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シノビーツ・ナイトコア  作者: 駿河ドルチェ
要塞国家エンデラと不死族
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転火

宙音(そらね)水音(みずね)は、陽光(ようこう)の丘まで下がれ」


「かしこまりましたあ」とすぐさま、二人は丘の方に走っていった。


――開眼状態が終わった宙音は、一定時間能力が下がる。時間と共に回復していくが、今は終わったばかりでまずい。


 千景は、忍者技能『転火(てんか)』でムカデの化物の方に向かって加速した。『転火』は短距離の転移を繰り返し、発動するごとに加速していく忍者技能で、加速に比例して攻撃力もあがるが、反比例して防御力が低下し、操作性がピーキーになっていく。



 千景は距離を詰めて気づいた、体から出ている黒い煙はただの煙じゃないことを、遠くからみると隙間(すきま)がなかったからわからなかったが、煙だと思っていたのは小さな黒い粒の集合体で、不規則な動きでうねっている。


―虫の大群かよ……量の多さに『天稟千里眼(てんぴんせんりがん)』でステータスを(のぞ)くのが阻害(そがい)されている。



 千景は更に空間を飛びながら加速する。ムカデの上についている半身の口が開いた。


「人間よ、やってくれたな、パイルエスカルネが帰ってこないのを不審(ふしん)に思っていたが……これ程までにやるとは、彼奴(きゃつ)が帰ってこなかったのも道理(どうり)がいったわ。そしてこうやって近くで見ると、どうやら、お前と我とでは違うようだな」


 そんなに大声を出しているわけではないのに、大気自体が恐怖を覚えているかのように震える。「お前がヴィネリアか!」ありったけの力をこめて千景は返答した。話をこちらに振ってくれるというのなら丁度いい。


「そうだ、人間、お前も我と同じようにこの世界に黒渦の杖に呼ばれてきたのだろう、そして我は『災禍(さいか)の魔典第一章の顕現者(けんげんしゃ)』として、ここにおる。我とお前はここで出会う予定だったというのは確かなようであったが。どうやら我が考えていたものとは違うようだ、我は、お前を目的を共にするものだと思っていたが、そうではないようだな」


「目的? パイルエスカルネも似たようなことを言っていた!」


「ヴィネリア様! やつが『レプリカ―ズド』でないのならばそれ以上話す必要はないのでは!」ヴァンプドラゴンに乗っている一人残った騎士が、叫んだ。


「五月蠅いぞ、イグニア、あれだけの物を与えてやったのに、全てを失っておいて、どの口が我に意見する」


「そ、それは……」


「我の使徒は、情けなくて困る、丘の上にいるやつらの相手でもしておれ、目障りだ、(きょう)()がれる」イグニアと呼ばれた騎士は、丘の方に飛んでいった。


「さて邪魔者が消えたな、人間よ、話の続きはまあ……どうせもう死ぬのだ無駄だな」


 ヴィネリアは黒い杖を、千景の方に向け「見よ我が神なる力を、そして脆弱(ぜいじゃく)なる者よ、朽ち果てよ『スカーレット・ヴォルテックス』」と叫んだ。


 黒い杖から、稲妻のような火花が走り、周りの虫たちを飲み混み火流(かりゅう)となって襲い掛かってきた。千景は大きな火流を、横に避けるが、火流の中から飛び出してきた火を纏った虫が次々と体当たりをして来る。しかし火流本体の攻撃は、当たったらダメージを食らいそうではあったが、火を(まと)った虫自体には、そこまでの攻撃力はなく、千景の体に到達する前に弾かれる。しかし、一度弾かれてもまた飛んできて体当たりをして、その数が徐々に増えていく。


――まさかこいつらも不死の蟲か

 


 千景は『転火』で加速して、距離を取る。火流がねじれそれを追う。そんな中で、千景はちらりと後方を見ると、丘の方では、宙音の『青龍水克(せいりゅうすいかつ)の陣』と水音の浄化の炎でぎりぎり守られていた。

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