最も重要な教育はサッカー
「はっ?」
校門から見える景色の変貌ぶりに、思わず声が出た。
「なぁ、山下、マサ、ここうちの学校だよな」
「何言ってんだよケンジ?」
不思議そうな顔の二人を見て、俺がおかしい事とここが学校だということは嫌でも理解できた。
2週間前まで、4階建ての四角い取り立てて特徴のない校舎が、スタジアムになっていた。
外からじゃよくわからないが、何万人も入りそうな立派なやつだ。
高校の敷地ほぼ全域がスタジアムに占領されていて、さっきまでなんで気づかなかったか不思議なくらい、外壁も高い。
顔をつねってみると、痛い
夢じゃ、ないってことか
「なぁ、山下、マサ、悪い、俺なんかおかしいみたいだ」
「確かに、何時もよりなんかノリ悪いしな、疲れてんのか?」
「そうだね、顔色も悪いようだし、今日は練習も試合もないから、調子悪いなら最悪早退しても良いんじゃないかな?」
二人が心配そうに声をかけてくれる。
色々変わったが、こいつ等は相変わらず良い友人みたいだ。
まて、マサが何か不穏なことを言ってたな。
練習とか試合ってなんだ。
俺は帰宅部だし、マサだってクラス委員やっていたが、塾や習い事で部活なんかやってなかったはずだ。
すごく嫌な予感がする。
「あのさぁ、ちょっと休みボケみたいで記憶が曖昧なんだが、俺らここで何勉強してるんだ?」
「はぁ? 何言ってんだよ。ちょっと気を抜きすぎだろ。もちろんー」
「そうだよ、高校は義務教育じゃないとはいえ、今後の社会生活を送る上で必須な教育を受ける機関だよ。学ぶこといえば、生きるのに最も重要なー」
「「サッカーだろ(だよ)」」
うん、本格的に俺の周りはおかしくなったようだ。