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鬼使神差  作者: あまちゃ
-光- 第九章 鬼神と無能神様
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第百二十六話 二週間も

「俊熙!そろそろ休みなさい!このままでは倒れてしまうわ!」


「離してくれっ!」



天俊熙は天語汐に腕を掴まれ止められたのだが、天俊熙はその手を払った。



「光琳はもう二週間も帰ってきてないんですよ!?そんなんで休めますか......」


「けど!貴方は二週間ろくに休んでいないじゃない!寝ずにずっと探し回って......そろそろ危ないわ」


「でも時間が無いんです!」


天語汐は必死でとめた。

時間が無いとは......どういうことだろうか。

天俊熙の目元にはクマができている。いつ倒れてもおかしくない状態だ。

天俊熙だけでは無い。天麗華......そして天宇軒もだ。


天麗華も天俊熙と同じでろくに休んでいない。

ずっと天光琳を探し回っている。


天宇軒は......天宇軒も探し回っているのだ。

天光琳のことを嫌っていたのでは無いのだろうか。



「ダメです、見つかりません!」


「目撃情報すらありません......もう死んだんじゃ......」



「ダメだ!もっと探せ、もっとだっ!」



天宇軒はフラフラになりながらも強く怒鳴った。

護衛神は慌てて捜索に戻る。



「貴方......休みなさい...」


「そうですよ兄上!」


「宇軒様......」



天万姫、天浩然、波浪が止めても聞かなかった。

天宇軒は焦りの表情を浮かべている。


二週間経っても帰ってこない......そもそも、二週間経っても目撃情報が無いとは......嫌な予感しかしない。

他国へ行っているなら良いが、天光琳は神の力が使えないため、一神では他国へ行けない。


また、既に他国へ天光琳がいなくなったと連絡は行っているのだが、目撃情報はかえってこない。


そのため、桜雲天国ではある噂が広まっていた。


"天宇軒が殺したのではないか?"


皆天宇軒が殺すような神ではないとわかっている。しかし天宇軒は天光琳を嫌っているように見える。そして国の評価を下げている。


いくら探しても見つからないなら、誰かが殺したのを隠しているのかもしれない。

......となると、星連杰の時のように天宇軒も隠しているかもしれない......という噂が広まったのだ。


当然、天宇軒は殺していない。

むしろ探しているのだ。



「......俊熙、麗華。話がある。来い」



突然天宇軒は二神を呼んだ。

すると天麗華と天宇軒は目を合わせた。



「話すのね」


「あぁ」



天麗華は何を話すのか分かっているようだ。

天俊熙は分からなかったため、黙ってついて行くことにした。






三神は天宇軒の部屋に来た。あとから着いてきた波浪は外で見張りをしている。

天俊熙はそんなに大切な話なのかと緊張してきた。



「俊熙。俺には他神(たにん)の隠していることが分かる能力がある」


「え......?」



その能力は珍しいものだ。

恐らく神界でその能力を持っている神は二、三神ぐらいしか居ないだろう。

その能力は使う回数に何故か制限があり、数一年に一度しか使えないらしい。二日連続で使おうとしたら、途中で力が途切れてしまったそうだ。

......ということは誰に使ったのだろうか。



「俺は万姫に使った」


「万姫様に......!?」



天俊熙は驚いた。まさか自分の嫁だというのに何か疑っているのだろうか。......もしかして......。



「光琳の......力のことで疑っていたのですか......?」


「そうだ。......そういえば麗華から聞いているんだったな」



天俊熙は頷いた。


実は、天麗華と天俊熙がよく話していたのは天光琳の神の力のことについて話していたのだ。

天麗華は全て話した。

自分は偽り奇跡の神なのだと。本当は自分は奇跡の神ではなく、この力は天光琳のものなのだと......。


そして、この反応だと、天宇軒も知っているのだろう。



「そして、次に君にも使った。すまない。君のあの能力について全て知っている」


「そうなんですね、それなら話が早いです」



天宇軒は申し訳なさそうに謝ったが、天俊熙はむしろ知っていた方がありがたいと思っているため、気にしていない。

天俊熙の"能力"とは......天光琳に教えなかったあの"能力"だ。



「早く光琳を見つけなければ......」



「「「世界は滅びる」」」



三神は声を揃えてそう言った。



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