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からだが支配する

作者: 花木理葉

この時期は花粉症で、特に寝起きは鼻が詰まって呼吸ができず、死にそうな思いをすることがあります。

そういうときって何もかもがどうでもよくなり、とにかくこの苦しみから開放されたい、と願います。

どんなにあれこれ考えていても、結局のところ、最後に優位に立つのは身体感覚です。

文章を読むのにしても同じです。


頭はからだの一部であり、思考というのは、考えている最中はそれに支配されてしまうものの、

そこから脱出したとき、自分を俯瞰してみると、ただ座ってモニターを眺めているだけ、なんて状態です。


からだの他の部位を動かしていないから、思考に支配されてしまうわけです。

何かしながら考えると、気が散ってしまって集中しにくくなります。

でも、頭以外のからだを動かしていても、長く同じ動作を続けているとしんどくなって、中断してしまいます。

思考もそういったところがあり、同じことについて考え続けるためには、断続的にやるしかないと思います。


同じことをひたすらできるとき、というのは、なかなか不健全なことで、

ある種、なんらかの機能が停止していると言えます。

だから周囲がゆっくりに感じられる、自分だけが速い速度で動いている、と感じる瞬間もあります。


自分だけが取り残されている、と感じる瞬間は、むしろ自分の速度が早過ぎるときに発生する、

と考えられます。では、何が加速しているのか、ということですが、やはり処理能力でしょう。

取り残されているからこそ、周りが見える。

そこで自分の内面を見てしまうのは、ちょっともったいないな、という気がします。

自分を見るならせめて外側から。


外から眺めたとき、頭は、思考は、自意識は、内面は、ただの表層になります。

それは単に一部分のことであって、からだ全体ではありません。

頭は単体で独立できない。


そう、からだが支配しているのです。

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