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ストレンジ体験記  作者: 藤阪つづみ
第1章 近所のおかしな子
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2 ルリとあかり

 ことの始まりは、一週間前の母の言葉だった。



 ──あかり、来週、お母さん出張なの。それでしばらく帰ってこられないの。だから、望月さんところに泊まりに行ってらっしゃいよ。──



 当然、あかりは反発した。「望月さん」というのは親戚でもなんでもない、ちょっと付きあいがあるだけの近所の家だ。よそで会うのならともかく、家にあがるのには気を使う。

 しかし、すでに母は勝手に望月家と連絡をとり、すべての予定を決めてしまっていた。今から断るのは、さすがに申し訳ない。それに実際、あかりは暇だった。友達は塾や家族旅行でとても遊べる状態ではなく、かといってわざわざどこかに出かけるには暑すぎる。子供と遊ぶのも、ひょっとしたらいい暇つぶしになるかもしれない。そう思い、おとなしく引きうけることにしたのだった。



 家へ入ると、すぐさま瑠璃奈(るりな)は、自分の部屋にあかりを招いた。そして、あかりを床の絨毯の上に座らせると、なぜかクローゼットをあけて服をかきわけはじめた。

瑠璃奈(るりな)はこの日を心待ちにしていたんだよ。じゃあ、あとはよろしく。ああ、何かあったら僕は庭にいるから」

 父親は、菓子と飲み物を持ってくると、すぐさま引きあげていった。

 瑠璃奈(るりな)はというと、さっきからクローゼットの奥に頭を突っこんで、何かを探している様子だった。

瑠璃奈(るりな)ちゃん、何探してるの?」

 すると、瑠璃奈(るりな)の動きがぴたりと止まった。そして、クローゼットから頭を抜くと、ちょっと怒った口調で言った。

「ダメ! あたしのことは『ルリ』って呼んでって、前に言ったじゃん」

 そんなこと、まったく記憶にない。あかりは口ごもった。

「そ、そうだったかな。でも、それは……」

「『瑠璃奈(るりな)ちゃん』とか『瑠璃奈(るりな)』って、叱られるときの呼ばれ方なの。だからダメ」

「へえ」

 正直、呼び方なんてどうでもいい。あかりはもう一度問いなおした。

「じゃあルリ、何探してるの?」

「ううんとね、これ!」

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