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33話 ホテル・セントベル

「ここが玄関ホール」

「わぁ!」

「あっ、待って!」


 僕が止めるのも間に合わず、カラが入り口のガラスにぶつかって転げた。


「??? なにこれ。透明な板がある」

「うん、僕の国でも考えられないくらい丈夫で大きなガラスだ」


 僕はそこにあった板にペンダントをかざした。

 するとガーッと音がしてガラスが左右に開く。


「これで中に入れるよ」


 鍵ってこういう意味だったんだな。と僕は思った。

 はじめこのペンダントを修復した時に、出てきた『鍵』という機能が意味分からなかった。


「さあ、中にどうぞ」


 中に入ると、また扉がある。


「ここをこう押して……」


 開いた先にある部屋にはなにもない。首を傾げるみんなをそこに押し込めてボタンを押した。


「階段の代わりにこの部屋が上下して僕らを運んでくれるんだ」

「へぇ……楽ちんですね」

「ラリサさんならいつでも俺が抱いてどこにでも運びます!」

「こら! ヴィオ! しっしっ」


 俺はずうずうしいヴィオを犬の子のように追い払いながら二階に向かった。


「ここは居住棟だって。このドアの一つ一つが部屋になってるんだ」

「あっ、本当だ」


 がちゃりとカラがドアを開けて、中に入っていく。


「わぁ! 海が見える!」

「ここの部屋全部海が見えるようになってるよ」

「きれいですね」


 ラリサはこれまた大きなガラスの嵌まった窓を開けた。

 海風がふわっとラリサの真っ赤な髪を揺らしていった。


 ああ、そうだ。みんなに是非見せたいものがあったんだ。

 僕は部屋の隅にある大人の身長よりもっとある箱の前にある扉を開けた。

 中は床にタイル、壁からはじょうろの先のようなものが突きだしている。


「貯水槽が空だから今は水が出ないけれど、ほらここから水が出て体を流せるんだ。すごいだろ」

「便利だなぁ! 川までいかなくていいんだ」


 カラは興味深げにハンドルを回したりしている。

 女の子だからやっぱ身だしなみ関係は気になるみたいだ。


「わー、ベッドもふわふわ!」


 めざとくカラがベッドに目を付けた。


「面白いよね。ワラじゃなくて下にバネが入ってるんだ」

「へー! たのしい!」

「カラ、遊ぶところじゃないですよ」

「はぁい」


 あーあ。あんまりはしゃぐのでラリサに怒られてしまった。


「こういう部屋がずらっと並んでる」

「へぇ」

「じゃあ上行くよ」

「えっまだあるのか、アレン!?」

「うん」


 くるくると表情の変わるカラの顔がおかしくて、僕はクスクス笑いながら動く部屋にまた入って三階に向かった。


「あれ? 扉が少ない」

「そう、こっちは一個一個の部屋が広いんだ」


 僕はドアを開けた。その向こうは広々とした応接間。それから寝室に、体が伸ばせる浴室もある。


「アレン様、この建物をどうするつもりですか?」

「ここもホテルにしようと思う。セントベルの自然をたっぷり感じたい人は下の集落風の宿に泊まって、貴族や商人はこっちかな……って考えてるよ」

「なるほどいいですね……あとはお客がくれば、ですが」

「うん、それも手を打っているよ」


 ただ、本当にか細い糸みたいな手だけどねぇ……どうなることやら。


「さて! 難儀していたのはこれだけじゃない。もう一度一階に戻るよ」

「まだなにかあるのか?」


 僕達は一階に戻ると、動く部屋を出てその横の小さな扉を開いた。


「ここから先はここで働く人達のエリアだったみたいだね」

「あそこは厨房でしょうか、お館様」

「「そうです。ラリサ様」」

「へぇ!?」


 マリーの声……正確にはマリーにそっくりな声が聞こえた。

 そこにはマリーと髪型だけ違うからくり人形が二体いる。


「こんにちは、マスター。ファミリーの皆様。私はエリーです」

「ごきげんよう、私はケリーです」


 お団子頭の方がエリーと、三つ編みの方がケリーと名乗った。


「私達は居住エリア担当の家政用ロボットです」


 するとつかつかとマリーがその二体に近づいた。


「シスター、私は管理棟担当の家政用ロボットです。会えてうれしい」

「「私達もです」」


 彼女らにも喜怒哀楽の感情らしきものはあるみたいだ。

 今までになく楽しそうに、三人でゆらゆらと揺れている。


「さって、厨房はあとで見るとして、見せたいのはこっち!」


 僕はセドリックとラリサの手を引っ張って、ぐいぐいと奥に進んだ。


「アレン様! どうしたんですか」

「これみて!」


 僕は建物の最奥にたどり着いた。


「……これは」

「これをみんなに見て貰いたかったんだ」


 それは、奇妙な金属製の巨大な卵のようなものだった。


「な、なんなんですこれ……」


 見あげるほど大きいそれを、セドリックは見つめてごくりとつばを飲み込んだ。


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