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シノビーツ・ナイトコア  作者: 駿河ドルチェ
アヴァルシス王国騒乱
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虎ノ章

ゴルビスの予定時刻まであと、四十分程度、千景はその間に、天音、白狐と赤狐の召喚がうまくいったので、残る男の配下NPCを呼び出してみることにした。


――男の配下NPCは全部で四人虎徹(こてつ)菊一(きくいち)烏丸(からすまる)村雲(むらくも)、どれを呼び出すか、一番ラフな性格なのが村雲、普通なのが虎徹、無難(ぶなん)に虎徹にしておくか、体格もいいし盾にもなる。


 一瞬、全員一気に呼び出したらどうなるのか考えてみたが、収拾がつかなくなってキャパシティーを越えてしまう、配下NPCの中で、一番信用できそうな設定を持っている天音ですらこの調子なのだからと目の前の料理を見て、千景は大きな溜息をついた。


 いつまでもそんなことを気にしていてもしょうがないと思い、気持ちを切り替えて特殊上位技能『配下招来虎徹』を発動させた。


御館(おやかた)、お呼びですか」と武骨(ぶこつ)な野太い声を出す虎徹が姿を現した。


 顔の形は角ばっていて大きく、黒い髪と髭が綺麗に切りそろえられている。虎徹はそのタフな体を前面に押し出し、多少のタンク役もこなせる。両腕には手甲型の攻防一体武具『鉄環蝦蟇羅(てっかんがまら)』が装着されていて敵の攻撃をいなしつつ、打撃を与えるタイプ。各種属性耐性や状態異常耐性は、どのNPCよりも高かった。


 そのがっちりとした、ボンレスハムのように、はち切れんばかりになっている肩の筋肉を思いっきりバンバンと音がするほど叩き、人間の体であることを確認してから、これでこの作業も終わりだなと千景は思った。


「御館、どうしました?」その声と見た目で、見ているだけで味方に安心感を与える力が虎徹にはあった。


「ちょっと虎徹もこの料理の片付けを手伝ってくれ、後紹介しておくけど、天音はわかるだろ? そこの小さいほうがミレアで、もう一人がエルタだ、料理が片付きしだい、お前の使命はその二人の女の子を全力で守ることだ、わかるな?」


「わかりました」そう言うとすぐさま虎徹も料理を食べだした。ただ天音と虎徹が同じようなペースで料理を食べているのが驚いた。


 天音の上品な仕草で、流れるように口に運び込まれる料理の流れは、止まることはなかった。


 さっきも食べたと言っていたのに、まだ食べるのか、手際(てぎわ)よく子豚の丸焼きが綺麗に切り分けられ、次々と口に吸い込まれていく。オーケストラの指揮者のように(よど)みない動きで振られるフォークとナイフ。


 食べている姿を見ていて飽きないというのは千景にとって、不思議な感覚であった。エルタとミレア同じことを考えているらしく、その様子を食い入るように見つめていた。


 そんなことをしていたら、千景がゴルビスに指定した一時間経過まで、あと三十分を切ってきた。千景はプレイヤー操作キーを呼び出し、グループボイスチャットの中に虎徹の名前を追加して白狐(びゃっこ)を呼び出した。


「どうだ『トライセラトリス』の残り一人のハクルの位置はわかったか?」


「主様、(あせ)らないで下さい、そんなにがっつかなくてもお答えします。今度から私に話しかけるときには、白狐の声を聞きたかったと、一言添えて下さい」


「いいから教えてくれ、白狐」千景はどこにそんなことを言うような設定があったのが聞きたかったのをぐっとこらえて会話を先に進めようとした。


「つれないですね、主様(あるじさま)、彼らが拠点にしているアジトが、貧民街にあるそうです、どうしますか? ここは私一人でも守護できそうですし、赤狐を向かわせますか?」


「いや、お前達二人は、二人揃って発動出来る術の能力のメリットがデカ過ぎる、もうちょっとだけこちらの世界の情報を集めてから、リスクが伴う行動を取ってほしい、お前達が捕まるとも殺されるとも思えないが」


「そうですか、かしこまりました、主様」


「まあ、あと三十分程経ったら、ゴルビスを処分する、そうなった時に、シンツーとシャザの安否(あんぴ)を知らない、ハクルが、二人と合流しようと、そこへ行くかもしれない、ゴルビスが居なくなれば『トライセラトリス』を保護するやつも消えることになるからな」


「そうですか、ゴルビスやらシンツーやらは、私は存じておりませんが、まっ、このシャザ程度の男が百や二百来たところで、私達の敵ではございませんので、ご安心を主様」


「そうだったな、俺はお前たちにゴルビスのことを教えてなかった、すまない大事なことなのに」


「大丈夫ですよ、主様、大丈夫です、そんなことを知らなくても、主様からの指令はこなせますので」


「ありがとう、それで今後のことなんだが、もしそこにハクルが来たら、シャザもろとも死体も残さず処分しろ、やつらのやったことは許されることではない、殺す前に少女達の死体まで連れて行き土下座させろ、下にいる生きている少女達には……これ以上刺激を与える必要性もないな……いやまて……ハクルとシャザの死体は残せ、後々使えるかもしれないそれ以外は好きにしていい、顔はわかるようにしておいてくれよ」


「かしこまりました、主様」千景にそう指示されたのが嬉しかったのか、白狐の声のキーが一段階上がった。

 

――これで『トライセラトリス』を追い込むことが出来る。三角という幹部がいなくなれば、後はチンピラやゴロツキみたいな者の集まりだろう。事がうまくいって落ち着いたら、赤狐と白狐にも天音が作った料理を食わせてやるか。

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