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鬼使神差  作者: あまちゃ
-光- 第六章 燦爛鳳条国
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第八十話 舞

一度深呼吸をし、天光琳は扇を開いた。

神の力は使えず...音楽はないため、天光琳は......歌を歌いながら舞をしている。


二神は天光琳の美しい舞と......美しい歌声に驚いた。

とてもギャップを感じられる。


神の力が使えなくても、こんなに美しく舞うことができるのかと。

二神は瞬きをするのを忘れるほど、しっかりと見ている。


これは平穏無事之舞へいおんぶじのまい

離れた仲間の無事を祈るのも込めて、この舞にしたようだ。


動きはゆっくり美しく、清らかに舞う。

そして歌声も優しくしている。



舞終わり、天光琳はそっと扇を閉じた。



「す......凄い......光琳、君凄いね!神かよ!!」


「いや神だよ」


「あ、僕たちは神だったね!うーん、じゃ、神以上に凄いよ!!」



天光琳はクスクスと照れ笑いした。



「凄いな。やっぱり努力し続けてる神の枚は綺麗だ。俺たちの舞とは少し違うけど、こんな綺麗な舞は初めて見た」


「へへ、ありがとう...」



天光琳は扇を腰に刺し直し、座った。



「天国の舞は、歌もセットなの?」



京極伽耶斗がそう言うと、天光琳は首を横に振った。



「本来なら、神の力で曲を流して舞うんです。だけど、僕は神の力が使えないので、曲は流せない......。だから一神で舞う時はたまにこうやって歌を歌って、リズムを取っているんです」


「へー!それは凄いや!」



京極伽耶斗は拍手をした。

神の力を使って曲を流すところは、燦爛鳳条国も同じだ。

しかし、神の力が使えず、曲を流せないため、自分で歌を歌う.....とは面白い発想だ。



「歌詞は自分で考えてるのか?」


「うーん......全て考えている訳では無いです」



実は桜雲天国には、一冊の貴重な書物があり、その書物には沢山の曲が載っている。

振り付けや意味、そして物語が書かれている。

昔は振り付けや意味だけだったのだが、ある先祖が物語を付け足すと、想像しやすくて舞いやすいだろう...と付け足したのだ。


天光琳はその物語を元にして、歌詞にした。

小さいから本が好きだった天光琳は、この書物を丸々暗記し、物語を勝手に歌詞にした。


そして舞の振り付けを覚える時も、たまに小さな声で歌い、練習していた。


そしてそれを繰り返していた結果、なんと歌も上手くなってしまったのだ。


しかし、人前では歌うのは恥ずかしいと、歌うことはあまり無かった。

聞いたことあるのは天麗華と天俊熙ぐらいだ。



「良ければ、鳳条国の舞も見せてくれませんか...?」



「もちろん、いいよ!ね、庵?」


あぁ、と京極庵も頷いた。

早速見せてくれるようで、二神は立ち上がり、横に並んだ。


そして二神は扇子を取り出し、両手で持った。


京極伽耶斗が右手の扇子をバッと開き、くるくると回した。すると、光が出てきて、それを上にあげた。

すると炎のように光は燃え上がり、曲が流れ始めた。


二神は扇子を広げ、舞い始めた。

燦爛鳳条国の舞は...激しくかっこいい舞だ。


扇子の先には炎が着いており、暗闇を明るく照らす。大きく回ったりすると、光が繋がって見える。まるでトーチトワリングのようだ。


(か......かっこいい...!!)



天光琳は鳥肌が止まらなかった。

そして、炎ってこんなに美しいものなんだと感動した。



二神の息はピッタリだ。

さすが兄弟。

練習をしなくとも、こんなに合うとは。

......もしかしたら、普段から二神で舞っているのかもしれない。振り付けが二神居ないと出来ないようなものだから。



舞終わり、炎がぱっと消えた。


天光琳は力強く拍手をした。



「かっこよかったですっ!!!」



天光琳は立ち上がり、飛び跳ねながら言った。



「それは良かった!」


「同じ舞でも、国によって全然違うんですね......!」


「そうみたいだな」



桜雲天国はどっちかと言うと、美しくゆっくりとした舞が多い。しかし、燦爛鳳条国はかっこよく激しい舞が多いのだ。



二神は扇子を腰にさした。

休憩...というのに、三神は体力を消費してしまった。

まだ休んだほうが良いだろう。


三神はしばらく座って話をしたあと、疲れが取れ、また先を進むことにした。




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