61.その少女は何を思う
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突然道路の真ん中で泣き出したグランツェに、周囲の視線が殺到する。
「うわぁぁぁん……!」
なんでこいつ泣いてんの?
訳が分からないんだけど。
「あの……、泣いてますよ?」
隣ではケーナちゃんが伺うようにこちらを眺めている。
いやぁ、俺に言われたってさぁ? ほら、あれじゃん。
「わかった、わかったから! ほら、あっち行って話すか?」
このまま衆人環視で居続けるのは嫌なので、とりあえず人目につかないところに移動することに。
「……ぐすっ。はい」
グランツェは目じりをぬぐいながらしおらしく頷いた。
ケーナちゃんとグランツェ二人を伴って会場の入り口付近にある物陰に移動する。
「……んで、あんなところで泣いて、結局何が目的なんだよ?」
俺は呆れ半分でグランツェに質問する。
「だから、私は先ほども申し上げた通りケーナ嬢とお話しさせてほしいのです」
……えぇ? こいつ本当にこれだけの理由で接触してきたの?
まぁ、確かに話しかけるならあのタイミングでも違和感ないけどさぁ? もうちょっとやりようがあるだろ!
「私は、別にいいですけど……」
ケーナちゃんは困ったように返事をする。
その返事を聞いたグランツェは、パッと顔を明るくして笑った。
「やったぁ!」
「よかったぴょんね」
「うわっ!」
なんだこいつ〜!!!
気づけばグランツェの横には猫耳と悪魔のような尖った尻尾が生えた丸っこい生物が浮遊していた。
「あっ、これはポクポンじゃないですか!」
その生物に、目を輝かせて飛びつくケーナちゃん。
「これは……?」
ポクポン……。どっかで聞いたことあるような名前なんだが、どこだったっけなぁ〜?
「この子は私の使い魔で、ポクポンの『ルトト』です」
自慢げに紹介するグランツェ。
「ルトトぴょん。グラたんにはルトって呼ばれているぴょん」
紹介されて自己紹介をしたルトトは、ルトトが離れて寂しそうな顔をしているケーナちゃんの元へと戻っていた。
ケーナちゃんは取り上げられたおもちゃを返してもらった子供のようにぎゅっとルトトを抱きしめると、途端に表情が笑顔になった。
かわいい。
「……それで、ケーナちゃんとなんで仲良くなりたいと思ったんだ?」
俺はグランツェに聞く。
「それはですね……」
グランツェはもったいぶるように続きを言わない。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
……なんでなにも言わない。
「…………」
「…………」
「……言えよ!」
「あっ、いや、はいぃぃぃ……!! すみません!」
なんでそんな時間かけたし。
「その、つい出来心で……。もったいぶったほうが、雰囲気出るかなって……」
「いや、なんの雰囲気だよ」
「あっ、すいません……!」
調子狂うな。
「んで、結局なんでな訳?」
「実は、私は入学試験の時に憧れた人がいまして……」
グランツェやその他のキャラの過去を描く番外編、【ストル・マギカリー】の連載を始めました
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