第13話 追放した回復術師が、ハーレムを連れて「ざまぁ」と言いに来た①
× × ×
「それで、一体いくらもらったんですか?」
「40万ゴールドだ。一人頭10万だな」
「結構シケてますね。あいつ、稀代の呪術師じゃなかったんですか?」
「まぁ、そんだけ高額の賞金が掛かってれば、先に冒険者が倒してるしな。所詮、生き残るのが上手かっただけの小悪党だよ」
「なるほど、そう言う事ですか」
言って、シロウさんは役所から出てくるなり、1万ゴールド紙幣が10枚入った封筒を俺たちに渡した。
「やったぁ!キータさん、今日は肉食いましょうよ~」
「そうだね。シロウさんとモモコちゃんも、一緒にどうですか?この先に、美味しいステーキ屋があるみたいなんです」
こうして誘わないと、仕事の話が無い限り、シロウさんは「俺が居ると楽しくないだろ」などと訳の分からないことを言って、勝手に気を使って一人でどこかへ行ってしまうのだ。
「私は、シロウさんが行くなら行きます」
「なら、ここまで結構長かったし、久しぶりにうまいモン食べるか」
「当たり前じゃないですか。シロウさん、またどっか行くつもりだったんすか~?」
そうと決まれば、話は早い。目星を付けてあるステーキハウス、『フルハウス』へ向かおう。
「僕、三枚くらい食べよっかな~」
ウキウキで妄想を膨らませているアオヤ君を見ていると、俺も必要以上に楽しみになってきてしまった。この子、こんなハツラツとした顔をする時もあるんだな。
そう思った時、俺たちとすれ違った冒険者パーティーの一人が。
「きゃ……っ!」
後ろを歩いていたシロウさんに、ぶつかってしまったようだ。少し走っていたようだから、少女の方から当たってしまったのだろう。
「悪いな、嬢ちゃん。大丈夫か」
振り返ると、彼は手を差し伸べていた。しかし、転んだのはモモコちゃんくらいの歳の少女であったらしく、シロウさんの見た目に随分と怯え震えてしまっていた。
「おい、あんた。俺の仲間に何をしてるんだよ」
声の聞こえた方を見ると、後を追っかけて来た黒いマントのようなローブを羽織った男が、シロウさんを睨みつけるように見上げていた。
「体、当てちまってな」
「本当にそれだけか?随分と怯えているようだが」
まぁ、客観的に見ればそうなるよなぁ。
「く、クロウ様……」
少女は、未だ立ち上がらずにそう呟いた。しかし、いくら何でもビビりすぎじゃないですかね。
「彼女は、男性恐怖症なんだ。だから、早くそこをどいてくれ」
「なんだあんた、随分態度悪いな」
言って、シロウさんはそこを退くと、俺たちの方へ歩いてきた。
……ん。今、どこかで聞いた名前が呼ばれたような。
「……待て、お前」
「あぁ?どっか行けっつったり、待てっつったり、なんなんだよ」
「お前、ひょっとしてシロウか?」
「そうだけど、お前俺の知り合いか?」
「シロウさん、彼クロウですよ。ほら、後ろに居るのはアカネです」
「ん……。おっ、言われてみれば確かに。全然雰囲気違うから、気づかなかったぜ。元気だったか?随分、髪伸びたな」
「ふん、やっと気づいたか」
なんか、話しかけてきた割りには全然口を開かないな。どうしたんだろうか。
「アカネも一緒だったか」
「お、お久しぶりです」
「おっす。そんじゃ、元気でな」
「いや、ちょっと待てよ!」
急に大声を上げたからか、モモコちゃんがクロウの顔を顔を睨んだ。
「キータさん、こいつ誰すか?僕、早く肉食いたいんですけど」
「回復術師のクロウ。前にうちのパーティにいたメンバーで、モモコちゃんより強いよ」
「マジすか。そんなやべえ奴に絡まれてるって、結構ピンチじゃないですか?」
「……どうだろうね」
クロウの表情は、どうしてか俺には、少し幼く見えた。
「どうした?」
「この子たちを見ろ。俺は新しいパーティを作ったんだ」
「見りゃわかるよ、よかったじゃん」
後ろには、アカネの他に、獣の耳を生やした少女、やたら巨乳の美女がいる。
「これを見て、何とも思わないのか?」
「あぁ、よかったなって思うよ」
「だったら、何故俺をクビにしたんだ?俺は、お前の言った事が間違っていると証明しただろう?」
「……どういう意味だ?」
その口調に、アカネを含めた女性陣が少し肩を震わせた。別に、今のは怒ってる言い方じゃないんだけどね。
「だから、理由を聞かせろと言っているんだ」
「お前、そんなに聞きてえのか?もう終わった事だし、お前も新しい場所で元気にやってるじゃねえか」
「俺にとっては、まだ終わってないんだよ」
そんなに、根に持ってたのか。
「……ふぅ。お前さん、俺の言うこと聞く気、全然なかったろ?」
「俺の方が、強いからな」
「そうすっとな、死ぬんだよ、俺らが」
「は?」
「だからさ、たしかにお前はクッソ強いだろうけど、勝手されると死ぬのよ。俺らみてえなパンピーはさ。単純に、バトルの頭数減っちまう訳だからな」
「シロウさんって、言うほどパンピーすか?」
「アオヤ君、しっ」
アオヤ君の口を閉じたが、そのせいでもう一方のイラついている影に気が付かなかった。
「ふざけるな!だったら、あの時に説明すればよかっただろ!あんな恥をかかされて、こっちはどれだけ辛い思いをしたと思ってる!」
「ガルルルル……」
「あっ、いけないっ!」
そう思った時には、もう遅かった!何故なら、モモコちゃんは既に飛び上がっていて、拳を引いて構え、クロウに向けてそのまま勢いよく振り下ろしたからだ!
「面白かった!」
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