この世界の基礎学力=筋肉の説
3学年450人にそれぞれにロッカーが貸与されているため、更衣室も広大だった。
山下とマサに案内されてなかったら、午前中に自分のロッカーにすら辿り着けなかったかもしれない。
ロッカーは風呂屋にあるような小さいものではなく、人間一人くらいすっぽり入るサイズだった。
この世界の俺が用意していたのか、ロッカーに着替え一式が収まっていて助かった。
スネに入れる板とか、靴の結び方とかを習いながら、なんとかそれっぽい格好に着替えることができた。
ちらりと横目で見ると、山下は見た目通り、腹筋バキバキ、太腿パンパンの筋肉マンだったし、小柄なマサもしっかり筋肉が付いて引き締まっていた。
ちらほらいる同級生達も似たりよったりで、デブとか、ガリガリの生徒は一人として見かけなかった。
相当バカでも高校生になれば算数位は理解してるし、読み書きはできるから、サッカーが全ての世界の場合、基礎体力的なのはだいたい皆持ってるんだろう。
病気とか怪我が無ければ鍛えれば誰でも筋肉は付くからな。
その後、試験会場となる屋内練習場に向かう。
どうやら二、三階部分は天井が高く設定されており、1つのフロアに東西南北の4つ、計8面のサッカー場が練習場として用意されているらしい。
俺達の試験場は二階の北練習場、通称北2と言うそうだ。
1番上は4スタ、四階スタジアムの略らしいが、そこは統一して、スタ4じゃないのか?
と、こんなくだらない事考える程度には、心の余裕が戻ってきた。
しかし、北2の中に入った瞬間、俺の余裕は一気にぶち壊されることになる。
「バーニングショット!!!」
ボールが炎を纏って、ゴールに向かってかっ飛んでいたのだった。
なんじゃそりゃあっ!