62.グランツェが なかまに なりたそうに こちらをみている!
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グランツェは少しづつ話を始める。
「私がその時見た同級生の青髪の子、その子は実技のテストで水属性の中等魔法を無詠唱でバシバシ唱えていました。最近になってその子がケーナ嬢だと知ったわけですが、その時は『同い年なのにこんな凄い人がいるなんて……!』と思いました」
ケーナちゃんの過去について話をされ、俺も聞かざるを得ない感じになった。
俺が知らない時期のケーナちゃんの話をするなんてずるいぞ。
そんなの聞くしかないじゃないか!
「私はその子に憧れ、入学が決まった時は真っ先にその子を探したのです」
「……それで?」
俺は続きを促す。
「私は優等クラスに割り当てられました。そして、あれほどの魔法の使い手なのですから、青髪の子も私と同じクラスに割り当てられていると思ったのです」
「しかし、実際は現時点で中等クラスな訳だ」
「そうです。聞けば技能で落としたらしいのですが、あれを見てた限りではそんなことはあり得ない気がするのです」
ほう。
「それで、あんたはなんで優等クラスになれなかったと考えてるわけ?」
この話をしたということは、何かの意図があってのことだろう。
「……はい。私は、ケーナ嬢が血統で冷遇されたのではないか、と思ってるのです」
「血統……?」
話の真偽を確かめるべくケーナちゃんの方を振り向くと、ケーナちゃんは俯いたまま黙ってしまった。
「ケーナ嬢は低階級の家が出身だと聞きました。それが原因なのではないかと私は思ったのです」
「本当なのか? ケーナちゃん」
ケーナちゃんは数秒黙っていたが、やがて決意したように口を開く。
「……はい、本当です。高等クラス以上のクラスで入学するためには家柄にある程度の階級が必要なのですが、私の家はその資格を持っていなかったために中等クラスでの入学となりました」
……そうだったのか。
結構ディープな話題が突然出てきて今少し焦ってるんだが、要するにケーナちゃんは優等クラスに負けずとも劣らないような魔法能力を持っているってことでOKなのか?
「だからこそ、私は中等クラスに入学したケーナ嬢と仲良くなっておきたいのです!」
まぁここに至るまでの話の流れを聞いてなんとなくわかった。
全面的に信用はできないにしても、それなりにコミュニケーションを取る分には良い娘なんだろうな。
「ということみたいだが、ケーナちゃん。グランツェのこと、どうだ?」
俺はケーナちゃんに質問する。
この「どうだ?」というのはもちろん友達になるのはどうだ? という意味である。
「……そうですね。とりあえず、一緒に剣戦祭でも見ませんか?」
「良いんですか?」
ケーナちゃんの提案に、グランツェは顔をパッと明るくする。
「……やっとみんなの意思が固まったぴょんか?」
空気が薄すぎて存在を忘れかけていたルトトが、ふわっとグランツェの頭の上に乗った。
「突然出てくんなよ、びっくりするなぁ」
「おいらの存在を忘れていた方が悪いんだぴょん」
俺とルトトのやり取りを見て、グランツェはふふふと笑う。
「……なんだよ」
「いえ、なんだか、とっても楽しそうだなと思いまして」
俺とルトトは顔を見合わせると、どちらからともなくプイッと顔をそらしあった。
「いいから、行くと決まったら観戦しに行くぞ」
俺は先陣を切って歩き出す。
「あっ、待ってくださいよ」
その後ろを、ケーナちゃんがついて歩く。
「置いていかないでくださいぃ」
そして、グランツェが最後尾で歩いた。
会場の前にはすでに観戦希望者の人だかりができている。
俺たちは、剣戦祭の観戦者待機列に並ぶ。
本来であれば二人だった観戦メンバーに、一人加えて。




