の足では歩いているが、戦闘には期待できそうにない。
湖の前でみんな待っている。
《水中呼吸魔法使えばいいですか?》
エレノアが確認してくる。
《ああ、頼む》
エレノアの環境最適化魔法が発動。光の泡が身体に纏わりつき、メンバーの表面に薄い結界を作る。
《凄い、水に濡れない。不思議!呼吸できる!》
レイがはしゃいでいる。サクラがトキを背負う。自分の足では歩いているが、危険と判断したのだろう。
《クラゲの他に、大きな魚のボスもいるから気をつけて》
俺も水の中に入る。エレノアの出した光に敵が集まってくるが、ユウタやエレノアの放つ水流弾の魔法、更に近づいた奴はレイとサクラが処理している。俺も、疑似月弓で矢を作り出し、適当に射貫く。トキがようやく回復して来たらしく、魔力弾を飛ばして近づこうとする敵を狙い撃っている。
大きな魚がこちらに向かってきた。ボスだ。
ダンダンダンッ
エレノア、ユウタ、俺、トキ、が遠距離魔法を連打し、怪魚を集中砲火する。サクラが呪いを飛ばし、レイも気孔弾を飛ばす。徐々に距離を詰められ・・・接近した所で、サクラとレイが横手から突撃をかける。エレノアとユウタとトキは避けつつ、魔法を連打。俺は上から無貌の神刀[大剣]で斬りかかる。徐々に勢いを失い、動かなくなる。
<ボスゴライアスジェネラルが討伐されました。MVPはサクラです>
《早いなあ。始めて来た時は休憩挟みながら30分とか戦ったのだけど》
《マスター気が長いですねえ》
《30分でも早い方だけどね。レンジャーはとにかく火力がないから、やたらと時間がかかる。戦闘は苦手な職だからね》
《そうなのですか?マスターの強さを見てると、レンジャーってかなり強いイメージですけど》
《いや、弱いよ。同じレベルまで上がった他の職と比べると、圧倒的に弱い。例えば、トキの方が既に俺より遥かに強いと思う。スキルも、アイテムとか一般スキル、他職スキルで代替出来る物がほとんどだからね。あまりの使えなさに、かつて六勇者は、レンジャーの職に就く事を禁止したくらい。俺は守らなかったけど》
《職に就くことを禁止・・・酷い話です》
《仕方なかったのにゃあ。当時、ゲームのクリアに人類の未来が掛かっていると思われていたので、効率重視、強い戦闘職か必須職以外に人が就いちゃうと、必要な戦力が確保出来なかったのにゃあ》
《全人類が攻略優先で動いてたって事なんですね・・・》
横穴に辿り着く。
《此処から上がれる。その先に進むと、地下4階だ》
《こんな所に隠し通路が。よく気づきましたね》
《レベル上げがてらぶらぶらしてたらたまたま、な》
みんな『グー』エモを出すと、横穴から通路を通り、地下4階へ移動した。




