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第6話 デビルスレイヤー

 まるで、極東の街に伝わる伝説の鬼、アシュラを彷彿とさせるような戦いぶりだった。そのあまりの迫力に、先に出て行ったシロウさんとアオヤ君も立ち止まっている。



「シロウさん、あれマジでやばくねっすか?あの女、完全に瞳孔開いちゃってますよ」

「すっげえなぁ。でも、段々押され始めてる。ありゃ、流石に負けるな」



 見ると、彼女は両手で魔法の杖をフルスイングして、カカリチョーの腹を思い切りぶっ叩いている。しかし、勢いに乗って二発目を見舞おうとしたその時、カカリチョーはその攻撃を受け止めて、彼女を鷲掴みにすると目からビームを放ち、その頭蓋を貫こうとした。



「助けるぜ、お嬢ちゃん」



 瞬間、シロウさんは飛び立ち、彼女を掴む腕に向けて思い切りホーリーセイバーを振り下ろした。



「やっぱ、アクセサリーの分火力落ちてんなぁ」



 彼の言う通り、この前までの攻撃であればカカリチョーの腕くらい切り落としていた事だろう。しかし、今はそんな事を気にしている場合ではない。

 腕を切り裂かれて、僅かに視線のズレたカカリチョーのビームは天井を穿ち、少女を地面に落とす。それをキャッチすると、シロウさんは体を支えたまま、アオヤ君と俺に目配せをした。



「アオヤ、レッスン1だ。前衛は、敵のヘイトを集めるべし」

「ヘイト?」

「注意と言い換えてもいい。俺がキータのところに下がるまで、カカリチョーを自分に注目させるんだ。方法は、任せるぜ」



 言いながら拳を構え、彼は迫る悪魔の鉄槌を、スキル『ウィンドフィスト』で迎え撃った。ウィンドフィストは、ダメージがほとんどないが、当てた敵を吹き飛ばして陣形をかく乱する事が出来るレベル2のスキルだ。もちろん、普通は攻撃を相殺する為に使う人はいない。



「了解っす。やりますよ~」



 シロウさんはアオヤ君とポジションを入れ替えると、ホーリーランスをカカリチョーへ向けて独特なステップを踏んだ。



「スキル、『バレッドストライク』」



 呟き、強く地面を踏むと、アオヤ君は下から突き上げるようにカカリチョーの顎へ攻撃を放った。バレッドストライクは、レベル3の中では最強の攻撃力を持つスキルだ。



「へぇ、やるなぁ。キータ、このお嬢ちゃん頼むわ」

「わ、分かりました。ライケア」



 言い淀んだのは、彼女が傷だらけになりながらもうわ言の様に「コロス」と呟いているからだ。ちょっと、殺意が高すぎて恐いんですけど。



「シロウさん!タンクって、これで合ってますか!?というか、そろそろ無理っす!」



 助けに向かったシロウさんに、アオヤ君は何度か攻撃を受けながらも確認をする。離脱から合流までは約20秒。彼は、初心者ながらその間、フロアマスターの攻撃を一人で受け切ったのだ。



「よくやった、上等だ。こりゃ、ボーナス出さねえとな」

「あなたも、あんまりお金持ってないでしょ」



 なんて言ってる場合ではない。そろそろ傷も癒えてきたから、俺も攻撃に参加しなければ。



「コ……、コロス。ブッ殺す!ぶっ殺す!ブッッっ殺すゥ!」



 目を離した瞬間、少女は再び雄たけびを上げて傍らの杖を掴み、全速力でカカリチョーの元へ駆けて行った。



「な……っ。ふ、フェザブレイブ!」



 余りの剣幕に、アオヤ君に掛けようとしていたバフを、咄嗟に彼女に掛けてしまった。



「おっと、アオヤ。危ねえからこっちおいで」



 言って、シロウさんはホーリーランスを構えたアオヤ君を引き寄せると、肩を担いで持ち上げてから戦線を離脱した。



「ぅウェル……フレアッ!」



 轟音。燃え盛る炎が彼女の周囲を渦巻いたかと思うと、それを纏うようにカカリチョーの元へと接近。そして、アオヤ君にヘイトを向けていたカカリチョーは一瞬だけ反応が遅れて、迫る彼女の姿に気が付かなかった!



「くたばれェェェェェッ!!」



 杖をつき出し、ピンク色の髪を火の粉に焦がしながら、炎は津波のようにカカリチョーを飲み込んだ。身を焦がされる苦しさに悶える悪魔を、彼女は更に飛び掛かって追撃。燃えたままの体に飛び乗って、杖で顔面をボッコボコに殴りつけていた。



「返せ、お父さんとお母さんを返せッ!返せオラァッ!」

「もうよせ」



 言って、シロウさんは彼女をカカリチョーの体から引きずり下ろすと、燃えるからだはそのまま地面に突っ伏した。そして、俺のかけたバフが切れたのだろう。少女は、糸の切れた操り人形のようにシロウさんに体を預けると、気を失ってしまった。



「なぁ、キータ」

「……はい、何でしょうか」

「こいつ、ひょっとして適合者だったりしねぇかな」

「まさかぁ。そんな偶然ありますかね?」



 いや、流石にないでしょ。



 × × ×



 あった。



 町へ戻ったシロウさんは、目を覚ました彼女にホーリーロッドに触れるよう頼んだ。すると、彼女は当然のようにホーリーロッドを持ち上げて、「なんですか?これ」と呟いたのだ。



「ホーリーロッド、退魔の力を宿した宝具だ。お嬢ちゃんには、それを扱う才能がある。俺らと一緒に、魔王倒さねぇか?」

「やります。絶対やります。私、あいつ本気で殺したいんで。地獄に叩き落とさないと気が済まないんで」



 その地獄に、魔王が住んでると言われてるんだけどね。


「面白かった!」


「この後どうなるんだ?」


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[一言] ピンク髪の悪魔さんは、相変わらずぶちぎれているなあ。良くこれを調教したものだ。 カカリチョー。悪魔世界も魔事評価とかあって、だんだんと出世するんだろうか。
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