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27.敗者の在り方

1


「それで? わざわざ俺を呼んだってのかよ」


 翌日、俺に呼び出されたハーキンは腿のあたりに包帯を巻き、松葉杖のようなものでゆっくりと歩いてきた。


「そういうこった。なぁ、頼むよハーキン君」

「いやだな、大体なんでてめぇに文字を教えなきゃなんねぇんだよ」


 俺が頼んでみると、少年は案の定、というか考えられる返答の内最も返答する確率が高かったものを返事してきた。


「決闘で勝ってんだ、頼むよ?」


 俺はへらへらしながらそういうと、ハーキン少年は舌打ちした。


「わーったよ! でも、お前に文字教えたら終わりだからな」

「ああ、それでいい」


 何とか、その教えてもらっている期間の間に友好関係を築ければいい。

 これは一つのミッションになりそうだな。


「それで、どこから教えればいいんだ?」

「そうだな、初めから頼む」

「……はぁ? 初めからってどこからだよ」

「子供が読むような本のレベルからかな」

「おまえ、そんなに書けないのかよ?」

「まぁ、そうなるな」


 俺の話を聞くと、ハーキンは心底絶望したような表情を見せた。


「おい、これってどこまで教えたら決闘の負けはチャラになるんだ?」

「論文が書けるようになるまでかな」

「は!? お前、何年かかると思ってるんだよ!? 要求が長すぎるんじゃないかよ!」

「でも、お前は俺に死ねと言ってきただろ?」

「ッ……!」


 決闘で自分が要求したことを思い出したハーキンは、俺の発言で黙ってしまう。


「……わかった。だけど、さすがにそこまでは教えられるかって言われると無理だ。せいぜい、作文レベルまでしか俺は書けない。もし本当に論文が書きたいなら、俺が教えられるところまでできるようになってから他を当たってくれ」


 まぁ、こればっかりはしょうがない。

 そもそも、言語が一つ習得できればいいのだ。教えてもらえるだけで万歳だろう。


「わかった。それじゃあ文字の種類について教えてくれ」

「理解してくれて助かる。ちょっと待ってくれ」


 そういうと、鞄の中から手近な本を取り出して俺に見えるように開いた。

 どうやら普通に使っている教科書の文字を指さしながら教えてくれるようだ。


「まず、この世界の文字の種類についてだが、母音と呼ばれる六音と、子音と呼ばれる二十音の二パターンに分けられる。じゃあまずは六音から覚えてくれ。この記号は『エ』と読む」


 いや、いざ言語を習得するってなるとめんどくさそうだな。

 だがこれも仕事のため。いつかは絶対似らなきゃいけないことなんだ。今やってしまえ。


「エ」

「そうだ」


 大文字のNみたいに書いてエと読むのか。なんか英語と混同させそうだな、ややこしい。


「次の母音は、これで『ウィ』と読む」


 この文字はなんだかルートを反転させたみたいな文字だな。


「ウィ」

「そうだ。次は、『ノ』だな」

「ノ」


 なんか、小学校の頃もこうやって英語を覚えさせられたっけな。懐かしいわ。

 ともかく、言語を一つ習得するわけだからかなり時間はかかるだろうが、そこは気合でなんとかしよう。

 今は、目の前のことに集中して、一つでも多く覚えるようにしよう。


「おい、聞いてんのか?」

「ああ、すまん。続けよう」

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