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鬼使神差  作者: あまちゃ
-光- 第七章 焦る仲間
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第九十五話 あの話

「て......天宇軒...様......」


「.........」



天宇軒は千秋の父親の首を絞めているため、千秋の父親は苦しそうにしている。


天宇軒は威嚇しているライオンのような恐ろしい顔をしている。



「...く......苦し......」


「何故"光琳をいじめた"。言え!」



天宇軒は更に力を強めた。



「天宇軒様!!」


「苦しそうですよ!!」



他の護衛神二神は次は自分の番ではないかと一歩下がりながら叫んだ。

しかし天宇軒は聞かなかった。



「言え!!何故いじめた、何故怪我をさせたっ!?」


「...ゆ......宇軒様!!いけません、このままでは死んでしまいます!」



波浪が焦ってそう言うと、天宇軒はゆっくりと手を離した。



「......ゲホッ......ゲホッ......」


「......お前はクビだ。明日から城へ来るな。光琳に近づくな。将来の王を傷つけた...ということは本来ならもっと重い罰を受けることになる。これぐらいですんだのだから有難く思え。次はないぞ」



「は......はい......」



千秋の父親は走って逃げていった。他の二神もついて行こうとした。



「お前たちは何故助けなかった?見ていたのだろう?」



天宇軒が睨みながらそう言うと、二神は口から心臓が飛び出そうなほど驚いた。



「そ......それは......」


「すいません......」



「お前たちも明日から来なくて良い」



二神は青ざめながら一礼し、走って逃げていった。

明日からこの三神の姿は見えないだろう。



「......はぁ...」


「宇軒様......」



波浪は心配そうに天宇軒の側まで来た。

天宇軒はすごく疲れている様子だ。



「......今日ぐらい休んでください......。私にはもう限界に近いように見えます......また倒れてしまったら......」


「いや。大丈夫だ......」



天宇軒は目を閉じ、眉間を押さえた。

寝不足のようだ。



「しかし......また倒れてしまったら...逆効果ですよ!......光琳様にとって一番良いのは......」


「時間が......時間が無いのだ......」



天宇軒は暗い顔でそう言った。

何をそんなに焦っているのだろうか。

天宇軒は椅子に座った。


いつものように姿勢を正しているのではなく、背もたれにもたれ、上を向いた。



「......はぁ...」



ため息ばかりだ。疲れが取れていない。

このままでは危ない。



「......父上...?」


「...麗華...!?」



天宇軒は天麗華の声が聞こえ、姿勢を正した。



「あ、良いのよ......そのままでも......。家族でしょう?......それに...すごく疲れているように見えるわ」


「......何の用だ?」



天宇軒はそのまま姿勢を正したまま天麗華に聞いた。


天麗華は天光琳のことを全て話した。

話終わると天宇軒は下を向き、また一つため息をついた。

そして、顔を上げ、真剣な顔をした。



「麗華。話したいことがある。......波浪、外で見張っててくれないか。あの話をする」


「......あの話をするのですね......。はい。分かりました」



あの話とはなんだろう......。天麗華はそう思いながらいつも天万姫が座っている椅子に座った。

波浪が外に出ると、天宇軒は話し始めた。



「俺には......」




✿❀✿❀✿




天光琳と天俊熙は部屋に戻ってきた。

天光琳は本を読んでいる。

天俊熙は椅子に座り、外の様子を眺めている。



「...なぁ、光琳」


「なに...?」



天光琳は本をめくりながら、返事をした。



「お前は......この世界のこと、どう思ってる?」


「この世界......?」



そうだ、と天俊熙は頷きながら言った。

突然天俊熙にしては珍しい質問で、天光琳は真剣に考えた。



「良い世界だと思うよ」


「ほんとに?」



天光琳は何故こんな質問をしてくるんだろう......と首を傾げた。

開いていた本も閉じた。



「この世界を............滅ぼしたい...とか、変えたいとか......そういうことは...?」


「そ...そんなの嫌だ......全然思ってないよ!」



天光琳がそう言うと、天俊熙はニコッと微笑んだ。



「だよな、良かった」


「......?なんで急に......?」



天光琳はそう言ったが、天俊熙は首を横に振って、『なんでもない、聞いてみただけ』と言ってまた窓の外を眺めた。


しかしその様子はとても不安そうな顔だった。

先程微笑んでいたのが嘘のように......。



不思議に思いながら天光琳は本を開いた。



「......あっ」


「...ん?どうした?」



天光琳はあることを思い出した。



「あ、いや、なんでもない!!」


「......?」



(やばい......やばい......)


扇を壊してしまったこと、忘れていた!

天光琳は白い布に包んでおいた折れた扇を取り出した。






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