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ただの幼馴染だけど!  作者: 雲花エマ
ブルーな女子
2/6

桜咲く中

 今日は快晴だった。

 桜も良い具合に咲いていて、記念に一枚撮るには良い日だ。

 新しいブレザー制服を着て、同じリボンの色、通学カバンもピカピカ、履き慣れないローファーも血だらけになる前が良いだろう。

 すぐにそうしたがる咲実や采月は走って良い所を探す。

 来夢はとぼとぼと晴弥と並行して歩く。

「行って来て良いぞ?」

「うん」

 その声には覇気がない。

 けれど、彼女はとぼとぼと歩いてそちらに向かう。

 まるでそうして今日の高校の入学式を終わらせたみたいに。

 今日の早朝まで一緒のクラスの人がいない! と寝込んでいたみたいだが、朗報ではないにしてもそれなりには知っているだろう晴弥の小学校からの親友である氏家一颯うじいえかずさが同じクラスに居ると知って、少しは気持ちを取り直したみたいだ。

 だが、この二人に接点はない。

 同じ小学校、中学校でしたよね? くらいなものだ。

 同じクラスになっていたら違ったのかもしれないが、不登校になりませんように! と願うしかなく、そんな来夢を二人の幼馴染は温かく迎え入れた。

 ピースなんてしちゃって、俺は外野の外ですか……。

 はぁ、なんて感慨深いこともなく、そのうちこういうのが当たり前になって俺だけの彼女ができちゃったりして、日々を過ごして行くのかもしれない。

「ねぇ! 何やってんの? 大城おおしろー!」

 うっさいのがやって来た。

 まるで夏休みの宿題のような彼女は晴弥の腕を掴み、皆の所に連れて行く。

 こういう時だけ名字で呼び合うと中学の時に一方的に決めた采月はそれを高校生になっても実行するらしい。

「今日は特別サービスだからね?」

「え?」

 いつもはしないような事をしていると彼女は言っている。

 けれどそれが何なのか晴弥には分からなかった。

 別にあとの二人はいつも通りで気付いていない。

 采月だけが分かっている事なのか……。

 まあ、考えても仕方ない。何故なら、彼女はとっても面倒臭い奴だからだ。

 春休みの宿題レベルの咲実なら簡単に片付いたかもしれないが。

「ねえ、笑ってよ?」

 に~っと冬休みの宿題ぐらいの難しさがある来夢は少し無理のある笑顔で皆より小さい身長がさらにそれを増長させている。

 いや、この中に俺が居るからか――と晴弥は気付いた。

 一番背が高くなってしまったから、この高低差が原因か――なら、自分は入らなくても良いのだが、采月の手が離れていない。

「おい」

 こそっと晴弥は采月に言った。

「上手く撮れるまでね!」

 分かっている、皆まで言うなと無茶な事を言う。

 上手くって、あとどれくらいですかぁ~!! 半泣きの来夢が見られたのは久しぶりだった。

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