70.敵か味方か
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「あんたがこの本の著者な訳か?」
俺は先程まで読んでいた魔導書を掲げて尋ねる。
「いかにも。その本を持っているということは、君は無属性魔法を習得出来たということだね?」
俺は、耳に慣れない言葉を聞いて困惑した。
「無属性魔法?」
「そうだとも。この世界に六属性が存在しているというのは君も聞いただろう?」
俺は肯定の意味で頷いた。
「あれはこの世界の魔法研究者達が信じ込んでいる嘘っぱちだ。確かに得意な属性、得意な魔法があるのは分かるが、それが適正になることはない」
「じゃあ適性検査ってのはなんなんだよ」
「あれはなんの属性の魔法を行使するのが楽かを測る目安でしかない。代々火属性魔法を使っていればそれが血に強く刻印されていき、火属性の運用は群を抜いて上手くなる。だが、それ以外の属性は運用しにくくなるのさ」
「じゃあ、適正外の属性が行使できるのはそのためか?」
「ご名答」
魔法というもののシステムを少し理解出来たのは有難いが、こいつはなんのために今この情報を教えた?
「で、何を言いたいんだ」
「分からないか? そもそも地球人は魔法とは縁遠い存在なんだ。なら適正が出るはずもないだろう? 即ち、僕らは属性に縛られない『無属性魔法』が使えるというわけだよ」
ここで無属性魔法か。
この無属性魔法というのが俺にどういう影響を与えてくるのか。
「そうか。で、無属性魔法のことはわかったがなんで今それを俺に教えたんだ? ……まさか、俺が今魔法を使えない理由も教えてくれたりするのか?」
俺は希望的観測でハヤトに問う。
「もちろん、教えてあげるとも。ただし、条件がある」
まぁ、条件が提示されるというのはなんとなく予想はしていた。
「なんだ?」
「簡単なことだよ。君には我々『数の教団』に入団してもらいたい」
「数の教団?」
今まで聞いたことのないその組織名に困惑する。
「そうだ。……まず我々の組織について説明するためには、我々教団の掲げる理念を知ってもらう必要がある」
ハヤトはそう言って一呼吸置くと、俺にこう聞いた。
「君は神を信じるかい?」




