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4話 幼馴染

今回はマルクスとナナイのお話しです

マルクスとナナイは場所を移し、4階建ての館の1階にある応接室へと移った


向かい合うように椅子に座るとマルクスが尋ねた


「覚えていないって、どーゆー事?」


ナナイは困った顔をしながら


「聞いた事はあるけど、私も初めて診るのよ

酷い精神的なショックを受けたり頭を強打したりすると、稀に記憶がなくなる事があるらしいの」

「彼はどっちだ?

 斬り付けられたショックか?馬車に轢かれた時の衝撃か?」


そんなのわかる訳ない

ナナイはこの質問は無視した


「大抵は時間が経つと落ち着いてきて思い出したりするそうよ」

「じゃあ、しばらく様子見か?

 彼に犯人像が聞けると思ってたのにな」


メイドが部屋に入ってきて、ナナイから言われたお茶とお菓子を持ってきた

メイドの娘はテキパキとテーブルにそれらを並べる


「楽しようとしないで自分で探しなさい」

ナナイは煎れたてのお茶を飲みながらジト目でマルクスを見た


マルクスもお茶に手を伸ばし

「あんな所だぞ?目撃情報すらないんだ

せめてあの子の名前でもわかれば捜査も進むのになー」

「それもあなたの仕事でしょ」

「簡単に言うなよ」


部屋の隅ではお茶を運んで来たメイドが2人のやり取りを見ている

その隣にはマルクスの補佐官がメイドからもらったお茶をソーサーごと持ってメイドと並んでそれぞれの主を見ていた


「微笑ましいですね」

メイドがニッコリしながら補佐官のフィスタル卿に話し掛けた

「そうですね

 結婚すればよろしいのに」


するとマルクスとナナイが同時に反応した

「そこっ!無責任な事いうな!!」

「そうよ!結婚なんてしないわよ!!」


マルクスとナナイは幼馴染だ

お互いの父親が若い頃にアカデミーで知り合い、気が合ったのか卒業後も交流を続けていた


やがてナナイの父親、サウルべージェフ・フィリックス・アルペルト・ロナ・オーデリック伯爵が結婚した


余談だが、この国の貴族は無駄に名前が長い

マルクスやナナイは愛称で、ナナイの名前はナルナーディ・カローニャ・ウェルローラ・オーデリック

マルクスはマーデルクス・ユーリ・サルバトーレティ・ジェファソンだ


そしてナナイの父の結婚から1年後、ナナイの母親の従姉妹がマルクスの父、オスティナート・ミュゼ・クリス・スタイゼ・ジェファソン侯爵と結婚した


ナナイは姉・兄・妹の4人兄妹で、マルクスは兄が1人いる

そしてこの兄達がまたアカデミーの同期であり友人だ

更にマルクスとナナイもアカデミーの同期だ

くされ縁もここまで繋がると、もうほとんど家族だ

母親が従姉妹同士なのだから親戚ではあるが…


マルクスはアカデミー卒業後は騎士の道へ、ナナイは両親を説得して更に医学を学ぶため王立の医療学校へ進んだ


だが一度絡まったくされ縁は切ることが出来ないのか、マルクスとナナイは騎士と医師として今回のようによく顔を合わす事になる


ナナイは医学を学び、卒業後は師である医師の助手として忙しく働いているうちに、貴族の令嬢としては信じられないくらい行き遅れとなってしまった

ナナイの兄妹は皆、結婚しているがナナイ自身は結婚して家庭に入る気は更々ないので全く気にしていない


逆にマルクスは婚約者もいて、さあ結婚という時に婚約者が病にかかり、1年ちかく闘病したが還らぬ人となってしまった


結婚はしていなくも婚約者が亡くなったのでマルクスは1年間喪に服し、明けてからは騎士の昇級試験など忙しい日々を過ごしていたら、こちらも気がつけば婚期を逃していた


マルクスの補佐官フィスタルは結婚したいが、上官を差し置いて結婚する事が忍びなく、このままでは自分も婚期を逃してしまうなと常々思っていた


なのでマルクスとナナイが結婚してくれればいいのだが、この様子を見るとムリっぽい

猫舌のフィスタルは顔に笑顔を貼り付けたまま絶望的な気分を紛らわそうと冷めたお茶をようやく飲み始めた



次回から本編に戻ります(。◕‿◕。)

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