月下夜話2
「通常では考えられない仕組み、そんなの有りましたっけ?」
レイが不思議そうにする。
「まず、皆さん恐らくゲームの中に入り込んで、今ここに居ますよね?」
「「「「「えっ」」」」」
「何でマスターまで驚いてるのですか・・・?」
「いや、ほら、ただ想像力で補ってるだけじゃ?こう、ワイヤーフレームの3Dダンジョンゲームやってて、いつの間にか実際にダンジョン歩いてるような感覚に」
「それだけでは説明つかないですよね?さっきケーキ食べて声上げてましたよね?想像力だけで味覚感じ、しかも予想外に美味しい何ておかしいでしょ?」
「ふむ・・・言われるまで全く気づきませんでしたが、そう言えばそうですね」
エレノアが頷く。
「ゲームに集中した時点、人によっては儀式、呪文等あるようですが、魂だけがこの世界に召喚されているようです。その時点で、スマホの電池は減らなくなるし、通信も不要になるオプション付きだそうです」
そう言えば、電池すげーもってたなあ。
「尚、ゲームに入り込まずにプレイしている人でも、気絶、睡眠、呪い等の影響を受けることが有るようです」
調子が戻ってきたのか、トキの口調が落ち着いてきた。
「後は・・・最後に、この世界自体に関してですが・・・世界の謎、とも言うべき存在があります。それは・・・アルカナスキル、と呼ばれている物です。六英雄や私、マスター、ごく一部の人にだけ、強力無比のスキル、固有スキルが与えられています」
「謎・・・ですか?この世界を作る際、ただ単に残留思念?が邪魔だったので、形を与えて固めただけですよ?持っていればラッキー程度に捉えて貰えればいいかと思います」
月花が、ケーキと飲み物のおかわりを運びつつ、首を傾げて言う。
「えと・・・えと・・・」
予想外の方向からの情報に、また固まるトキ。可愛いなあ。
「えと・・・とにかく、便利なスキルがあるのです。望んで得られる物ではありませんが、そう言う存在がある、とだけ認識しておくといいと思うのです。それに・・・タロットに対応しているとすれば、危険なスキルもありますしね」
「危険、ですか?」
レイがキョトンとして聞く。
「そう、例えば、デビル、のスキル。効果は、極めて悪質な物になる可能性があります。これを悪人が取得すると、非常に困った事になる可能性があるのです。アルカナスキル、は、本人の資質と深い関わりがある事が分かっていますので、悪人に宿る可能性は非常に高いです」
「デビル・・・私の持ってるスキルですね。でもあまり危険な効果とかはないですよ?後悪人じゃないですよ?」
さっきまでの比じゃないくらい固まった。もう声すら出ていない。瞬きはしているけど。
「え・・・ええ・・・持っているってどう言うことですかああ?!」
レイが訳が分からないと言った感じで。
「言われましても・・・ほらほら、『ただのスキルですし、対した事じゃないです』よ」
「そ、そうですね・・・別に危険じゃないと言ってましたしね・・・そうですか・・・このギルドにはアルカナスキル所持者が3人いたんですね・・・」
「他に注意すべきスキルはあるのか?」
サクラの質問に、
「そ、そうですね・・・例えば、タワー。これは、正位置、逆位置、共にマイナスの効果を持つタロットです。このスキルはどう解釈しても、所持者が不幸になると思われます」
「私のスキルだなあ・・・何だよ・・・レアドロップ率低下って・・・あ、パーティーには効果ないと思うので大丈夫・・・だと思う」
サクラのスキルだったかあ。がっくりするサクラ。
「・・・サクラさんもアルカナスキル持ちでしたか。まあ・・・逆に、効果が分かり安いスキルもあります。所持する事ができれば、きっと強い助けになるでしょう。特に分かり安いのは、ハイエロファント、マジシャン、と言ったスキルですね」
「ハイエロファントは私のスキルですね」
ユウタ。
「マジシャンは僕が持っています」
エレノア。みんなアルカナスキル持ちかあ。
「凄いですね、よくみんなの所持スキルを当てましたね」
月花が賞賛するが、
「違う・・・そんなつもりじゃないいいい!」
突っ伏してしまった。
月花が慰めている。
「ほら、落ち着いて。さっきの訳知り顔で続けて下さい。みんな興味深く聞いてますよ」
あ、嗚咽が聞こえ始めた。
「えっと・・・次は私が話そうか」
サクラが話者交替、と話し始めた。
総合2000PVありがとうございます。




