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鬼使神差  作者: あまちゃ
-光- 第四章 玲瓏美国
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第六十七話 玲瓏美国の街

「うわぁ〜〜!すごいすごい!!」



天光琳は小さい子供のように飛び跳ねた。

街は祭りのため、花見会の時のように飾り付けがされており、綺麗だった。


桜雲天国では、屋台が並んでいたが、玲瓏美国には屋台がなかった。


その代わり小さなお店がたくさん並んでいる。


中にテーブルと椅子が用意されているところもあれば、カウンターから商品を販売する店があったり、様々だ。



「やっぱり美国は美しいなぁ」


「そうね。天国は自然を大切にし、美国は美しさを大切にする......国の違いって、本当に面白いわね」



それを聞いた瞬間、天光琳は他の国もどんな感じなのか気になってきた。

玲瓏美国は桜雲天国と近いため、大きく違う...という訳では無い。


しかし蒼海アジュール国や他の離れている国はどのようなところなのだろう。


そう考えていると、天俊熙がある店の前で立ち止まった。



「どうしたの?」


「いや......他国の酒ってどんな感じなんだろうなーって」



天俊熙が引っかかった店は酒屋だった。

外見は人間界で例えると、酒屋というより喫茶店っぽい見た目をしている。

とてもオシャレな建物だ。



「ここの酒は美味しいよ」


「ほー!それは気になります!」



天俊熙は目を輝かせた。



「そうなんですね、行ってみる?」


「いいんですか!?」



天麗華がそう言うと、天俊熙は嬉しそうに喜んだ。

店の中に入ると、店の人が元気よく挨拶をしてくれた。



「いらっしゃいませー!!おぉ!朝阳様と......天国の神々様ですね!」



店長だろうか。店員は一神しかいなかった。

桜雲天国の店長はラフな格好で、雑っぽいところがあったのだが、玲瓏美国の店員はきちんとした服を着て、オシャレまでしている。


一瞬、酒屋に来たのか...?と疑ってしまうほどきちんとしている。


酒を飲みに来ている神々も、姿勢よく、誰一神だらしない神がおらず、まるでコーヒーを飲んでいるかのように見える。


桜雲天国も酒場は酔っているだらしない神は居ないのだが、皆パーティかのように楽しくお話をして楽しんでいる。


それに比べて玲瓏美国の酒場は、大人しい。

天俊熙にはこの空間は嫌いでは無いが馴染めないだろう。



「酒場ってこんなに静かなものだっけ......」


「天国の酒場は賑やかだよね。私はこれが当たり前だと思っていたから......前天国に行った時はびっくりしたな。でも私的には天国の酒場の雰囲気の方が素敵だと思うよ」



美朝阳は大人しい性格だが、賑やかなのが好きなのだろう。

この静かで優雅な酒場は悪い訳では無いが、酒場ならもう少し賑やかの方が良い。


玲瓏美国の神々にとって、これが普通ということが天俊熙には理解出来なかった。



✿❀✿❀✿



四神はしばらく酒場で飲みながら話した。



「さて、そろそろ別のところに行こうか」



美朝阳がそう言うと、三神は頷き立ち上がった。

四神は酒場を出たあと、再び玲瓏美国の街を歩き回った。


クリームたっぷりのクレープやタコス、コロッケなど、色々なものを買い、食べ歩きを楽しんでいる。


神界は人間界の食べものばかりのため、玲瓏美国でしか売っていない食べ物...というのは特になかったのだが、見た目や味付けが少し違っていて、どれを食べても楽しめる。



「んん〜っ!美味しい〜」


「はは、光琳くんと俊熙くんはよく食べるね。まだ食べれるの?」


「食べすぎてない?」



もう食べられない美朝阳と天麗華は、まだ食べられるのかと不安になりながら二神に聞いた。

しかし二神はまだ余裕そうだ。


天光琳は街の食べ物を全て食べてみたい.....しかし、全て食べるのにはさすがに厳しい為、気になる食べ物だけ全て食べてみよう...そう思っている。

そのため、まだ食べるつもりだそう。


天俊熙もそのつもりだ。



しばらく食べ歩きをしたあと、満腹になった二神は食べるのはもうやめた。



「いや〜、他国の食べ物は少し違くて面白かったな〜」


「ね〜!明日もまた食べに来たい!」



二神がそう言うと、天麗華と美朝阳はクスクスと笑った。



「二神とも食べてばかりじゃない」


「まぁ楽しそうでなによりだ」



へへっと二神は照れ笑いした。

そうだ。食べてばかりだったと天光琳は気づき、辺りを見渡した。


周りにはアクセサリーや洋服、小物などが売っているお店もあった。


食べ物ばかりで目に入っていなかったのだ。


天光琳は苦笑いした。



「私、あそこの簪専門店に行ってみたいの......良いかしら?」



天麗華は斜め右にある、外見が和風な建物の店を指さした。


"簪"と大きく書かれた看板の横に、赤いボタン柄の番傘が飾られている。


外から少し中の様子が見られるのだが、遠くから見ても簪の飾りがキラキラと輝いていて、美しい。


天光琳も興味を引かれ、行ってみたくなった。



「僕も行ってみたいです!」


「じゃあ行こうか」



四神は簪の店へ使った。



扉を開けると、カランカランと扉に飾られている飾りが音を鳴らしながら揺れた。


店の中は美しい簪が沢山並んでいた。

また、簪だけではなく、櫛や手鏡、小町紅なども少しだけ売られている。



「いらっしゃいませー!あらあら!美朝阳様と...天国の方達じゃないですか!」


「ゆっくりしていってくださいね」


少し太った体型で着物を着た女神と、女性より身長が高い、若い着物を着た男髪が出てきた。


親子で店をやっているのだろうか。とても仲が良さそうだ。



右側は男神用、左側は女神用と分けられている。


男三神は若い男神に右側に案内され、天麗華は太った体型の女神に左側に案内された。



男神用もどれも美しかった。



「わぁ!これ綺麗!あ、これもこれも!」



天光琳は四本の簪を手に取った。

どれにしようか迷っていると、男神が天光琳の側まできた。



「つけてみますか?」


「おー!じゃあ、お願いします!」



どうやら男神がつけてくれるそうだ。

天光琳は髪飾りを外し、髪の毛を解いた。

簪をつけたことがない天光琳は、簪の付け方が分からなかった。


男髪は慣れた手つきでサッと天光琳の髪に簪を付けた。


一つ目、二つ目、三つ目......最後にもう一つ。



「どう?これは似合う?」


「おー、似合う似合う!」


「これは光琳くんにピッタリなデザインだね、一番良いと思うよ」



鏡を渡され、天光琳は自分に似合うかどうか確かめた。

おかしくはない。



「じゃあこれにしよー!」



天光琳はこの簪が気に入り、買うことにした。


他の簪も気になるため、先程付けてもらった簪はそのまま付けておいて良いということなので、そのままにし、後でまとめてお金を払う。


歩く度、鬼灯の飾りがシャラシャラと音を鳴らし、光に反射してキラキラと輝く。



「俺も何か買おうかなぁ」



最初は簪に興味無さそうな天俊熙だったが、天光琳が付けてみて、嬉しそうにしていたため、気になってきた。


天俊熙はそう言って簪を選び始めた。



「俊熙ならこれが似合うと思う!」


「私も思った」



二神にオススメされたのは、龍の簪だ。

銀色に輝く龍に、赤色の宝石が付いている。

天俊熙は赤色の服をよく着ているため、赤色は天俊熙らしい。


そして、天光琳のようにオシャレなものより、かっこいいものの方が似合うだろう。


天俊熙はその感じを手に取り、男神に付けてもらった。



「すごくお似合いですよ」


「そう?...んー、よくわかんないや」



男神にも合うと言われたが、オシャレに興味無い天俊熙にはよく分からなかった。



「似合ってる似合ってる!!」


「いいね」


「じゃあ買おうかな!」



天俊熙はこの龍の簪を買うことにした。


美朝阳はよくここの簪屋で買い物をしているらしく、簪は既に何本も持っているそうなので、今回は買わないそうだ。


天光琳はあと二本別の簪も買うそうで、二本は箱に入れてもらい、一つはそのまま付けておくことにした。


天俊熙は今までつけていた髪飾りの方が重く、邪魔になるため、簪は解き、箱に入れてもらうことにした。



(あ、姉上はどうだろう...)



天光琳は棚があって、天麗華達が見えなかったため、背伸びをした。


天麗華はまだ悩んでいる様子だったため、天光琳たちは天麗華の方へ行った。



「あら、もう決まった?」


「「はい!」」



天麗華の手には沢山の簪があった。



「あ、もしかして、これは母上たちのお土産ですか?」


「えぇ、そうよ」



天麗華は自分用の簪も持っていたが、ほとんどはお土産用だった。

女性用なら、天万姫、天語汐、天李偉、天李静用だろう。


天光琳たちはお土産のことを忘れていた。



「父上はあまり簪をつけないし、別のものがいいかもしれないわ」


「何がいいんだろう...」



確かに天宇軒は普段冠をつけている。(一般的な王様が付ける金色の冠ではなく、古代中国で使われていたような冠。冕冠ではない。)


王は国で決められた冠を付けなければいけないため、簪なんて渡しても使えないだろう。



「なら扇子はどうでしょう!」


「おぉ!いいかも!」


「うん、いいと思うわ!」



扇子は舞で使う大きなものでは無く、普段使うものだ。

扇子なら使っているところをよく見る。


そのため、扇子なら良いかもしれない。



「私の友達が隣の扇子専門店で働いています。綺麗な扇子ばかりなので是非行ってみてください!」



なんと隣の店が扇子屋だったとは。

三神は頷いた。


天麗華は簪を決め、女神に渡して箱に入れてもらった。

そして会計を済ませたあと、店を出て、隣の扇子屋に行った。


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