ヴァンパイアの皇女
イグニアの献血作業を終えて、魔導飛空艇に戻ろうとするとイグニアがいきなり「はっはっは」と高笑いした。血をひさしぶりに飲んだからおかしくなったのかと思っていたらいきなり「馬鹿め人間!」とこちらを指さした。
「どうしたんですかね、イグニアさん」と水音が言った。
「わからんな、俺の血を飲むとテンションがおかしくなるとかあるのか、違う世界の人間だし」
「『清浄成空の舞』でも踊りますか?」水音が最高位の状態異常回復の効果がある舞を踊ろうとしたが」
「いや、魂まで抜けそうじゃないかそんなの使ったら、水音の術や舞は、神聖系統だからヴァンパイアの天敵だろ、あの光だって嫌がってたからな」
「あれっ……おかしいですわね、ちょっと千景!」とイグニアは弱気だったさっきとは違い、軍人の女らしい声を放っていた時と同じような声色になっていた。
「どうした」
「ど、どうしたって、貴方は私の眷属になったのですよ! 立場をわきまえなさい、私は貴方の主人になったのですよ!」
「なってない、そういうのに強いっていっただろ」だからさっき高笑いしたのか、眷属に出来たと思って。
「そ、そうなんですの! 騙されました、ひどいですわ……」
「騙してないだろ、人聞きが悪い」
「いいえ! ひどいですわ! 人間のくせに、このヴァンパイアの皇女であるわたくしを騙すなんて!」
「だから騙してないって、それ以上言うと水音の巫女術のフルコース食らわせるぞ」
「ひ、ひどいですわ、さらに脅迫してくるなんて……」
「なんだか面倒臭い人が、増えましたね、御館様」水音が冷静な顔で言った。もう一人の面倒臭い人は、さっさと魔導飛空艇に乗り込んだらしく周りからいなくなっていた。
「さあ、イグニアさんいきますよ!」と水音が力なくうなだれているイグニアに、近寄って手を取った。
「あ、あなたは?」「水音です」「あ、ありがとう……」とイグニアは水音に連れられ魔導飛空艇の方に向かった。




