幕間
―世界の史実は綿々と進み愈々最終楽章に入る。世の理は貴様らの寝首を掻く事だろう、
その日、襲撃事件は起こってしまった。(悔いる者、憎む者、罵る者)三者三様の憤りを孕み首謀者達を断罪する声は日増しに高々と頭上に掲げられるように為った、普段我関せずの市街の住人までもが声高に「逆徒を討て」と叫ぶ始末。言い分の通らぬ『大義(民衆の本意)は我らに有る、』との一点張りで豪語する首領を部外者に曝すわけには行かなかった。
しかし数日後、事態は呆気なく収拾を見せた。容疑者が二人捕縛されたのである、一人は運悪く此度の祝宴を欠席していた者。そして後一人は…。「離せ、僕が何をしたと言うんだ!」両の腕を拘束された黒髪の少年は後ろ手に引っ立てられ裁判にかけられる手前。廊下で喚いていた、無論時間稼ぎである。みすぼらしい風体は唯の町人の(それもかなり貧乏な)子供にしか見えなかった。一体、彼が何を仕出かしたのだろうか?検察の目は余程の節穴らしい…
居並ぶ面々の顔はどれも苦りきった顔をしていた、薄々皆が悟っていたのだ。無罪であると、しかし間の悪い事に彼は当日の警備網を突破して居合わせてしまった。『疑わしきは罰せず』けれど未成年でも刑は執行される、呪うならば己の無実を証明できない不幸を恨むがいい。誰もがそう思った、
断末魔が教会の方から聴こえてくる、因果にもクレバスの空いた大地の直ぐ横に寂れた教会は建っていた。誰かが邪気を祓うように願掛けなのか鐘を鳴らした、清浄な調べが辺りを静寂へと包む。皆、一概に哀しみだけが残火として燻った。
―『人間は時を経、猶も争わずにはいられないのか。』と
中央の地は喪に服しどんよりと重く息苦しいだけの重厚間に覆われていた。
クレバスは本作中、大地に突如走った裂け目の様な感覚で捉えて戴きたい。




