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シノビーツ・ナイトコア  作者: 駿河ドルチェ
聖魂騎士団と獣人の国
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視界共有

 白狐がザックフォードのところに戻ると、ザックフォードは舞い戻ってきたアルミラと共に、倒れていた残りの騎士団員達に回復魔法を必死にかけていた。その様子を見つつ白狐は「主様、後はザックフォードをそちらに連れていけばよろしいのですね」と話しかけた。


「そうしてくれ、宿屋に連れて来てくれればいい」


「素直についてきてくれない場合はどうすれば?」


「ついてきてくれるさ、きっとな、今回助けた貸しだってあるし、俺達のことも知りたいはずだろうし、実力行使っていうのもない話じゃないが、今の戦いで勝負はついてるだろうな、だからついてくるさ」


 千景は、白狐に追跡針を仕込んであったザックフォードの後を追って観察するように指示を出していた。いつでもNPCとの視界共有機能を使って白狐の視界から千景も見ることが出来たからだ。当然今回のグレイルと白狐の戦いも白狐の視界を共有することで見ていた。ただザックフォードが誰かに襲われるというのは想定外だった。あそこで死なれるのは、こちらの世界の攻略のヒントが一つ失われる、それは千景が避けなければいけない事だった。ザックフォードがグレイルから襲撃を受けた時から観察対象から保護対象に変わった。


「この世界には、中々しぶとい輩が居る者ですね」白狐がグレイルの事を思い出していった。


「本体を土の中から引きづりだしたことだし、あの助けた女が言ってたじゃないか『殺されるわよ』ってだからあのまま攻撃を与え続けていたらグレイルは死んでたはずだ」


「なるほど」


 ザックフォード達は白狐には見向きもせずに未だ必死の救護活動を続けていた。騎士団員達は正気を取り戻し、のそのそと動き出し立ち上がることが出来ず、座ってぐったりとしていたり、近くの木にしがみつくように立ち上がろうとしている者がいた。中にはピクリとも反応しないものがいたが、白狐にはその者が死んでいることがわかっていた。


 作業は夜通し続き、いつの間にやら朝日が木々の隙間から森の中に差し込み始めた。空は快晴らしく、白い光が朝露に濡れた葉を照らし、どこからともなく鳥の声や動物の声が聞こえ、森は少しだけざわつき始めた。

 

 そこからまた数時間立つと、ボロボロだった騎士団員達は、死んだ者以外は生気を取り戻し、食事の準備を始める者も出てきた。


 ザックフォードはその様子を背負のばしながら、全員を確認するようにぐるりと見回してから、白狐の方に歩いてきた。今までは意図的に白狐の方を見ないようにしていたのか視線が合わなかったが、ここにきてやっと目が合った。


「お疲れさまでした。でわ行きましょうか」と白狐は向かっているザックフォードにお辞儀をしながら言った。


「こっちの要件は何も聞かないんだな、と嫌味の一つも言いたいが、助けてくれたことは本当に感謝している、ありがとう」


「礼には及びませんよ、主様から命令を承ってるだけのことです」


「そうか、であいつはどうした?」


「逃げられました、白衣を着た女が連れて行きました」


「そうか……それは残念だ、それでどこへ?」


「それはついてきていただければわかります」


 白狐はそう言うと、黄金の毛並みをもつ大きな狐を呼び出した。背筋は真っすぐと伸び、目つきは鋭く、顔つきからは白狐と似ていて気位が高そうなオーラが出ていた。そしてその美しい毛並みは、森に差し込む朝日を浴びてキラキラとより一層輝いて見えた。


「ではザックフォード様、この子にお乗りください」


 そう言われたザックフォードは、黄金の狐のところに近寄って頭を撫でてみたがその手を嫌そうに振り払った。そして黄金の狐は不愛想に、早く後ろに乗れというジェスチャーを顎で送った。


「嫌われてそうだな俺」


「主様以外気を許さないだけです、私と同じで」


 へえと言いながらザックフォードは黄金の狐の背中に乗った。


「その主様って誰なんだよいったい、その耳から察するに、今から獣人の村に連れてくんだろ」


 白狐はその質問に答えずに


「しっかり捕まっていてください、それ以上話をすると、舌、噛みますよ」


 そういうと、白狐は走り出した。それに合わせるように黄金の狐もついていく。


 ザックフォードは、想像していた以上の加速の勢いで背中から転げ落ちそうになったが慌てて背中の毛を、雑草を根っこから抜かんばかりの勢いで掴んで態勢を立て直した後、恥も外見も捨てて黄金の狐の背中に覆いかぶさるようにしがみついた。


 ザックフォードのその姿を黄金の狐は、なんともいえない表情でチラリと見た。

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