メインと部活動紹介
北海道独特の寒さが襲う4月に授業が終わり、校内の体育館へと続く廊下を歩いていた。僕自身は勉強が大変などと言っている場合ではない。むしろ大変なのは……
「む? 遅かったな。ユウ」
この人は3年生で文武において、天才と言われている先輩、ケイさんだ。その一言を聞いて、思わずため息が出る。
「そんなため息をついて、どうした? 私がいつボケたんだ? さぁ、ツッコめ」
「僕は部活のツッコミ……もとい特攻隊長ではないですよ?」
そう言うと、ケイさんは怪訝な顔をした。なぜ、そんな顔するのかよくわからないのですが……。
「やはり君にはボケは向いてないようだ」
「ちゃんとして! あんた天才でしょ!? 冷静に僕のキャラを分析しないでください!」
まあ落ち着けとケイさんは言って来た。本当にこの人は自分は立ち回りがうまいですよアピールばかりしてくるから、厄介な先輩だ。
「君は本当に顔に出るタイプだ。恋愛で必ず失敗する」
そして余計なお世話まで言ってくるため、残念な先輩(知ってる限りで)1号だ。僕の中でということもあり、ケイさんは周りの評価では「成績優秀」「眉目秀麗」「運動抜群」などとこの部活内での評価が全くといって良いほど反映はされていない。
「ウラヤマシイデス。ホントウニ……」
「君は私以上の天才だと、思っているよ。正当な評価は受けているとは思っていない。さぁ今日はフリーランで練習だ。野球部と合同だぞ」
「でも、まだ全員揃って……」
言って見回してみれば、そこには同じ学年でこの部活に引き込んだ悪友とも言える親友がいた。しかもしっかりと準備体操しながら。
「なあ、ジュン。お前、いつ来たんだ?」
「俺か? 1003億年前からいたぜ」
「そのガッツポーズ腹立つからやめろ。そしてそんな昔から地球は存在していない」
ジュンと呼んだ親友は拳を胸の前でがっちりと握って、僕に眩しいほどの(言い過ぎているけど)笑顔を見せて来た。素直に言おう。ものすごく腹が立つ。
「全く、もうちょっとテンション上げていけよ。野球部のテンションについていけないぞ?」
「お前は一足早く野球部とランニングでランデブーでもしてこいよ」
「ランだけにランデブーってか?」
ジュンは下品な笑い方で僕を指差していた。さらに腹が立ったから、その指を曲がらない方向に曲げてやったよ。骨でも外してやろうか。
僕は着替え終わって、二人の前に現れた時には二人とも準備体操が終わっていた。ジュンの指にテーピングが張ってあるのは気のせいだ。
「それでは行こうか」
「部員をヘッドハンティングしに」
「待てコラ」
二人同時にヘッドハンティングという一言を聞いて止める。
「なんだよー部員が入らない以上、ヘッドハンティングは有効な手段じゃねぇか」
「この部活は企業か? それよりもまだ3人で成り立っている部活がおかしいじゃないですか? 先輩」
「校長、および生徒会にはおど……交渉をしてね」
どう考えてもケイさんから脅しという言葉を聞きそうになったけど、これを気にしていては負けだ。それよりも勧誘してないのに、なんでそれを頼りにしているかがわからない。
その後、部活を行って良いという許可は出ていることを確認した。さらにヘッドハンティングによる他の部への支障について僕が直々に(二人は多分分かっている上で)説明した。
「それより、まだ私たちの部活について説明してないのでは?」
「? 誰にです? もちろん新入生には説明してませんが」
「読者の皆さんにですよ」
「メタ発言やめてくれませんか。それに誰ですか?」
「俺たちセパタクロー部ってマイナーな部活をよろしくな!」
「先取りとはズルいですねぇ……ジュン君、野球部とずっと走っていなさい」
「そんな!!」
「自業自得だろ……まあ、それは置いといて、それでは」
「セパたく! と呼んでいるセパタクロー部をよろしくお願いします!」
ケイさんと僕で声を張り上げて、言った。