表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/83

60.その少女、「かわいい」につき

1


「なんのつもりだ?」


 俺は声を凄ませて言う。


「……? なんのことですか?」


 しかし、グランツェは思い当たる節はないと言うように首を傾げた。


「とぼけるなよ。ケーナちゃんに関わって何が目的だ?」


 先程優等クラスの奴らがあんなことを起こしていたんだ。

 ハーキン君は関係ないにしても優等クラスがどんなことを考えているかわからない以上迂闊に近寄るのは避けるべきだと考えていたんだが、まさか向こうから接触してくるとは。


「あの……、何か勘違いしていらっしゃるようですが、私はただケーナ嬢とお話させていただきたいだけなのですけど……?」


 ……え? 本当にこいつ話すだけなの?

 ……いや、まだ信用するべきではない。

 とにかく、今はこいつをどこかに追い払うべきだろう。


「ケーナちゃんは今はいない。同じ女子寮なんだから夜の間にでも部屋に来れば会えるだろうさ。じゃあな」


 俺は早口でそう言い切ると、振り返って入口まで猛ダッシュする。


「……あ」


 ……しようとしたのだが、振り返った瞬間目の前にはケーナちゃんが立っていた。


「サイエンさん遅いです。何してるんですか?」


 ケーナちゃんは俺より身長が低いせいか、俺の後ろに立っているグランツェが見えていないようだった。


「いや、ケーナちゃんには関係のないことだよ。ささ、行こうか」


 俺は後ろの少女を隠しながらケーナちゃんを入口に行くように促す。


「ケーナ嬢……!」


 しかし、後ろの女はそんなこと知らないと顔を出した。


「おい、出てくるんじゃないよ。ややこしくなるだろ」


 俺は背中越しに声をかける。


「誰ですか、この人」


 しかし、俺の行動など関係ないようにケーナちゃんは俺に冷ややかな視線を送ってくる。

 え? 俺何もしとらんやんけ。

 こいつが勝手に関わってきたんやぞ、ワイは被害者やろ。


「噂はかねてよりうががっております、ケーナ嬢」

「は、はぁ」


 あっ、こいつケーナちゃんに話し始めやがった!

 おのれぇ、許さんぞ!


「はい、はい〜。ケーナちゃんは関係ないからねぇ〜。ささ、剣戦祭見ようか」


 俺は無理やりケーナちゃんをグランツェから引き剥がす。


「あっ、待ってください……!」


 俺を呼び止める声が聞こえるが、無視だ、無視。


「あの人ほっといていいんですか?」

「いいんだよ、触らぬ神に祟りなしって言うだろ?」


 俺はケーナちゃんを押しながらそう言う。

 少しして、背後からすすり泣くような声が聞こえた。


「私は……、ただケーナ嬢と仲良くなりたかっただけなのに……!」


 えぇ……? なんで泣いてるんすかねぇ、この人は……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ