40.魅了の影響
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──行動二日目──
あの後、対策を考えながらホテルに戻ったが、結局対策のひとつも思い浮かばなかった。
意識を集中させると、無理やりそれをかき乱される感覚。
そして直近では、ケーナちゃんにこの一連の出来事をどう説明しようかという問題。
「クソッ! 全くまとまんねぇ」
これも先程マリーさんの言っていた異性魅了の効果だろうか。
この状態だと思い浮かぶ策も思い浮かばない。
頭を悩ませながらうなっているうちに時間は経ち、気づけば窓の外には日が昇っていた。
とりあえず、何か策が浮かぶまではケーナちゃんには黙っておくしかないかもな。
◇◆◇
ダイニングにて、今朝は昨夜のビュッフェとは違い用意された朝食を口に運ぶ。
「……サイエンさん?」
「……ん? あぁ、どうしたんだい?」
ケーナちゃんに声を掛けられそちらを向く。
「今の話聞いてました?」
「え? あぁ、聞いてたよ。スパゲティの話だろう?」
今日の朝食は植物油を使用したシーフードスパゲティをメインに汁ものと野菜がテーブルに並べられている。
「違いますよ。……今日はずっとどこか遠くを見た感じですけど、調子が悪いんですか?」
「あ、あぁ、大丈夫だ。あんまり気にしなくても問題ないよ」
「……そうですか。サイエンさんが大丈夫だというならいいんですけど」
俺がそういうと、少しだけ心配した風にこちらを見た。
「それで本題ですが、私たちの修学旅行が延長されることになったんです」
「ほう、何でまた」
「どうやら帰りの道中で寄る予定だった町が火事で立ち寄れなくなってしまったみたいで、落ち着くまではこちらの都市待機になるようです」
そんなことが起きたのか。
そういえばこの間道中で救出された少女も火傷の跡があったし、もしかしたらこの火事と少女の事件も何か関りがあるのかもしれない。
あぁ、この頭が働かない時にいろいろ起こりすぎだろ。
俺はいったいどうすればいいんだよ。
「それでですね」
俺がイライラしているときに、ケーナちゃんは新しい情報を教えてくれようとする。
「……どうした?」
ケーナちゃんを不安にさせないためにも、イライラを表に出さないように話す。
「いや、今までは噂程度だったんですけど、本格的に北の魔女が復活したって言いだす人が出てき始めました」
……。
北の魔女。
最近になってからやけに聞くようになった名前。
もしかしたら、マリーさんが北の魔女だという線が出てき始めたな。
ったく、さっさとこの問題を解決しない限り俺の異世界生活に平穏が訪れないってことか。
本当にふざけんなって話だ。




