俺のスキルは「念動」らしい
曲がれぇぇぇぇぇ!
なんだ?
突然ごっそり体から何かが抜けていく感じがする。
ふらつく体を慌てて立て直すと、歓声が上がった。
何事かと顔を上げると、蹴ったボールがゴールに入っていた。
何が起きたんだ?
ちょっと曲がったくらいじゃあ入らないレベルにコースがずれていたはずだ、入るわけがない。
このままここで立ち止まっているとまた先生に怒られそうなので、ボールを元に戻して、みんなのところに帰る。
「なんだよケンジ、さっきの話ホントは冗談なんじゃないのか」
戻るなり山下に背中をバシバシ叩かれる。
「いてぇって、というか、どうなったんだ?」
「ケンちゃんのスキルは「念動」なんだよ。触ったボールを意のままに操る能力だね。何か思い出したりしたかな?」
「いや、全然。じゃあ、曲がっれって思ったから…曲がったのか」
マサの解説を聞いて納得がいった。
あの力が抜ける感じがスキルって奴を使った感触なのか、乱発はできなさそうだ。
微妙に気だるい体を思い、ケンジは思いを巡らしていった。
気づけば、マサと山下もシュートテストを終えていた。
二人のスキルを全く見れなかった。
改めて二人に聞いたら、マサは教えてくれそうだったが、山下が面白いからと横から遮って、結局わからなかった。
おのれ山下。
その後は短距離ダッシュや、反復横飛び、前屈で柔軟性みたりと割と普通の測定をこなした後、身体測定をする為男女別に別の場所に移動となった。
その後休憩を挟んで、パスとドリブル試験が行われるらしい。
「ではケンジ、また後で。ちゃんと我の席はとっておくのだぞ」
風魔は女子なので、別行動になるのだが、最後に意味深な事を言われた。
席ってなんだ?