表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
反逆の心臓  作者: だいふく丸
10/41

第2話【1】

 東洋の島国、大和合衆国は八百万の神々が住むという自然豊かな海洋国家だ。


 この国の転換点は五年ほど続いた内戦、一世紀ほど前に勃発した江戸幕府に対する《大和革命》だろう。殿様政治に不満を持つ新政府軍と、殿様率いる江戸幕府軍による戦乱だ。


 大規模な内戦に勝利した新政府軍は、それまでの徳光御三家による君主主義から議会制民主主義に移行する。国土を、東京を首都とする都道府県に分け、国政を主導する《大和議会》と国体を継承する《大和朝廷》が国の根幹を担い、大和国から《大和合衆国》という新たな国家体制となった。




 大和合衆国における独自の文化は大和昔話から学ぶことが多い。


 代表的な昔話、『三太郎伝説さんたろうでんせつ』は国の成り立ちを知る上で重要な教養となる。話のモチーフとなった、今日までの大和朝廷を支える桃ノ宮、桜ノ宮、梅ノ宮の三ノ宮が龍神様を退治しなければ、大和列島は不死山の噴火に伴い、大海に沈んだと言われるからだ。


 龍神様は七つの美徳と大罪を残したとされ、今でも大事に神社で龍鏡として祀られている。




 英雄となった三ノ宮の絆は桃、桜、梅の花びらをかたどった国家紋章、三花紋でもわかる。とくに大和朝廷の長天守様は代々三ノ宮の子女、姫様から選ばれる。


 天守様は東京都の花の都こと江戸特区内、大和江戸城をその居城とする。都道府県の各城とともに国宝とされ、大和江戸城は観光名所にもなっている。


 大和朝廷はもうじき千年を迎え、大和合衆国は建国百年になろうとしている。


 四年後には国際スポーツの祭典が開催予定だ。




 千年にもわたる大和史を語る上で忘れてはならないのが、霊能力者の存在だ。


 これは人間を語ることにもなるが、人間は肉体と霊体で構成され、肉体と霊体をつなぐ接着剤として霊魂があると考えられてきた。誰でも肉体は見えるが、霊体が見えるのは生まれつき心臓が右側にある、《逆位の心臓》という特異体質者だ。


 もっとも、昔から目の性質に違いがあるとされ、霊能力者は肉眼とは異なる霊眼を持つ。この霊眼はその人間が背負う美徳や大罪によって眼の虹彩が変化する。


 霊眼は霊の世界、霊界を映す。霊界には民間人が知るところの心霊がおり、霊能力者は人界の心霊、善霊や悪霊と交流できる。


 各地域に存在する神社は心霊の拠り所で、神社に住むカミという精霊が霊能力者と連携しながら地域の心霊を見守っている。なお、心霊現象の主な原因は動物の心霊が起こす人間への悪戯が多い。


 霊能力者は、諸外国では魔力や魔術と称される霊力を扱えるため、とくに軍事面で重宝された。江戸時代以前、戦国時代ではサムライやニンジャ、ソウリョなど武装勢力が霊力を武力発展させ、戦場で数多くの戦果をあげてきた。


 だが、大和革命以後、新政府はそうした霊力を扱える人間をまとめて《霊道士》と呼び、霊道士と神社を管理する組織護神庁を設立した。




 霊道士になるためには国家資格に合格しなければならない。義務教育後、養成機関霊道院を卒業し、三月の霊道士国家試験に合格することが一般的だ。


 ただ近年の霊道院は社会人枠を導入し、多種多様な人材を輩出している。


 護神庁は主に心霊事案と各種祭事を取り仕切る。護神庁に所属する霊道士は国家霊道士および護神隊員と呼び、さまざまな部署に分かれて事案を担当する。


 悪徳霊道士や悪霊による心霊事件、民間人からの心霊相談を解決する部署が《心霊保安部》だ。彼ら《心霊保安官》は神社を拠点に地域社会の心霊保護活動を行う。


 地域の治安を守る警察官と対をなす重要な職務であり、警察は濃紺の制服に対し、心霊保安官は濃緑の制服を着用する。


 ただ、心霊保安官も人間だ。魔が差して心霊が悪に染まることがある。その場合、慰霊をすれば悪霊が善霊に戻るので問題はない。しかしながら、逆位の心臓を持つ霊能力者は人間の心臓を食べるか神社のカミを殺すことで、霊魂が大罪を背負ってしまい、さらなる凶悪な犯罪を起こす。


 護神庁はその大罪を背負った者を死神と呼び、その死神と戦う部署を《心霊公安部》、その部署の隊員を《心霊公安官》と呼ぶ。


 彼らが着る制服の色、灰色は善霊がたやすく悪霊になる心霊の脆さを示す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ