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37.ごはんにぽしゃけ!

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 夕食はビュッフェスタイルだった。

 こういうものは使い魔と主人は別の部屋に分けられて食事を摂るものだと思っていたんだが、案外主人と一緒に食事を摂っている使い魔は多い。

 手のひらに載る程度のサイズの使い魔はテーブルの上に乗り、主人の皿の上にあるミルクを啜ったりしていた。


「かなり豪華な夕食だな」


 俺はきょろきょろと周りを見渡しながらケーナちゃんに話しかける。

 しかし、ケーナちゃんはさして気にした風もなくあっけらかんと答えた。


「これが普通です。私達の魔道学園に通っている生徒は大半が貴族の出ですから、賓客のレベルでもてなされるのが一般的なんですよ」


 マジかよ。

 じゃあ何か? ケーナちゃんは普段からこんなにうまそうな品々を食べてるわけか?

 許すまじ。俺は十六時間フルで働いてるのに食費や家賃がカツカツだったんだぞ。

 遊ぶ時間も金もないのに、異世界の住民はこんなにいい生活をしているのか。まじ許すまじ。

 いやでも、そう考えると異世界で働けばそれに見合った分だけ金が支払われるって事じゃあないのかい?

 あぁ、そうだったら俺、地球には戻らなくてもいいかも。


「ケーナちゃんは何を乗せるつもりなの?」

「えぇと、そうですね。……お肉を」


 ケーナちゃんは少しだけ頬を赤らませながら答える。

 あぁ~^微笑ましぃんじゃぁ~^

 お肉を食べることに対して恥ずかしく感じてるんか。かわえぇのぉ~。


「そっか。いいと思うよ。お肉も取らないと大きくなれないし、どんどん食べなよ。あぁ、ミルクとパンも一緒に取るといいよ」


 蛋白質に炭水化物、カルシウムは成長期には必要なものだ。

 成長期にヴィーガン的食事なんてやろうものなら正しく栄養がとれず正常に成長できないからな。


「そう言えば、この世界にはお酒ってあるのか?」


 おしゃけ。ぽしゃけ。

 ぽしゃけがないと俺はやってらんねぇんだ。この世界にもぽしゃけがあればいいんだけどな。


「一応あるにはありますけど……」


 ケーナちゃんは俺の質問に煮え切らないような返事をした。


「あるけど、何?」

「えーっと、これは何と言いますか、言うのがはばかられるといいますか……」


 俺のさらなる追撃にも口を開いてはくれない。

 そこで、俺は何かを察した。


「分かっちゃいたけど、やっぱり、俺の年では飲めないか」

「いや、そういう意味じゃないんです」


 しかし、俺の察しは一刀両断された。


「え? じゃあ何?」

「あの、この国ではお酒は家畜の、その、げっぷ、を使って作るんです」


 目を伏せながらケーナちゃんが答える。

 ……なるほど。だから未成年の飲酒がこの世界では合法でも飲酒をしている人はいなかったって訳か。

 しかし、反芻動物のメタンガスを酒に利用するとは。ロシアかよ。


「も、もちろんいいお酒はしっかりとした製造法で作ってるんですが、安いものだと大半はそういうもので……」

「なるほど……。飲むか」

「サイエンさんは今のやり取りの何を聞いていたんですか!?」


 周りが振り返らない程度の大きな声でケーナちゃんが声を上げる。


「いやぁ、おいしければ問題ないじゃん?」


 そう、俺はそういう人間なのだ。

 味がおいしければ、ヘビだろうとカエルだろうと食べれる。メタノールでもなんか使い魔の今なら死なない気がする。気がするだけだぞ。

 あ、ただし不味かったときは別な。


「じゃあ、飲むわ!」


 そして、俺は久々の酒を煽りに煽って、無事にそのまま酔いつぶれた。

 ジ・エンドってね!


 ……余談だが、魔道学園の生徒に提供されていたお酒は全てアルコールが入っていた。メタノールじゃなくてよかったね。

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