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月下夜話4

「とにかく」


ユウタが仕切り直す。


「今後もこういうプレイヤーは増えると思う。追加募集で人が増えれば増える程。そして、1人でもいると、かなり多数の人が迷惑を受ける。リアルの世界では、自分の身分があり、法律があり、親族の立場があって・・・様々な抑止力があるのだけど、この世界ではそれがない匿名の世界だから・・・どうしても、ね」


「オンラインゲームの宿命だな・・・そして困るのが、この世界の住民への攻撃だ。彼らは生きている。殺されれば蘇生は難しいし、蘇生不可能になる事も多い。一応カルマ値、という制度はあるが、別に殺されてもセーブポイントで復活するだけなので、特に困らない」


「思うに、デスペナルティーを強くしたらいいと思うんです。蘇生魔法があると関係性が難しいから、プレイヤーへの蘇生魔法は無効にするとか。デスペナルティーは、カルマ値によって、1日~1週間、カルマ値が最大の状態で死亡するとアカウント消失、というのはどうでしょう?」


「リザレクションは、僧侶の強い存在意義だけど、自職の強みを潰すというのですか?」


月花が聞く。


「回復を頑張ればいいんです。その方が緊張感も出るので、冒険も楽しくなると思います」


「カルマ値でデスペナルティーが大きくなったり、アカウント消失・・・それは、運営にとってカルマ値を貯める事が違法である、という前提に立っていませんか?カルマ値が溜まる行為もロールプレイの一種、として許容するなら、別にペナルティーと関連させる必要はないと思うのですが。人間の企業が運営しているゲームと、女神?でしたっけ?のやってるゲームでは、運営の価値観が異なると思うのです」


いつの間にかメイドがやってきて、会話に混じる。


「確かに、私が思う悪事、カルマが溜まる行為、これが運営にとって駄目な事、禁止事項、かは分かりません。そして、私は、運営がその行為を禁止するかどうか、は関係ないと思っています」


「どういう事でしょうか?」


「ロールプレイ、確かにそうなのです。ヒールを演じる、だからカルマが溜まる・・・そしてその結果不利益が生じ、最悪アカウントが消える・・・これがヒールを演じる緊張感を生み、ロールプレイが正しく評価されていると思うんです。反社会的行為、周りの利益を不当に奪った結果が、ノーリスクであったり、殺してもすぐに復活するぞと開き直るのは、ヒールのロールプレイとは言えません」


一息置き、


「だからこそ、私は、カルマによるデスペナルティーの拡大を主張しているのです」


あれからずっと考えていたのだろう。ユウタが熱く語る。


「なるほど・・・確かに、ノーリスクなのは、味がないですね」


メイドがうんうん、と頷く。


「後は話してないのは僕くらいだけど・・・僕は一連の事件に関与していないのですよね。最近マスターとやった事、と言えば、古代遺跡探索したくらいです」


「何それ!古代遺跡??」


レイが食いつく。


「うん、アジトに揚陸艇が停まっていたでしょ。ああ言うのが置いてあった」


「聞いた事がないですね、何処のダンジョンですか?」


トキが聞く。


「んーっと・・・マップを抜けて数時間歩いた場所かな。山の中だったよ」


「マップを抜け・・・え・・・?」


「うん、世界を利用する際、一部だけ舗装して、プレイヤーが探索する場所にしてるんだと思う。それ以外の背景っぽい場所に行くと結構あるよ?」


「え、世界を利用するって何?」


エレノアがきょとん、とする。


「えと、だから、多分女神様に滅ぼされた世界の情報を使って、この世界構築してあるから、その元の世界の設備だね。魔法と機械を融合した文明を築いていたけど、産み出された魔王と戦って・・・最後は自分の機械が暴走して滅んだみたい。流石に滅んだ後の世界を使っても仕方ないから、部分的に時間を巻き戻して使っているんだと思う」


「正解です。よくその答えに辿り着きましたね」


月花が褒めると、


「色々遺跡回って、色々考察するのが趣味なので」


ぽりぽり頭をかくエレノア。


「あの・・・さっきから気になってたんだけど、月花ちゃんってどんな存在?マスターとも親しいみたいだけど」


トキが聞く。


「あれ、聞いてないのか?元俺のフェアリーで」


マイハウスに1人1匹フェアリーが付いてくるのだが・・・当時若気の至りで、無理に連れ出して連れ回してたら、気がついたら自我やら家事炊事、補助魔法に回復魔法、戦闘、その他色々雑事と、色々できるようになってたという。


「そういえば・・・お姉ちゃんから、生意気フェアリーがどうこうと聞いた事があるような・・・」


「で、多分今は女神様のアドバイザーって所かなあ?」


「ですね」


「め、女神様の?!す、すみません」


ぺこ、っと頭を下げるトキ。


「やめて下さい。私はただのシルビア様の専属フェアリーです。ポンコツ猫もどきらしくないですよ」


そろそろしめるか。


「とりあえず、これである程度情報は共有できたと思う。みんな仲間だし、仲良くやっていこう。今日は色々面白い話も聞けたし、楽しかったよ」


「うん!楽しかった!またやろう!」


レイがはいはーいと手を挙げる。


「うむ。色々あったんだなあ。今度遺跡行きたいぞ!」


サクラ。


「つい熱く語っちゃいました・・・運営さんに連絡がとれるなら、さっきの提案してみたいですね」


ユウタ。いや、改めてやる必要はないと思うぞ。


「月花ちゃんがまさか・・・女神様の・・・落ち着け・・・落ち着け私・・・」


トキがうなだれて言う。


「いや・・・私の存在よりむしろ・・・やっぱりポンコツなんですよねえ」


月花が横をちらちら見る。


「遺跡探索、一緒に行く人がいれば歓迎です!揚陸艇動くようになったら、みんなでスカイドライブに行きましょう」


エレノア。


「では、今日はお疲れ様でした。また集まって話そう」


そう締め、解散とした。

これで、この作品の謎、的な物は全て語ったと思います。

後は次章で、日常の話を少しだけ続ける予定です。

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